All Chapters of ~スーパー・ラバット~ムーン・ラット・キッスはあなたに夢中: Chapter 131 - Chapter 140

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~第二十一話⑭~ どうして私たちを信じないのですか?

 ふたりの絆を嘲笑うかのように日美子が足早に近づいてくる。「朝井くん、どういうことなのか説明してくれるかしら」 厳しい言葉が容赦なく悠馬に投げつけられる。「ぼ、僕にも分かりません。本当なんです」 悠馬のか細い声。悠馬の声をかき消すように、男子生徒たちの大声。「おい、ウソ言ってんじゃねえよ」 「クラス委員、ヘンタイだと白状せんか」 「みんなにあやまらんか!」 「退学だ、退学」 春樹がゆっくりと悠馬の方に進み出る。生徒たちが一斉に静かになる。まるであらかじめ打ち合わせていたようだ。  春樹が悲しみの表情を悠馬に向ける。心の中では爆笑の真っ最中。  そっと自分の髪をイケメンモードに、さわやかモードにかきわける。「朝井くん。このようなことになって本当に残念だ。ロッカーのキーを持っているのは君ひとり。マスターキーは厳重に管理されている。君もこうなったら潔く本当のことを話して欲しい」 一斉に廊下から拍手が湧きおこる。女子生徒の声援。感動の涙。「朝井君」 松山も近づいてくる。「君のロッカーに隠されていたブルマは、列車内でのわいせつ行為の直接の証拠にはならないが、間接的証拠にはなる。それに新たな犯罪の直接証拠でもある。気の毒だが警視庁本庁まで……」 飛鳥が首を左右に振る。「何の証拠にもなりません。このブルマーは私が悠ちゃんにプレゼントしたものです」 ついに呼び名が、「朝井くん」から「悠くん」、そして「悠ちゃん」に変わった。「あなたがブレゼント?」 「ええ、悠ちゃんのこと愛しているから、私の大切なものを贈りたかったんです?」 「それじゃあ聞くけど何で十枚も二十枚もあるの?」 「それじゃあ聞きますけど、何で十枚、二十枚、持っていちゃいけないんです」 「いい加減なこと言わないで。ブルマのサイズ、それぞれバラバラでしょう。L・M・S! あなたひとりのものじゃないでしょう」 「ストレスで体重が増えたり減ったりするんです」 飛鳥は絶対に引き下がらない。「遠山さんだったね。もうやめよう。これ以上、かばっても無駄だよ」 松山が諭すように話しかける。  飛鳥は松山や日美子をにらみつける。新学期の頃、龍たちにクラス委員を押しつけられて泣いていた飛鳥。だがもう泣いたりなんかしない。  本当は弱虫で臆病な悠馬。本当は他人と争うことなんて絶対に出
last updateLast Updated : 2025-11-12
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~第二十一話⑮~ 飛鳥は負けない

「定期テストが一位の私と二位の悠ちゃん以外、みんな頭の悪い、どうしようもない人たちばかりです。村雨くん」 飛鳥は怒りを込めて、窓から教室をのぞきこんでいる龍をにらみつけた。絶対に目をそらさなかった。「私にムリヤリ、クラス委員を押しつけようとした。それだけじゃない。悠ちゃんにいろんな仕事を押しつけていた。何で真面目に掃除当番やらないの? 理由言いなさいよ」 春樹が不機嫌な顔を飛鳥に向ける。「そうだ。勝手にウサギ持ち出してたよね。どういうこと」 春樹の目に殺気が宿る。龍があわてて反論しようとする。「知らないなんて言わせない。みんな事実だから」 一瞬早く、飛鳥の叫び。龍は何も言うことが出来ない。「イケメンだったら、弱い者いじめや卑怯なことしていいの? 好き勝手していいの? こんな男子がクラスカーストのトップ? あなたたち本当に頭悪いんじゃない。こんなヤツの言いなりになって、私にクラス委員を押しつけようとした。何とかいいなさいよ」 廊下に集まった生徒たちの間に静寂が訪れた。何も言えずに下を向いている。そっと教室から離れていく者もいる。龍は怒りで歯ぎしりしている。イケメンらしくない見苦しい表情である。「分かったでしょう。私と悠ちゃんの言うことが全部正しいの。悠ちゃんは無実。誰かの陰謀で痴漢にされただけ。頭の悪いあなたたちがさっき叫んでいたふざけた言葉、全部そのまま返してあげるから」 飛鳥は悠馬の右手をしっかり握った。悠馬に力強く呼びかける。「悠ちゃん、行こう」 そのまま、悠馬を引きずるように、教室から飛び出していったのである。  生徒たちは下を向いたまま、その場に立ち尽くしていた。  一瞬の出来事だった。松山たちが我に返ったときはもう遅い。飛鳥はあまり知られていない東門から学校の外へ飛び出していた。
last updateLast Updated : 2025-11-13
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~第二十一話⑯~ クライマックスへ一直線

 光頭山のふもとへ続く国道の歩道。追っ手の姿は全く見えない。それでも飛鳥は悠馬の手を握ったまま、全速力で走るのをやめなかった。「だめだよ、遠山さん。僕、警視庁に行くよ。遠山さんをこれ以上、巻き込んだりできないもの」 悠馬が何度も声をかける。「警視庁へ行ったら、そのまま逮捕されてしまうでしょ。絶対にダメ。荒川先生が光頭山のふもとの空地に逃げるようにって手紙をくれたの。何か考えがあるみたい」「京華ちゃんが?」 自然に出た悠馬の言葉に、飛鳥は思わずムカッ。だがここで悠馬を叱りつけることも出来ない。 そして一方で春樹や龍たちは、お抱え運転手の運転する車で別のルートから空地に向かっていた。特に龍はクラスメイトの前で恥をかかされ、怒り心頭に達していた。「龍、落ち着け。どんなに遠山が叫んでも証拠は覆せないんだ」 助手席の春樹が呼びかける。「だって兄ちゃん」「いいか、あいつらを捕まえて警察に引き渡せば、それでいいんだ。朝井は退学間違いなし。全て順調にいってるんだ」「だけどおとなしく捕まるワケないよ。兄ちゃん、どうする?」「遅れてタイガーたちが来る。あいつらが逃げられるワケないだろう」 果たして悠馬と飛鳥はどうなるのだろうか?  
last updateLast Updated : 2025-11-14
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~第二十一話⑰~ 悠馬の母たちも同じ場所へ

 そして空地に向かう国道を別の車が走っていた。運転するのは荒川先生。助手席には悠馬の母、芽衣の姿もあった。「先生、どういうことでしょう。さっき聞こえた不思議な声。確かに女性の声でした。しかも『私はお前たちが研究しているセレネイ人だ』なんて。私、今でも信じられません。先生、どういうことでしょうか?」 悠馬の母がため息をつく。「ごめんなさいね。私にだって説明つかない」 当惑した表情で前方を見つめる。「ただこれだけは云えるのじゃないかしら。地球は銀河系宇宙の小さな星のひとつに過ぎない。だからこの世のこと、全てのことを説明できるなんて考えるのは、傲慢な思いあがりだということ。私に話せるのはこれだけ……」 荒川先生はこの言葉にどう返事をしたらよいのか分からず、黙ってハンドルを握っていた。悠馬の母のつぶやきが聞こえる。「とにかく連絡を入れたから、あの人たちも来るはず。一体、何が起きるのか?」「先生、何か信じられないようなことが起きるのでは?」「もう起きてます。とにかくあの人たちも向かっているはず……」 悠馬の母がつぶやいた通りだった。空き地に向かって走る二台の車があったのである。果たして一体、どうなるのだろうか?
last updateLast Updated : 2025-11-15
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~第二十二話~ 悠馬と飛鳥の前に現れたのは?

時刻は午後四時半を回っていた。空にオレンジ色の絵の具が塗られた。オレンジ色の絵の具は、少しずつ空に広がっていく。  東京都清水市のはずれ。山梨県との境にある光頭山のふもとの空地。近くに住宅はなく、秋の紅葉シーズンに多くの人が光頭山に訪れるほか、中学高校の運動部の活動、イベントが開催されるとき以外は大変寂しい場所である。  悠馬と飛鳥のふたりは息を切らして空地に着いた。空地の周囲には何本かの木が立ち、樹齢数百年を超える杉の木もある。  空地は特に舗装もされていないが、イベントなどに使われる関係で土が平らにならされている。  飛鳥は悠馬の手を握ったまま、高さ五十メートル以上はありそうな巨大な杉の木にもたれた。「遠山さん」 悠馬が恐る恐る控えめに聞いてくる。「どうしてここへ?」 飛鳥が大きくため息をつく。「飛鳥と呼んで」 悠馬は何も言わずに下を向く。飛鳥はじれったそうに悠馬の肩に頬を寄せる。「いいよね」 悠馬の頬が一瞬で真っ赤になったが、気にしない気にしない。飛鳥が続けて何か言いかけたとき……「タースケテー」 突然空に響きわたる絶叫。飛鳥はあわてて悠馬から離れた。ふたりともあわてて左右を見回す。そして無気味な絶叫は二度と聞こえなかった。  飛鳥は鳥の鳴き声だと納得することにした。だがよく考えて欲しい。鳥がお爺さんの声で、「タースケテー」と叫ぶもののだろうか?  悠馬と飛鳥が仲良くするのを許さない人間がひそんでいるとでも云うのだろうか?「荒川先生からね。手紙を貰ったの」 飛鳥がポケットから、四つに畳んだ便箋を取り出す。便箋を広げて悠馬に見せる。悠馬はあ然とした表情。飛鳥は不思議に思って、便箋に視線を落とす。  便箋には何も書かれていなかった。消えるインクで書かれた文字は、空地に来るまでの間、全て消えてしまったのである。「どうして?」 何も書かれていない便箋を見て、声を震わせる飛鳥。  そしてけたたまして車のエンジン音が近づいてきた。  三台のレクサス、そしてハイエースバンが続く。猛スピードで、ふたりのたたずむ杉の木に迫る。  ふたりは思わず、しっかり抱きしめあっていた。  エンジン音がふたりのそばで咆哮をあげる。そのまま、宙を割くようなブレーキ音。  三台の車が、杉の木を囲んで停車。春樹、龍の村雨兄弟と真宮子、そし
last updateLast Updated : 2025-11-16
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~第二十二話②~ 飛鳥は悠馬から離れない

 悠馬はあわてて飛鳥から離れようとしたが、飛鳥は悠馬をしっかり抱きしめたまま、絶対に離そうとはしなかった。「優等生の悠くんが痴漢とか下着泥棒するはずないでしょ。無実なんだから、どこ行こうと自由だから」 飛鳥が大声で叫ぶ。クラス委員選挙のときは泣きじゃくっていた飛鳥だが、今はハッキリと悠馬を助けるために村雨たちと戦おうとしていた。「バーカ、朝井は容疑者なんだよ」 「逃げたヤツが無実と叫んで誰が信じるかよ」 「何が無実だ。アッタマおかしいんじゃないか」 龍や宇野たちが憎々しげに叫ぶ。「テメーら逃がすかよ。警察に引き渡してやる」 「オレたちが逮捕だ」 「何が学年トップと二番だ。お前ら犯罪者だ。死刑だ」 悠馬が首を横に振る。突き飛ばすように飛鳥から離れる。「遠山さんは関係ない。僕、今から警察に行く」 悠馬が力の限りの大声で叫ぶ。小さくて震えていたけれど、ハッキリとした口調で飛鳥をかばったのである。「絶対、遠山さんにかまわないで」 飛鳥はもう一度、悠馬の手を握る。自分の胸いっぱいに悠馬を抱きしめる。「私たち、カップルだから。悠くんを決してひとりにはしないから」 飛鳥の目から涙がこぼれる。愛する人のためなら何でも出来る。飛鳥の決意の涙だった。「その女は性犯罪者の共犯だから。何が学年トップだよ」 真宮子が近づくと、思いっきり飛鳥の頬をひっぱたいた。「やめて! 遠山さんに手を出さないで」 悠馬の悲鳴が響き渡った。悠馬の頬にも平手打ちが飛ぶ。「やめて!」 飛鳥の悲鳴。
last updateLast Updated : 2025-11-17
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~第二十二話③~ 不思議な声

 国道を空地に向かうのは、荒川先生が運転する車。助手席には悠馬の母、芽衣。交通事故が原因の渋滞はいまだに続いている。けたたましくパトカーと救急車のサイレンが響き渡る。フロントガラスからは、前方に停車中の二台のパトカーが見えてくる。  空地に到着するめどはまだついていない。『私はセレネイ人。まだ空地に到着できないのか?』 ふたりの耳にどこからか、ハッキリと女性の声が聞こえる。声の主がどこにいるのか、見当もつかない。歩道に目を向けたが、それらしい女性の姿なんかは見えない。だが女性の声は、まるでステレオのようにかん高くハッキリと聞こえてくるのだ。「今、道路が渋滞しています。いつ到着できるか分かりません」 荒川先生は、どこにいるのか分からない声の主に答えていた。「何ということだ。私は今、空地にいるのだ。事態を穏やかに済ませようとしているのだ。お前たち四人が来ればそれが可能だ。悠ちゃんもそれを望んでいる。あの子は心の優しい人間だ」 謎の声の主に向かって、思わず芽衣が声をあげる。「あなたは誰です? 悠馬と、どういう関係です?」 しばらくの沈黙。「私たちふたりは相思相愛の婚約者だ。遠山飛鳥と云う女が訳の分からないことを言っているが忘れてくれ。あの娘は頭がおかしいのだ」 飛鳥の母は絶対に納得出来ない。「待ってください。私たち、あなたのことなど知りません」 「初対面ではない。悠ちゃんの家で出会っている」 ふたりは顔を見合わせる。「よいか。私自身で全てを解決することは可能だ。だが私は全てを穏やかに済ませたかった。悠ちゃんに私の正体を、どうしても知られたくなかった。だが既に運命の刻限が訪れたようだ」
last updateLast Updated : 2025-11-18
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~第二十二話④~ 絶体絶命

 空地には飛鳥の泣き声が響いていた。そして悠馬の泣き叫ぶ声。「遠山さんは関係ありません。手を出さないでください。帰してください」「悠くんにひどいことしないで~」 大木のそば。恐ろしい魔犬たちが周囲を囲み、ふたりが絶対に逃げられないように見張っている。無気味なうなり声に舌なめずり。 悠馬はスポーツタオルで後ろ手に縛られていた。龍や宇野、松下たちに囲まれ、胸、腹や腰、足を殴られたり、蹴られたりしている。ブレザーの制服は脱がされたうえ、ボタンはちぎられ、ボロボロにされて投げ出されている。 悠馬はフラフラと、今にも倒れそうに揺れ動いている。それでも消えそうな声で、「遠山さんを帰してください。お願いです」と叫び続けていた。「うるせーんだよ。ボケッ」 龍のキックが見事に腹に決まり、悠馬はそのまま仰向けに倒れた。体の上から龍たちが、次々と悠馬の体にキックを浴びせる。「やめて~。悠くんにひどいことしないで。やめて」 飛鳥は泣き崩れる。必死の抵抗も空しく、真宮子たちにスポーツタオルで後ろ手に縛られ、真宮子に髪の毛を強く引っ張られていた。鈴木の取り巻きたちが、飛鳥のスカートをめくったり、胸を触ったりしてくる。こんな卑劣なヤツらが悠馬のことを、「痴漢」とか「ヘンタイ」「犯罪者」と攻撃してきたのだ。 飛鳥の耳に、悠馬の切れ切れの言葉が聞こえてくる。「遠山さん、だ、大丈夫? 遠山さん」 飛鳥は涙で前が何も見えなくなる。自分は何をされてもよかった。飛鳥は、悠馬ひとりを助けたかった。 高校に入って、初めて心から好きになった少年だった。ボロボロにされながらも飛鳥をかばう悠馬の叫びを聞くとき、飛鳥は一生、彼と人生を歩んでいくことを心に決めていた。 だが鈴木たちは徹底的に悠馬と飛鳥を破滅させることしか頭になかった。 「いいな。胸から足まで衣服で見えないところを狙え」 杉の木にもたれながら春樹が平気な顔で言う。「鈴木っ」 取り巻きのひとりの鈴木に声をかける。「はいっ」 鈴木は両手に軍手をはめていた。
last updateLast Updated : 2025-11-19
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~第二十二話⑤~ この世に神なんかいないのか?

「カッターナイフとペーパーナイフ、事務用ハサミ。それから硫酸の入った小瓶に、このゴミどもの指紋をつけました。地面に投げ出しておきます」 鈴木が憎々しげに報告する。「そうだ。オレたちはふたりの犯罪者を追いかけて、穏やかに自首を勧めた。ところがふたりはナイフやハサミでオレたちを傷つけようとした。しかたなく、彼らの凶器を取り上げるため、からみあいになった。これは正当防衛だ。証拠はふたりの指紋のついたナイフとハサミだ」 春樹が満足そうにうなずく。もう声も出ずに横たわっている悠馬に、冷たく話しかける。「いいか。朝井くん、遠山さん」 龍が悠馬の腹を思いっきり踏みつける。「兄ちゃんの言うことを聞け!」 悠馬が弱々しいうめき声を出す。「ほら、ちゃんと聞くんだよ」 真宮子が飛鳥の頬をひっぱたく。「君らはサ。クラスカーストの最底辺の薄汚い陰キャラなんだ。下を向いて、オレたちトップの言いつけを聞いていればそれでいいんだよ。君たちのような見苦しい人間が定期テストで一位、二位を独占なんて絶対に許されないことなんだ。自分のスタンスを忘れた者には、必ずリバウンドが来る。クラスカーストのトップがクラス、そして学校を支配する。それが社会のルールなんだ。今日のことは、君らも教訓になっただろう」 春樹は鈴木に顔を向ける。「警察に連絡だ。犯罪者と共犯を確保したと伝えろ」 鈴木がうなずく。だがその後に、「その必要はない」 よく通る女性の声が空地に響き渡った。春樹たちが不思議そうに左右を見回す。「今、そこに行く」
last updateLast Updated : 2025-11-20
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~第二十二話⑥~ 朝井うさ子の登場

 天に向かってそびえたつ杉の木から、無数の葉が宙に舞った。そのまま、ゆっくりと地面に落ちていく。 杉の木の頂上から何かが急降下したように見えた。 次の瞬間だった。若い女性が悠馬をお姫様抱っこしていた。怒りの表情で、春樹たちを見回すと、悠馬の顔を長い舌でペロペロと舐めまわした。「何してんの? あなた」 飛鳥の悲鳴。「はやく悠ちゃんから離れて。あっち行って」 飛鳥の叫びが空しく響く。ホワイトのブラウスにライト・レッドの袖なしのカーディガン。ブラックのミニスカート。 ウサギの頭部のかたちをしたホワイトの帽子。ウサギと同じ長い耳が、天に向かって伸びている。 そして帽子の下には雪のように真っ白な顔があった。大きな目の中の赤い瞳が、燃えさかる炎のように輝いていた。 悠馬を見つめるとき、その表情は優しさと慈愛に満ち溢れた。 ミニスカートから覗く太腿は、真っ白でマシュマロのようにふんわりと盛り上がっている。大きく甘ったるいスィーツそのものだった。膝から下を包んでいるホワイトのハイソックスは、今にもはちきれそうに汗をかいている。この危うさが、彼女の大きな脚に妖しい光と魅力を与えていた。 悠馬の婚約者を名乗る朝井うさ子だった。
last updateLast Updated : 2025-11-21
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