大智は天音のその返答を聞くと、ホッとして胸をなでおろした。そして、またすぐに目の前のボールに集中し、得意げに笑う。「直樹くんは別にサッカーが好きじゃないけど、僕たちがB国に行くって知ったら、絶対うらやましがるよ」「そうね」天音が軽く返事をし、休憩室を出ると、すぐに美優が後を追ってきた。天音は美優を一瞥したが、特に何も言わなかった。車で庁舎を離れると、天音はまず家に一度戻った。そして美優をうまく言いくるめて、クローゼットから親子三人のパスポートなど大事なものを取り出す。その後、どうやら顔認証システムの設計案が、ついに固まったようなので、慎也の安全センターへと向かった。「会社の方が忙しくなると思うので、これからはオンラインで色々指導させてもらいますね」二階から安全センター全体を見下ろしながら、天音はそう呟いた。そこはサッカー場何十個分もの広さがあり、一万台以上のコンピューターと優秀な研究者たちが集まっていた。夢にまで見たこの場所があったおかげで、『マインスイーパ』をアップグレードし、修復することに成功したのだった。しかし、慎也は違うように受け取ったみたいだ。「隊長が就任したら、忙しくなりますものね。時間が取れないのも理解できます。加藤さん。隊長によろしくお伝えくださいね」天音は静かにうなずいた。慎也と初めて会った時、彼は自分をコネ入社だと見下していたし、要に対してもあまり敬意を払っているようには見えなかった。それが今では、こんなに丁寧な態度をとるようになっていた。天音は慎也と握手を交わす。「ここに来られないと言っても、全力を尽くさせていただきます。絶対に裏切るような真似はしませんから」「はい」天音は安全センターを出ると、今度は雲航テクノロジーへと車を走らせた。夏美を見つけると天音は、「まずはご飯でも食べましょう、話はその後で」と、夏美の腕を掴んで外へ向かった。レストランにて。夏美は天音の隣にいる美優を見て尋ねた。「そちらのお綺麗な方はどなたですか?」「隊長の広報担当者です。もうすぐテレビでも見かけるようになるはずですよ」天音は簡単に紹介した。「千葉美優さん、『美しい』に、『優しい』で美優って書くんです。すごく素敵な名前ですよね」美優はお茶を淹れる手を少し止め、天音の方をチラリと見る。夏美
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