一週間が過ぎた。私たちは出発の準備を整えていた。北の山脈への長い旅路。未知の敵との戦いが待っている。「リア」マーサが執務室に入ってきた。「各地から情報が集まりました」彼女は分厚い報告書を机に置いた。「影の教団について、少しずつ分かってきたことがあります」「教えて」私は身を乗り出した。「組織は思っていたより大規模です」マーサが資料を開いた。「各地に支部があり、少なくとも百人以上のメンバーがいると思われます」百人以上……予想以上の規模ね。「そして」マーサが別のページを指差した。「彼らのリーダーは『暗黒卿』と呼ばれています」「暗黒卿……」不吉な名前。「顔を見た者はいません」トムが続けた。「常に仮面をつけて、正体を隠しているそうです」「まるで、かつての仮面の術者のようね」私は昔の敵を思い出した。「でも、それより強力かもしれません」カイルが険しい顔で言った。「真の支配者の思想を受け継いでいるなら、ただの魔法使いではない」その時、扉がノックされた。「入って」若い伝道師の一人、アレンが入ってきた。「リア先生、装備の準備が整いました」「ありがとう、アレン」私は彼に微笑みかけた。アレンは以前の遺跡での戦いで、勇敢に戦ってくれた。今回も同行を希望している。「でも、アレン」私は真剣な顔で言った。「今回の任務は、さらに危険よ」「分かっています」アレンが力強く頷いた。「でも、愛を守るためなら、どんな危険も厭いません」その目に宿る決意を見て、私は頼もしく思った。新しい世代が育っている。愛の騎士団の未来は明るい。「では、明日の朝、出発しましょう」私は全員を見渡した。「カイル、マーサ、トム、アレン、そして他の四人の伝道師たち」「総勢八人で北へ向かいます」「はい」みんなが同時に答えた。会議が終わって、私は一人で愛の学校の屋上に上がった。夕日が美しく街を照らしている。平和な光景。でも、この平和が脅かされようとしている。「守らなければ」私は拳を握った。「この街を、この国を、そしてすべての愛を」「一人で抱え込むな」背後からカイルの声がした。振り返ると、彼が穏やかな笑顔で立っていた。「心配してくれてありがとう」私は彼に歩み寄った。「でも、大丈夫よ」「本当に大丈夫か?」カイルが
Last Updated : 2025-10-25 Read more