愛の騎士団が結成されてから三日が過ぎた。マーサの宿屋は、私たちの秘密基地になっていた。毎日、新しい仲間が加わってくれる。パン屋のおじさん、学校の先生、若い夫婦……みんな、愛を信じる人たち。「今日も五人増えたわ」マーサが嬉しそうに報告してくれた。「隣町からも、希望者が」「本当に?」私は驚いた。「そんなに広がってるの?」「愛の力は伝染するのよ」マーサが微笑んだ。「あなたたちを見てると、みんな希望を持つの」希望……私たちの愛が、人々に希望を与えている。それは、とても嬉しいこと。でも、同時に責任も感じる。みんなの期待を背負っているのだから。「でも、まだ真の敵の正体が分からない」カイルが現実的な問題を口にした。「ザイヴァスを操っていた黒幕は、まだ隠れている」「情報収集は進んでるの?」私はトムに尋ねた。「何か分かった?」「少しずつだが……」トムが困った顔をした。「妙な噂があるんだ」「妙な噂?」「王都で、不思議なことが起こってるらしい」「どんなこと?」「人々が、急に愛を否定し始めたって」私の血の気が引いた。「愛を否定?」「ああ」トムが頷いた。「恋人同士が別れたり、夫婦が離婚したり……」「そんな……」「まるで、愛という感情を忘れたみたいだって」これは……新しい記憶操作かもしれない。愛の記憶だけを消す魔法。「時期は?」カイルが鋭く尋ねた。「いつ頃から始まった?」「三日前からだ」ちょうど、私たちがザイヴァスを倒した日。「真の黒幕が動き出したのね」私は確信した。「ザイヴァスが消えたから、直接行動に出た」「目的は?」ソフィアが不安そうに尋ねた。「愛をこの世界から消すこと」私は恐ろしい真実を口にした。「愛のない世界を作ろうとしている」みんなの顔が青ざめた。愛のない世界……そんなものは、もはや世界じゃない。「阻止しなければ」私は立ち上がった。「王都に行きましょう」「危険すぎる」カイルが反対した。「敵の本拠地に飛び込むようなものだ」「でも、放っておけない」私は強く言った。「このまま広がれば、世界中から愛が消えてしまう」「リアの言う通りだ」老婆が口を開いた。「愛を守るのが、私たちの使命」「でも、どうやって戦うの?」若い女性が心配そうに言った。「相手の正体も分
Terakhir Diperbarui : 2025-08-30 Baca selengkapnya