想いの伝達所を後にして六日後。八人は奇妙な谷に迷い込んだ。その谷では、すべての言葉が何度も何度も反響していた。「こんにちは」ユウリが試しに声を出す。「こんにちは……こんにちは……こんにちは……」言葉が永遠に繰り返される。しかも、だんだん意味が変質していく。「こんにちは……こんに……こ……殺す……」最後には、まったく違う言葉に変わってしまった。「なんだこれ!?」ユウリが驚く。「なんだこれ!?……なんだ……何が……お前が……お前が悪い……」また言葉が歪んでいく。「喋らない方がいいわ」セリアが小声で言う。しかし、その言葉も——「喋らない方がいいわ……喋るな……黙れ……死ね……」恐ろしい言葉に変わっていく。『これは危険です』ティオの心の声だけは、なぜか歪まない。谷の奥から、笑い声が響いてきた。「クックック……また新しい犠牲者が来たか」現れたのは、黒いローブを纏った人物だった。その周囲には、無数の歪んだ言葉が渦巻いている。「私は『反響魔術師』エコーワード」人物が名乗る。「この谷の支配者だ」「あなたが、言葉を歪めてるの?」トアが問う。「歪めてるの?……歪んでる……お前が歪んでる……醜い……」トアの言葉が歪められて、彼女自身を攻撃する。「そうだ」エコーワードが不敵に笑う。「言葉は、繰り返されるうちに歪む」「それが真実だ」空間に、エコーワードの過去が映し出される。彼は幼い頃、伝言ゲームで傷ついた経験があった。自分が言った言葉が、人から人へ伝わるうちに歪み、全く違う意味になった。「『好き』と言ったのに、『嫌い』に変わった」若きエコ
Last Updated : 2025-10-23 Read more