旧校舎の三階の奥にあるトイレ。放課後の部活動以外は、付近に生徒の姿はない。 だが今日の昼休憩の時間は違っていた。男子トイレで異様な光景が展開されていた。 トランクス一枚の姿にされ、全身に水をかけられた男子生徒が床にひざまずいていた。両手で顔を覆って泣いている。一年特進コース、備品管理委員の池戸だった。 周囲には、村雨龍を中心に、宇野、松下、鈴木ら六人の男子生徒がいた。 そしてトイレの出入口の前には、生徒会長の村雨春樹。胸のところで腕を組み、冷ややかな目を池戸に向けている。 「キモイんだよ、テメー」 宇野が思いっきり池戸を足蹴にする。池戸が床に転がって大声で泣き崩れた。松下がトイレのモップを池戸の顔面に押しつける。「すぐ言うこと聞いてりゃ、こんなことにならなかったんだ」 「いいか。チクったらテメーのブタ以下の姿を拡散してやっからな。分かったか」 龍が池戸の前に立つと、おごそかに告げる。「いいな。個人ロッカーのマスターキーを持ってくるんだ。お前、それしか道ないんだ」 龍はすぐに春樹のもとへと駆け寄る。「これでいいの?」 「痴漢を目撃したと言っただけでは警察が動くか分からないだろう。朝井のロッカーに女子のブルマが隠してあったら、もう言い逃れ出来ない」 「さ、さすが兄ちゃん」 「それで荒川が自分で書いた文章は手に入ったか?」 「天文部のヤツから『部活動ノート』を取り上げたんだ。荒川がボールペンで書いた文章があちこちにある」 「よーし、これで準備完了だ」
Terakhir Diperbarui : 2025-11-02 Baca selengkapnya