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3.

Author: satomi
last update Last Updated: 2025-08-01 18:28:40

私は王宮の侍女に案内されて殿下の執務室に到着した。この侍女の女性からも睨まれたんです。怖かった~。

「本日付けで殿下の宰相役を陛下より仰せつかりました、ハルカ=グリーンと申します」

「マジかよ?聞いてない」

それはついさっき決まったからですね。

それにしても……この部屋仕事が溜まってるのでしょうか?そこらに紙が散らばっている。

「まずは整理整頓ですね。あ、ハルカとお呼びください」

殿下……噂では秀才と聞いてるけど、この乱雑に散らかった紙!仕事が遅いんでしょうか?

見た目は眉目秀麗・容姿端麗ですよ。8頭身でしょうか?足長っ。顔小さっ。羨ましい!貴族の令嬢が見初められないかと廊下で待っているのもわかる気がする。

あぁ、私が殿下と仕事をしてるって広まれば、やっかみが増えるのかな?面倒な!仕事なのに……。睨まれたら怖いし、嫌だよ~。

私はひとまず、提出期限順に散らかった紙をまとめて机に置いた。

「君は仕事が早いな」

「ハルカです」

「じゃあ私の事もカイルと呼ぶように」

「畏れ多い。カイル様ですね」

「まぁ、それで手を打とう」

「それよりもカイル様。明日が期限の書類がありますので、決済をお願いします。カイル様が決済をした書類は私が陛下の元へ持って行きますので」

「わかった」

そういうと、黙々と仕事が始まった。そこには私語もなかった。

「ハルカ、明日が期限の書類は全て決済をした。見直して、不備がなければ父上…でなくて陛下の元へ持って行ってくれ」

「わかりました」

この人は……仕事を与えればできる人なのね。ただ……周りにそんな人がいないのでしょう。不憫。

「不備がないので陛下の元へ書類を持って行きます。その間はどうぞ、おくつろぎ下さい。この書類を仕上げるのにかなり集中していらしたから。あら?お茶を淹れる侍女もいないの?ベルは?」

「あぁ、女は俺の側にいると鬱陶しいから、侍女は解雇した」

「私は女性デスケド。……仕方ありません。私でよろしければお茶を淹れます。毒見が必要でしょう。私がしますね」

なんて面倒な王子でしょう。出待ちみたいに一目惚れ狙いで城の廊下で待ち構えている貴族令嬢が不憫に思える。

そうして、私はお茶も淹れ、毒見もし、書類を陛下の執務室へ届けることになった。

**********

「貴女、いったいどういうつもりなの?」

ハイ、件(くだん)の貴族令嬢達に絡まれています。私は一刻も早く書類を陛下の元に届けたいんだけど……。

「本日付で殿下の補佐をしております。ハルカ=グリーンと申します」

「たかが伯爵令嬢じゃないの。お父様の七光りを使って卑怯ね!」

何を言ってるのか?とにかく私は持っている書類を陛下に渡したい。

「陛下の王命です。殿下の補佐をするようにと」

「……王命なら仕方ないわね。ん?何よ、その紙束」

そういって令嬢の一人が紙束を引っ張った。

紙です。無理に引っ張るからビリっと破れました。

あーあ。

「この書類の束はこれから陛下に届けるものなんですが……破れましたか。さて、どの書類でしょう?……あら、因果応報というのかしら?破いた貴女の家の領地に関する書類のようですね。殿下が今日まで決済をしなければいけないものをさっき決済が終わって、これから陛下の執務室に持って行くところだったのですが……」

「わ、私は知らないわよ?」

などと先を争うように言って、蜘蛛の子を散らすように貴族令嬢はいなくなった。

因みに……“貴女の家の領地”というのはデマカセである。なにしろ、令嬢の顔と名前なんて覚えてないから。爵位も領地も知りません。私に社交性という言葉はありません。

「見事だな」

カイル様が柱の陰から現れた。

「ご覧になっていたのですか?部屋でお休みになっているものだとばかり思っていました」

見られた!というか、ここまで来たならご自分で書類の束を持って行けばいいのに……。紙も集まれば結構重い!

「どれ、書類を陛下の執務室まで私が持って行こう」

最初からそうすればいいのに。あ、そうすると貴族令嬢に捕まるのか。と、いうことは……私は生贄?

「ハルカは私の執務室で休んでいるといい。ハルカもこの書類が完成するまで何かしていたんだろ?」

「明後日が締め切りの書類について考えていました。あと、書類の整理とか(次々と来る新しい案件についてとか?)」

私は実際疲れていたので、お言葉に甘えて殿下の執務室で休憩することにした。

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