「悠真様、やっぱり様子を見に……」誠司は悠真の様子の変化に気づき、何か言いかけたが、その前に悠真は大股で部屋を出ていった。足早に、さっき星乃が向かった方へと歩いていく。「このおかゆ、けっこうおいしいよ。ちょっと食べてみて。あと、茶碗蒸しもあるよ。下の売店で買ってきたんだ。やっぱり安定の味だね。律人、前に海外に留学してたんだよね?朝は何を食べてたの?……」病室の前まで来たところで、悠真は中から楽しげな話し声が聞こえてきた。中をのぞくと、星乃がベッドのそばに腰かけ、ドアに背を向けたまま、湯気の立つおかゆの器をそっと手にしている。もう片方の手にはスプーン。ふうっと息を吹きかけて湯気を飛ばし、ちょうどいい温度になったのを確かめてから、そっと律人の口元へ運んでいる。後ろ姿しか見えないのに、その声の調子だけで、彼女が笑っている顔まで思い浮かんでしまう。本当は、そのまま連れ戻すつもりだった。けれど、なぜかドアの前で足が止まった。胸の奥が、じわりと痛む。あの、明るくて少しおしゃべりだった頃の星乃。いつの間にか見えなくなっていたその姿が、いま目の前に戻ってきたように思えた。――ただし、その向こうにいるのは自分ではない。「悠真さん?どうしてここにいるんですか?」律人が顔を上げ、ドアの前に立つ悠真に気づいて、眉を少し上げる。「どうしました?」その声で、星乃も振り返った。彼女が悠真を見る目は、ここ数か月ずっと見せてきた静かな目に戻っていた。さっきまでの表情は、まるで彼の見間違いだったかのように。悠真は言葉を失う。星乃は器を置き、立ち上がってこちらへ歩いてくる。「星乃……」悠真は喉がつまったような声が出た。けれど言い終わる前に、星乃は病室のドアに手をかけ、ためらいもなく閉めてしまった。視界が、ぱたりと遮られる。悠真「……」あとから来た誠司は、その光景を見て思わず胸が痛んだ。だが同時に、わかってもいる。一度こじれた気持ちは、簡単には戻らない。かつて悠真がやり過ぎたことも事実だ。今日こうして門前払いを食らうのも、無理はない。「どうしたの?」戻ってきた星乃に、律人が少し不思議そうに聞く。今日はやけに悠真に冷たい。これまでも感情を見せることはあったが、ここまで一切の遠慮
Read More