夕暮れの河川敷は、少し肌寒かった。夏の名残を感じさせる湿度と、秋の気配が混ざり合い、風が頬を撫でていく。空はまだ完全に夜になりきれず、街灯がぽつりぽつりと灯り始めた。佑樹は、河川敷のベンチに座り、ポケットからスマホを取り出した。遥からのLINEが表示されている。「ちょっと話あるから、来て」とだけ書かれていた。気が進まなかったが、断る理由も見つからなかった。「佑樹、待たせた?」遥が小走りでやってきた。実家の畑で採れた野菜を持ってきたときとは違う服装。今日の遥は、少しだけ派手なワンピースを着ていた。ヒールの音がアスファルトに響く。「別に、そんな待ってへんよ」佑樹は素っ気なく答えた。けれど、胸の奥には微かな予感があった。遥がわざわざ「話がある」と呼び出してきた理由。それは、薄々わかっていた。遥は佑樹の隣に座る。距離が近い。肩が触れるか触れないかの間隔で、風が二人の間を通り抜けた。「佑樹、あんた独り身やろ?」遥が言った。軽い調子だったが、声の奥に何かが滲んでいた。「……せやな」「だったら、私と付き合えばええやん」遥は笑いながら言った。まるで冗談のように、けれど目は笑っていない。唇の端が少し引きつっているのが、佑樹には見えた。「今さら恥ずかしいこと言わんけど、私ならうまいことやれると思うで」その言葉に、佑樹は目を伏せた。喉が少しだけ詰まる。遥の手が、そっと佑樹の膝に触れた。「……ごめん」佑樹は、短く答えた。声は低く、かすれていた。「そういう気は、ないんや」「はあ?」遥の声が、少しだけ高くなった。笑顔が消える。「なんでよ。あんた、ずっと唯史ばっかりやん」遥は、声を抑えたが、棘が混
Terakhir Diperbarui : 2025-08-17 Baca selengkapnya