要は天音にキスをしながら部屋に入ると、そのまま彼女をベッドに下ろした。天音の顔は真っ赤に染まっていた。目に飛び込んできたのは、室内を仄かに染める金色の光だった。ベッドには、清浄を象徴する白いシーツが敷かれ、光沢のある金糸が織り込まれた。窓には、夫婦円満を願う、白と金の鶴の飾りが吊るされていた。衣桁には、白無垢と紋付袴がかけられていた。それは結婚式の日に、二人が着たものだった。天音があたりを見回してから振り返ると、要はまだ目の前に立っていた。自分が部屋の様子を確かめるのを、静かに待っているかのようだった。天音が視線を落とすと、要の大きな手が彼女の顔を優しく持ち上げた。要は天音の赤く火照った頬を両手で包み込み、乱れた髪をかきあげて、その綺麗な顔がはっきり見えるようにした。天音が顔を上げて、要の落ち着いた瞳を見つめた瞬間、涙がこぼれ落ちた。ここ二日間の、要の冷たくそっけない態度が胸に蘇ってきたのだ。要の心は和らぎ、眼差しも優しくなった。身をかがめて天音の唇の端にキスをし、情熱を帯びたかすれた声で彼女の耳元に囁いた。「わがままな子だ」要は天音の鼻先にキスをした。「言うことを聞かない」天音の涙にキスを落とし、「涙で訴えるつもりか?」と言った。要が大きな手で天音の腰を抱くと、ベッドに付いていた彼女の両腕から、ゆっくりと力が抜けていく。そして要の大きな手が彼女の頭を優しく包み込んだ。要はキスを続け、その手は天音の腰から膝の裏へと滑らせ、天音をベッドの上へ抱き上げた。要は天音の小さな手を掴み、頭の上へと持ち上げた。両手を頭上で押さえつけられ、天音は慌てて、居心地悪そうに要のキスを避けた。しかし、要は天音を逃さなかった。もう片方の手で彼女の顎を掴んで唇にキスをすると、意味ありげに囁いた。「俺は子供が好きじゃない」要は子供が好きじゃない。好きなのは、天音だ。「俺に抵抗するつもりか?誰に俺が抵抗できると言うんだ?」彼は不満と苛立ちを込めて、少し強引にキスをした。怒りはまだ消えていないようだった。彼の手が天音の顔から腰へと滑り、片手で掴めるほど細い腰を軽く握った。胸に詰まっていたつかえが、すっと消えていった。随分痩せたな。どうしてこんなに心配させるんだ。天音は要の言葉を聞いて、完全に固まって
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