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87. 待機≪Waiting≫

Auteur: Mr.Z
last update Date de publication: 2025-11-25 23:45:43
「ここに入る時の周りの目、見ました? めちゃくちゃ不審者を見る目でしたよ。おいあいつら入って行ったぞ、みたいな⋯⋯」

 隣を歩きながら、モアがこそこそ話をしてくる。

 誰一人入って行かない場所に、俺ら6人と謎の兎猫AIロボットが1匹入って行ったら、そりゃそう見られるよな。

 人の目を何一つ気にしないアマに付いて行くと、まぁこうなるのは受け入れざるを得ない。

 ただそうは言っても、アマには"唯一気にしていること"があるという。

 今日俺が起きたのは朝6時だったが、16時に"5つ目の理由解放で道頓堀と判明"ということもあって、その判明するまでの10時間は、車内でまったりしていた。

 そのまったりしていた昼間頃、梅田周回中のままだった車内でアマに一つ聞いたのだ、なんでAR e-Sportsプロプレイヤーになろうと思ったのかを。

 新策が始まってから話せる仲にはなったが、それまでは赤の他人も同然だったから、せっかくだから胸の内を聞いてみたくなったんだ。

 するとアマの答えは、やっぱり三船コーチに憧れていたからというのが最初だったが、それと同じくらい"アマチュア"でいたくなかった
Mr.Z

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  • 異常のダイバーシティ   99. 警告≪Warning/Sentence≫

     各々の足元から、"見た事無い不思議なカード"が浮かび上がり、薄暗い室内に不気味な輝きを乱反射させる。 「なぁ、これを取って出たら始まっちまうんだよな?」  言いながら、ケンが俺たちの顔を伺うと―― 「まぁ、24時間ありゃどうにかなるだろッ!」  そして、真っ先に"CDK専用DKO入室カード"を手に取った。 「⋯⋯やる事はこれまでと変わらないはずさ。またこの黒いパンフレットの霧が晴れて示された場所へ、向かうだけだよ」  謎に説得力のあるアマが、次にカードを握る。  ただ、アマの言った"霧が晴れて示された場所"は、未だ出てきてはいない。 「それもそうか。どうせ帰る選択肢はねぇんだし、行きましょうよ、エンナ嬢ッ!」 「え、えぇ、そうね」  ケンの言葉に乗せられ、今度はエンナ先輩が取ると、合わせるようにしてモアとスアもカードを拾う。  残ったのは、俺とウサネッコだけだった。 「なんでお前らは取らないんだよ?」  上半身を器用に動かし、準備万端の様子のケンが、俺とウサネッコへと一言放つ。  別に、俺は特段理由があるわけではなかった。  ただ、なぜかじっとしているウサネッコに、違和感があったからだ。  そんなウサネッコが、妙な感じで呟いた。 「⋯⋯ちょっと待つウニャ。これに書かれている"CDK専用DKO入室"が"何のことで何処なのか"、今調査中なんだウニャ」  ずっと調べてくれていたらしい。  でも、そんなにすぐ出てこない場所って事か? 「んなもんしなくたっていいだろ。どうせこっから出りゃ、このパンフレットに出てくんだからよ。ザイも早く取って行くぞ」  ⋯⋯そうだよな、またいつもみたいに出てくるよな  ケンに急かされるがままに、取ろうとした瞬間だった。  突然、カード上に変な一文が浮かんだのだ。 【このカードを持ったまま退室すると、あなただけ死ぬ可能性が100%です。それでもよろしいですか?】   な、なんだよこれ⋯⋯?  え、これってみんな表示されたのか?  一旦顔を上げると、それぞれが嘘のように平然とした顔をしている。  適当に脅されているだけで気にしすぎか⋯⋯? 「う~ん。これだけ探しても分からないなんて、今回ばかりは、ケン選手に従ってやるしかないウニャねぇ」 「嫌々やるみたいな態度取ってんじゃねえぞ、AIだろ

  • 異常のダイバーシティ   98. 屋城≪CastleTop≫

     広いエレベーター内に短い静寂が訪れ、ふとスアの方から口を開く。 「ごめんね、私のせいで遅くなっちゃって」  申し訳なさそうな彼女だったが、誰だって目の前で知り合いが死に逝く様を見せられれば、あんな風になるに決まってる。  むしろ変なのは俺だ。  今までのせいで慣れてしまっているのか、もう人間じゃなくなっているのか、その感覚すらあるのか怪しい。 「みんな待ってるかな、私たちのこと」 「だとしても、ウサネッコがウニャウニャ言って時間稼いでるよ」 「ふっ、なぁにそれ」  ついさっきまで泣いてたスアが笑いだす。  もう悲観することは無さそうな感じだ。 「にしても、"この道頓堀城の中が実はこんな場所がだった"なんて、気付ける訳ないよね。ゲームみたいに突然入れ替わって現れたし」 「こうなる前に、エンナ先輩とモアとウサネッコとさ、スアは入って行ったけど、元々の中はどんな感じだったんだ?」  俺が聞くと、彼女は考える素振りをし、ちょっと言いにくそうにしながらこう言った。 「簡単に言っちゃうと、エロい感じ?」  あぁ、やっぱそういう雰囲気。  当初見た通り、外観のラブホテル仕様のコンセプトを、中でも保っているのかもしれない。  人間はそういった見た目の方が興奮しやすい、とAIも結論を出したって事なのだろう。  そういえば、スアはさっきまで9Kに操られていた訳だが、この感じだとその間の記憶はなさそうに見える。  目覚めたらいきなりドア外へと、戻って来ていたって感じなんだろうか?  スアが分かりそうな部分のみ聞いてみると、次のように話してくれた。 「なんか急に頭がぼーっとしてさ、気付いたらザイたちがいる入り口に戻ってた。で、横見たらいきなりリンカが⋯⋯」  どうやら俺の想像通りらしい。  考える余裕も無く、急に大井さんのアレだもんな⋯⋯。  久しぶりに再会したのに、話したのはたった1分も無く、救う方法すら無かった。  でも違う場所から期待してくれている、コウキも。  エレベーターが着く頃、夜の道頓堀を360度一望出来る一室が広がり、"小さな赤のミサイル新幹線?と青のミサイル新幹線?"が上部で旋回し続けているようだった。  【道頓堀唯一の屋城駅(おくじょうえき)】と書かれた立体看板式駅名標のようなのもある。  これが"道頓堀立体看板新

  • 異常のダイバーシティ   97. 敵討≪RetaliatioN≫

    「ねぇザイ、なんでリンカはこうなったの⋯⋯?」  正直に言うべきなんだろうか。  曖昧にしても仕方ないと思った俺は、"9Kの持つかいじゅうで撃たれた"と話した。 「あそこにある"人骨"って、そういうこと⋯⋯?」 「⋯⋯スアの思ってる通り、9Kも大井さんのを撃たれた結果があれだ」 「なんでアイツがここに入って来たの? アイツのせいでリンカは⋯⋯アイツさえ来なかったら⋯⋯まだ話し合いで解決できたかもしれないのに」  俺だって知りたい、9Kが急に来た理由を。  想像でしかないが、アイツも何かで知って狙いに来たのかもしれない、ここに置いてある"否定理由の一つ"を。  結局は、アイツも集めている一人だった、と思うしかない。  そもそもの話、9Kについてはまだ知らない事が多すぎる。  ウサネッコと契約成立時に教えて貰った内容だけでは、どうも説明付かない事ばかり。  まず、あの"マントを羽織った銃"には、以下の能力があった事になる。 ・謎の泡立つ液体を放出して殺させて"回避延長"  ・別で"赤と青の軌跡を放つ弾丸"を装填可能  ・スアとモアとエンナ先輩を"操れる能力?"  ・大井さんの身体を"毎秒凹ませるほどの継続スクラップ能力?" こんなに多種多様なのを持っていたって事なのか?  その前に、"9K"という名前にも違和感がある。  この"9K"という文字並びに意味があるとするなら、あの"マント羽織る銃"にちなんで付けた可能性だってあるかもしれない。  "K"が英単語の頭文字だとして、多いとか変化とか、その辺の意味から取ってそうでもある。  一つ思い浮かんだのは"kaleidoscope"だ。  "kaleidoscope"は万華鏡という意味もあるが、"常に変わるとか複雑なパターン"とかの意味も含んでいる。  もしそうだとするなら、"9 Kaleidoscope"と仮定すると、本当は"能力が9個あった"という事実に繋がる。  だからなのか、アイツがあれほど行動的でありつつ、容易に自身で作った宗教団体を見捨てたのは⋯⋯。  実は、"9個の隠し能力があるかいじゅう"だったからこそ、他に無い自信を持てたと言う訳だろう。  まだ確信を得るには早いが、納得できるレベルにはなっていると思われる。  思考の世界から一瞬で戻り、今一度スアの話へ返

  • 異常のダイバーシティ   96. 級友≪ClassMate≫

    「ん、あれ」  呟いたスアがゆっくり目を開く。  続くように、エンナ先輩とモアが目を覚ましていった。 「おぉ!? 3人起きたウニャか!?」  一番に驚きながらも、無事を確認するようにうろうろするウサネッコ。  けど、なんでこのタイミングで女子3人は元に戻れた⋯⋯?  ⋯⋯まさか、9Kが何か細工をしていたってことなのか? 「ね、私のせいじゃないって分かったでしょ、キーくん」  考える暇も無く、ふと呟いた大井さんの一言で現実に戻される。  即座に振り向き、彼女へと海銃を構え直したが、様子が先程と打って変わっていた。 「そんな事しなくても、ほら、"いきなり来た変なヤツ"のせいで、こんなんなっちゃったんだけど」  そう言いながら、今度は大井さんの身体がおかしくなっていった。  "ガシャン"という軋む音と共に、なんと身体が凹みだしたのだ。  まるで"見えない機械の手で所々握りつぶされている"かのような、彼女の節々が毎秒ずつ凹まされていく。 「リンカッ!!」  少しずつ潰されていく彼女へと、真っ先にスアが駆け寄ろうとすると―― 「来るなッ! スア、あんたは"こっち側"じゃないでしょ?」 「いまさら何言ってるのッ!? このままじゃ死んじゃうんだよッ!!?」 「見れば分かるってそんなの。ほんと、病院の娘ってお人好しでウザい。ね、キーくん」  皮肉そうにしながらも、どこか最期の優しさを感じるような大井さんの表情。  俺の妄想でしかないけど、きっと心の底から俺たちを憎んでいる訳では無かったはずだ。 「ねぇッ!! どうすればいいの!? 私じゃどうしようも⋯⋯誰か止める方法無いのッ!!? 止めてあげてよッ!!!」  俺たちは首を横に振るしかできない、ウサネッコまでも。  大井さんは、女子3人を"ProtoNeLTと性交させようと加担した一人"な上、コウキと同様で相応の事を仕出かしてきただろう。  同情はしない、それでも⋯⋯。  でも⋯⋯ッ!! 「なんで⋯⋯なんでなんだよ!!! 大井さんも!! コウキも⋯⋯ッ!! 勝手に訳分けんねぇ事するだけして⋯⋯人生から逃げんじゃねぇよッ!!」  やるせない思いを吐き出し、もはや八つ当たりのように大井さんへとぶつける。  もう自分が何言ったかもよく分かってない。  ただ思っただけ、それだけしかない

  • 異常のダイバーシティ   95. 板挟≪Stuck≫

     大井さんの銃に対し、コウキと対峙した時のような衝撃が走る。  またあの通天閣前の時のように、殺り合わなければならないのだろうか、と考えていた時。  不意に、自分の背中に"冷たい何か"がかけられたのを感じたのだ。 「さぁ、これで彼らを殺していいですよ。"あなたがProtoNeLTである"と言うのであれば」  突如として背後からする声に、俺は鳥肌が立った。  この声の正体は、間違いなく"アイツ"だったからだ。 「な、なんでここに9Kがいるウニャか!?」  ウサネッコの反応そのままだった、俺の脳内も。  いつの間にコイツが城内に入って来て⋯⋯。  目の前の大井さんは、顔をしかめ始めた。 「⋯⋯なにこの赤青カボチャ野郎。知らないあんたに指示される覚えないんだけど」  俺とアマとケン、その3人を板挟みにしながら、大井さんと9Kの会話が始まった。  なんとも異様すぎる状況で、余計にこの場から動けそうにない。  一歩たりとも動けば、大井さんか9Kにいつ撃たれるか分からないからだ。  俺だけだったらどうにかなる可能性はあるが、ケンとアマはおおそらく無事では済まないだろう。 「指示などではありません。あなたがしようとしている事、そのままをすれば良いと助言しているだけに過ぎません」  俺の真後ろにいる9Kからは、大井さんに怯える雰囲気を一つも感じず、まるでここにいるのが当たり前かのような喋り様。  見えなくたって分かる、大阪駅地下であれだけ追い詰めたはずだったのに、それでもやられて逃げられたのだから。 「助言だのなんだの、あんたみたいなのに急に言われるのが嫌なんだけど? さっさと出て行ってくれる?」  徐々に大井さんがキレていくのが見て取れる。  これ以上刺激しないでくれと、俺たちは願うしか出来ない。  それかあわよくば、女子3人が元に戻り、9Kをどうにかしてくれたらいいのだが、現実はそうはなってくれない。 「それは受け入れられません。この真ん中の彼が"未だにこっち側"と判定されるのかどうか、ここで見たいのですから」  9Kの言葉に、大井さんは首を傾げる。 「⋯⋯はぁ? 何意味分かんない事言ってんの?」 「なんでもありません、こっちの話なので。ですよね、喜志可ザイ君」  笑みを含むような口調の9Kに、俺の全身から冷や汗が垂れる。

  • 異常のダイバーシティ   94. 大井≪Rinka/Ooi≫

     俺は黄金展望台の正面にぶっ倒れ込んだ。もう何も考えたく無いほどに、頭がショートしている。  タイムリミットはというと、【00:01.54】となったままで止まっている。  さっき書いた解答によって、どうにか"正解ライン"に入ったことで、顔認証と指紋認証が完了した。  失敗ラインと正解ラインがあり、失敗ラインへと針が振り切っていれば、全てが終わっていた。  完璧な解答が何かは分からないままに、自分の出した答えに自信を持つしかなかったというわけだ。  金髪ビリケンの真横には新しく、【イーリス・マザー構想は実は成功していて21年間その成功体は隠れて生き続けている】と、先程の俺の解答が深く刻まれている。  言わずもがな、これが真実かどうか定かではない。  とにかく"前提を全て壊した答え"だろうと思ったのだ、あれだけ周到に"あの実験"を用意している様子からして。  もし、ヤツらAI側がイーリスマザー構想を失敗だったと思い込んでいるなら、あんな公な場所で秘密裏に実験なんてリスクを取らず、どこかの隔離施設でこそこそと成功に近付ける実験をするはずだ。  だって、これまでずっと教科書には、"イーリス・マザー構想は失敗の跡だけが残っていた"って書かれてきたのだから。  先入観で失敗だったんだと擦り込まれている、俺たち世代全員。 「さて、これで3人はやっと⋯⋯」  考えるのをやめ、呟きながらゆっくり立ち上がり、通天閣5Fから新世界の夜景を見つめる。  その少し後、なんとアマからいきなり通話が掛かってきた。  どうやら、解答時だけネットが使えないようになっていただけで、もう使えるようになっているみたいだ。 「ザイ君、間に合ったみたいだね」 「いろいろあったが、何とかな。3人はもちろん帰ってきてるよな?」 「それが、中から出て来たのはいいんだけど⋯⋯」  アマの言葉の羽切が悪く、何故かいい答えが返ってきそうな雰囲気を感じない。  と思っていると、瞬く間にこいつはこんな事を口にした。 「⋯⋯落ち着いて聞いて欲しい。今、僕とケン君は銃を突き付けられている。⋯⋯白神楽さんたちに」 「⋯⋯は⋯⋯?」  すると、突如として大井さんに通話が切り替わった。 「はい終了、キーくんとの話し合いはここまで」 「ちょ、おい、どういうことだ!? 約束した事はちゃんとや

  • 異常のダイバーシティ   5. 天守≪NeoCastle≫

     ―― アフターバンパクシティ 2025年の大阪万博終了後、地下跡地へと新しく作られた、最新AIで駆動している地下都市。あらゆる都市機能の超高度化・効率化したものの導入を目指し、全てAIによって賄われているそうだ。  1ヵ月前くらいから開業したんだっけか。動画で予習してきたから、どの辺に何があるかは何となく分かる。このまま真っすぐ歩いて、突き当たりを左、その次の突き当りを右だ。まぁ、マップ開けば分かる話なんだけど。  ここの面白いところは、特定の壁に近付くと、その壁へ小さくマップ表示できるようになっているところ。他にもいろんなアクションが施され、どんな人でも散策できるようになっている。

  • 異常のダイバーシティ   4. 入場≪Admission≫

    『お待ちのお客様、12の席が動きます。座ったままお待ち下さい』 夢洲駅のとある回転寿司。 アナウンスが流れると同時に、俺とスアのL.S.へと、ホログラムメッセージが伝う。案外早く席が空いたようだ。「うわ、ほんとに動いた!」 驚く彼女の顔は期待感に溢れている。この回転寿司店、さっそく面白いのが、【12】と書かれた待機スペースに座っていると、席がそのまま自動で動いて連れて行ってくれる。会計した場合はというと、また席が動き、反対側から出口へと向かってくれる。つまり、店舗内で歩く必要が無く、他の人と会う事も無い。さっきまで【12】にいた人はもういないだろう。 席へ到着するやいなや、お寿司マ

  • 異常のダイバーシティ   3. 謎卵≪Ovoid≫

     今日は招待された≪急催R.E.D.//SUMMIT≫に出演する日。 俺以外にも数人の"AR e-Sportsプロ"がやってくる。今回はそういった現実感に特化したゲームのイベントが一部あり、土日の二日間で競って総得点で優勝者を決める。 このイベント、今年から始まる世界大会の"World AR E-Sports Championship"、通称"WAREC(ワレク)"への参加権を賭けたポイントも入るため、他も勝ちに来ると思われる。 だからこそ、"昨日のあの事"ばかり気にしてはいられない。昨日は昨日、今日は今日で切り替えないと⋯⋯ 少し考えていると、上からスアが降りて来た。「よぉ。体調

  • 異常のダイバーシティ   2. 蒼紅≪Unknown≫

    「ここね、こうやってどこからでも入れるんだよ!」 「「おぉ~!」」  まさかの壁だった場所が自動ドアのように開いた。大学関係者なら、L.S.を提示するだけで、どこでも開くそうだ。 「私も初めてこっちに来たけど、中はこんな風になってるんだねぇ」  視界に真新しい世界が広がった。まさに近未来とでもいうのか、各々の研究内容が壁に沿うように、プロジェクションマッピングで流れている。こうして興味を持って貰えるよう、工夫しているのだろうか。  静かな廊下で三人の足音だけが響く。周りを見ながら歩いていた時、ふと一瞬、左奥の通路に数人が過ぎ去るのが目に留まった。 「⋯⋯あれって」 「ん? ザイ?

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