でも、要の周りに智子や椿が現れた時の天音の様子は、明らかに不機嫌だった。「それから家柄だ」「なんで能力は見ないの?」天音が眉間にしわを寄せた。「暁が選んだんだから、みんな優秀だ」「そう……」それでも、天音は少し不満そうだった。「家柄が良くなければ、チャンスももらえないの?」「家柄が良ければ人脈も強い。仕事を進める上で有利なんだ」「何か有利になる家柄が無くても、彼らはその差を知っているからもっと努力するし、あなたにもっと尽すと思うけど」天音は横を向いて要を見た。「それに、私の家柄だって決して良いわけじゃない。それでもあなたは私を選んだでしょ。二位や三位じゃなくて」「君は違う……」「何が違うっていうの?」「広報担当者は人脈も実力のうちだけど、君の仕事は個人の能力がすべてだ。それに、君の能力は高い」コンピューターの世界では、実力があれば、それだけで十分なのだ。基地にいる研究員たちは、仕事もできる上に、天音より経験豊富だったが、天音の実力は、誰もが舌を巻くほどだったので、皆天音には一目置いていた。「あの頃の私はそこまでじゃなかったと思うけどな」天音は呟いた。「ああ。だから、あの時二番目と三番目も選んだんだ」要はそう言って笑った。なぜなら、あの頃の天音はまだ若くて、恵梨香がどうしても手放さなかったから、要は仕方なく別の子を連れて帰ったのだった。天音は一瞬固まった。なんだか胸がモヤモヤする。なんだ、自分は要にとって唯一の選択肢ではなかったのか。ふん。こっちだって、昔は要のことを選択肢にすら入れてなかったんだから。これでお互い様。「その人が気に入ったのか?」要は、天音の手にある履歴書に目を落とした。「うん」「この人、私と同じで片親なの」「じゃあ、俺にお願いしてみろ」天音は目を見開いて要を見た。彼のいつもは冷たい瞳が、今は太陽の光を浴びてとても穏やかだった。いや、穏やかというよりも、天音をからかい楽しんでいるような色が窺える。この人、本当に要?「お願いしたら、聞いてくれるの?」「君の誠意次第だな」要は頭を天音に近づけ、その小さな顔をじっと見つめえう。すると、天音は潤んだ瞳を揺らし、要が着ているシャツのボタンを指で弄んだ。頬を赤くし、甘い声で「お願い」と囁く。要の耳は赤
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