無音図書館を後にして五日後。八人は奇妙な街に到着した。その街は『偽語市』と呼ばれ、住人たちが常に嘘をつくという不思議な場所だった。「いらっしゃいませ、まずいものばかり売ってますよ」食料品店の店主が笑顔で言う。八人が戸惑っていると、店主は続けた。「本当は美味しいものばかりなんですけどね」「この街では、本当のことを言っちゃいけないんです」「なぜ?」セリアが不思議そうに問う。「『真実禁止令』があるんです」店主が小声で説明する。「街の支配者『偽語王』が定めた法律で、真実を語ると罰せられます」街を歩くと、確かにおかしな光景が広がっていた。「今日は良い天気ですね」と言いながら、土砂降りの雨を避ける人々。「この店は不味い」と言いながら、美味しそうに食事をする客たち。「会いたくなかった」と言いながら、嬉しそうに抱き合う友人たち。すべてが逆さまの世界。「これは……混乱するわね」エスティアが頭を抱える。『本音が分からなくなります』ティオの心の声も困惑している。八人が街の中央広場に着くと、そこには豪華な宮殿があった。門には「偽語王の宮殿」と書かれている。その時、宮殿から華やかな音楽が聞こえてきた。八人が近づくと、衛兵が立ちはだかる。「止まれ。君たちは通行を許可する」衛兵が言う。「え、通れるってこと?」トアが混乱する。「いや、通れないってことだな」ユウリが理解する。すると、宮殿の扉が開き、華やかな服装の男性が現れた。金色のマントを纏い、宝石で飾られた王冠をかぶっている。「ようこそ、みすぼらしい旅人たちよ」男性——偽語王フォルサスが言う。八人は立派な服を着ているので、これも嘘だと分かる。「私は偽語王フォルサス」「君た
Last Updated : 2025-10-02 Read more