要に抱きしめられ、天音は薄い布越しに彼の体温を感じ取ると、おもわず身を引いてしまった。すると、要もさっと離れた。天音が驚いて顔を上げると、要はソファのところまで離れ、彼女から距離をとっていた。そして、そのままソファに腰を下ろす。どうしたんだろう?あっきまでは、あんなに……思わず要のズボンに目をやってしまった天音は、すぐに顔を赤らめて視線をそらした。天音はその場に立ち尽くす。シルクのロングドレスを身に纏う彼女の白い鎖骨や肩、そしてか細い腕やくるぶしすべてが、ほんのりとピンク色に染まっていた。さらに、その端正で小さな顔の頬は熱を帯び、赤らんでいる。天音がその顔を夕焼けのように赤く染め、要の視線に耐えられなくなったその時、要が口を開く。「おいで」その声は、彼女を怖がらせないようにと、とても優しかった。天音は顔を上げ、要を見つめる。要は子供たちを預けていたので、この家には誰もいない。天音を求めているのは、明らかだ。でも、要は決して無理強いはしなかった。天音が受け入れられるのを、そして、天音の方から自分を求めてくれるようになるのを、要は待っている。しかし、天音は要の落ち着いた瞳を見つめながら、一歩後ずさってしまった。胸の奥に冷たい水を流し込まれたみたいに、なんだか全身が冷たくなる。要はまるで、自分の心に容赦なく流れ込んでくるその冷たい水のようだった。天音がためらっていると、要の瞳から徐々に光が消えていった。滅多に感情を表に出さない要だったが、天音が後ずさるのを見て、明らかに傷ついた表情をしている。その悲しげな瞳を見て、天音の胸はぎゅっと締め付けられた。すると要が立ち上がり、優しく呟いた。「もう、お休み」彼は部屋を出ていこうと、ドアノブに手をかける。その寂しそうな後ろ姿を見ていたら、天音の目から涙が溢れてきた。ダメだと分かっているのに、足は要の方へと向かってしまう。天音が歩き出すと、要も振り返って彼女の方へと歩み寄ってきた。そのまま要は身をかがめ、天音を抱き上げると、ベッドまで運んでいった。涙が浮んだ天音の目元にキスを落とし、掠れた声で「泣かないで」と囁く。「本当は俺のことが欲しかったんだろ?」天音はうつむき、長いまつ毛を震わせる。要のことが直視できずに、胸の前で組ん
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