「おい!俺はこの愛くるしいハナと真実の愛に目覚めた!よって、貴殿との婚約は破棄させてもらう!」そんなことをドヤ顔で言われてもなぁ…ハナでしたっけ?最近庶民から男爵令嬢になったばかりの子…えーと、私の元婚約者は伯爵家の一人息子でしたよね?いきなり庶民から男爵家の令嬢でマナーとか大丈夫かしら?まぁ、私には知ったことではないわ。は~すっきりした!だって、元婚約者のハチは名前が犬みたいだし(本人は気にしてるみたい。苦情は名付け親にしてほしい)、致命的に頭が悪いのよね……。ま、それは私と婚約破棄して真実の愛とか言ってるあたりでわかるけど。それはそうと、家に帰ったらとりあえず怒られたりするのかなぁ?でも、私に非はないわけだし?慰謝料取れたりする?慰謝料はオイシイなぁ。**************「よくやった!ハルカ!」おとーさま……抱きつきすぎです。く…苦しい。「あのハナタレノータリンと婚約破棄できて嬉しいぞ!」あってるけど……言い過ぎでは?「そうだぞハルカ!」ぎゃあー!おにーさままで抱きついてきた!お父様から解放されたと思ったら、おにーさま……お母様はニコニコ傍観してるし。タスケテクダサイ。私はお兄様からも解放された後、ある提案をした。「自由な立場になったわけだし(貴族は違うかもだけど)宰相の仕事をやりたいん…だけど……?」「なにー?思わぬ所から下剋上か?そうなのか?ハルカが優秀なのは知ってるぞ、うん。しかしだなぁ、私の仕事を奪うつもりか?」お父様は宰相閣下です。そんなこともあって婚約が結ばれたわけですね、ハイ。ただの政略結婚なので私にはあのハナタレノータリン元婚約者…口が過ぎたかしら?には微塵も興味がありません。「いーえ、そんなことは考えていません!はじめは宰相補佐でも……。……やっぱり女性が職業を持つのはダメですか?」「確かに俺のハルカは美しく賢いもんなぁ」賢いのは宰相として必要かもだけど“美しい”は欲目ですよ、お兄様。そして、いつお兄様のものになったんでしょう?「宰相補佐(・・)ならいいんじゃないか?」お父様……フランクで軽いです。しかしこの国の宰相だもんなぁ。腹の中で何を考えてるのやら?「お父様大好き!!」ふっ。こう言っておけば、あとくされないだろう。カエルの子はカエルとはよく言ったものです。「俺は?」
Last Updated : 2025-08-01 Read more