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All Chapters of おいしい契約恋愛: Chapter 211 - Chapter 220

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211.想いが溢れる夜①

それから近くに停めてあるからと社長の車へ二人移動してきた。「今日車で来られてたんですね」「あぁ。ここ以外にもいろいろ動く予定あったから車のが移動しやすかったし」「そうなんですね。でも、もっと混んでるのかと想ったらそうでもないんですね」「あぁ~。ここちょっと離れたし、皆帰るの逆方向だからこっち来るとそこまで混んでないんだ。まぁ少し歩かせて悪かったけど」「いえ。その間また慧さんにくっついて十分恋人時間堪能出来たので満足です♪」「それは確かに」「はい」「ん。お待たせ」「ありがとうございます」それから車に乗り込んだあとは、いきなり泊まりだと大変だろうと、ホテルまでにある遅くまでやってるお店に寄って、服や小物を買えるようにしてくれた。さすがだな。あたしなんて泊まれることに浮かれてなんも考えてなかった。そうだよな、いきなりお泊りするってことはそういうことだよな。確かに浴衣脱いだらあたしもう自分で着れないし、そしたら着替えいるもんな。しかもメイク道具は持ってるけど、メイク落としとか化粧水とかそういうのも持ってきてないし。なんてスマートなんだ。自然すぎてビックリしたわ。てか、やっぱ慣れてるな……。女性の扱い方めちゃわかってる……。今までもこういうことあったのかなって、少し胸がチクッとするものの、それほど大人でスマートな慧さんに同時にキュンとする。だけど二人の時はこうやって一番にあたしのことを考えてくれる。きっとこれは社長としてじゃなく恋人としてなのだと、一つ一つのそのさりげない気遣いや優しさから、ちゃんと伝わってくる。そのおかげで、あたしの意識も "社長" ではなく、ちゃんと "慧さん" という彼氏に対しての呼び方や感情に自然に変わっていける。そして着いたホテルは思ってたより、やっぱりすごい豪華なホテルで。部屋に入ってもダブルとは言いつつ、めちゃ広い……。え、いつもこんなとこ泊まってるんだ……。「ソファーあるし座って」「あっ。はい」そう言って部屋に入ると、慧さんがソファーへと促してくれる。「ん。スリッパ」「あ、ありがとうございます」「もうそれ脱いで楽にしとけ」「はい」え、もうどこまで気が付くのこの人。「すいません。何から何まで」「フッ。こんなん当たり前だから」当たり前じゃないんだよな。普通の人だと気付かな
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212.想いが溢れる夜②

「それに。せっかくそこまで綺麗にしてんだから。すぐ着替えちゃもったいないだろ」「え、それ慧さんが言ってくれるんですね」「だから。もっとちゃんとよく見せて」「えっ? こんなんでよければ……」「うん。お前のその姿ちゃんと見たい」「あっ、じゃあちゃんと立ってお見せしましょうか?」「あぁ。いいね」「では。はい! どうぞです!」そう言って慧さんの前に立ち、手を広げてクルクルと回って浴衣姿を披露する。「どうですか?」「うん。綺麗だよ」「へへ。やった」こんな時も慧さんは優しく見つめて笑ってくれる。「ホントは。あたしも慧さんに見てほしかったんです」「そうなの?」「このイベントはルイルイたちが浴衣で来てほしいって言ってたイベントで、ファンの子もみんなそれ聞いて浴衣着てきたりして。もちろんそれはそれでこういう格好出来るのとかも嬉しかったんですけど。なんかイベント来てるカップルの人とか見ると、やっぱ普通に慧さんのこと思い出しちゃって、あぁあたしも一緒に来たかったな~、浴衣姿見てほしかったな~って思ってました」「へ~。そんな時までオレのこと思い出してくれてたんだ?」「はい」「そのルイってヤツに会いに来てるイベントだし、オレのことなんてすっかり忘れてると思ってたよ」「ルイルイは推しですけど、あたしがいつでも会いたいって思うのも好きだって思うのも慧さんだけです!」「えっ、それどう違うの? ルイってヤツも好きなんだろ?」「はい。好きです」「で。オレは?」「好きです」「フッ。どう違う訳?(笑)」「全然違いますよー! えーなんて説明すればいいんだろー! ちょっと待ってくださいね! どう言えば伝わるかちゃんと考えますから!」「いやいや、そこまではしなくていいから(笑)」「でも!」「オレのこと好きだってちゃんとわかってるから」「ホントですか?」「あぁ~。いや、やっぱわかんねぇかも」「え?」「だから。ん」「ん?」「ここ。座って」そう言って慧さんが自分の膝に座るように合図をする。「え!? そこ!? なんで!?」「ん? まだよくわかんねぇし」「え? わかったって言いましたよね!?」「やっぱわかんなかった」「え! なんでですかー!?」「だから。こことりあえず座って。もっと近くでよく見せて」「えっ……。近すぎません……?」「あ
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213.想いが溢れる夜③

「慧さん……?」「今度は……ちゃんとオレだけの為にそうやって綺麗にした姿見せてよ」あたしの髪や顔に少しずつゆっくりと触れながら、優しく見つめたまま、慧さんがそう囁く。「はい……。慧さんの為にあたしも着たいです」「ん」「あっ、そしたら、慧さんも一緒に浴衣着てほしいです!」「あぁ~そっか。そうだな。そうしようか」「うわ~嬉しい! 慧さんの浴衣姿見れる♪」「お前の為だけに着てやるよ」「へへッ。やった」「だから、お前もオレの為だけな?」「もちろんです。あっ、そしたら今度はもうちょっと大人っぽい綺麗系の浴衣着たいです」「うん。今のもいいけど、また違う感じのも見てみたい」「はい。楽しみにしてますね」「ん」「あっ!」「何? どした?」「あの、せっかくなら一緒に写真撮りたいです!」「え? 写真?」「はい。せっかく恋人っぽい感じのこと今日出来たんで、その記念に」「あぁ……」「あっ……! もし一緒に写真撮るのマズかったら全然大丈夫です!」そうだよね。あたしのノリでそんなん言っちゃダメだよね……。「いや……いいよ。撮ろうか?」「ホントですか?」「あぁ。せっかくそんな綺麗な格好してるしな。一緒に撮っとくか」「ありがとうございます!」あたしはウキウキで携帯を取りに行って写真を撮る準備をする。「てか、オレこんなん改まって撮ったことねぇわ」「え? 前の彼女とか藤代さんとかと二人で撮ったりとかしなかったんですか?」「あぁ……うん。ないかも。写真撮るの自体あんま好きじゃないし、そういうの残したくないタチだから」「えっ、でも仕事関係では写真も映像もバンバン出てるじゃないですか」「それは仕事だから仕方なくだよ。今のご時世そんなん嫌だとか言ってらんねぇだろ。自分の顔見せて自分の言葉で伝えた方が伝わることも多いし、興味も持ってくれることも多いからな」「確かに、そのお顔を武器にしないともったないです……」「まぁそれがいいときも悪いときもあるけどな」「ですよね。そういうこともきっとありますよね。……じゃあ、なんで、あたしとは撮ってくれようと思ったんですか?」「ん? お前だからかな」「あたしだから?」「そう。お前だから撮りたいって思った」「フフッ。嬉しい」
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214.想いが溢れる夜④

「なんでも今までやったことないことをやろうと思うのは、全部お前の影響」「そうなんですか……? でもそれでやろうって思ってくれるってことですよね」「そうだな。なんかお前に言われたら出来る気したり、一緒だとそれもいいかもなって、不思議となんか思えてくるんだよね」「なんかわかんないけど、嬉しいです」「まぁお前自身は確かにわかんないかもな」「はい」「うん。多分オレだけがお前に感じる感覚だから」「そっか」「だから面白いんだよ。お前といると」「フフッ。なら、あたしが結構慧さんの初めてあげられてるかもですね」「あぁ~そうかも」「じゃあぜひこの二人の写真も初記念ってことで、いいの撮りましょうね♪」「お前そういうの慣れてそうだし任せるわ」「はい! 任せてください! めちゃ得意です! はい。じゃあ、もう少しカメラ入るように近づいてください」「お前が近づけよ。わかんねぇよ」「あっ。そっか」と、答えた瞬間。「うわっ!」慧さんが隣からグイっと腕を持って引き寄せる。「これでい?」「いや、わかってんじゃないですか」「全然?」「フフッ。じゃあ、撮りますよ」そう言って写した写真は、もっと固くなったぎこちない写真かと思いきや、慧さんが少し雰囲気を和らげてくれたことで、二人とも自然に微笑んだ幸せそうな一枚になった。「見てください! これ! めちゃ良くないですか!?」「あぁ。ホントだな。いいじゃん」思わず慧さんにも見せたくなるような写真で。慧さんもそれを見て微笑んでくれる。「ありがとうございます。宝物にします」「宝物って大袈裟だな」「え~宝物ですよ! 慧さんと二人の写真なんて! あっ! 絶対誰にも見せないから安心してくださいね! これはあたしだけの宝物です」「お前だけなの?」「えっ?」「それ。お前一人占めする気?」「えっ? ってことは、慧さんもこの写真もらってくれるってことですか?」「そりゃオレも欲しいに決まってんだろ」「え……ただあたしのお願い聞いてくれただけだと思ってた」「オレもお前との写真欲しいって思ったから。だからオレにもそれ送って?」「はい! 喜んで!」「フッ。居酒屋かよ(笑)」「フフッ」慧さんもその写真が欲しいと言ってくれて、嬉しさでニヤけながらそのまますぐに写真を送る。自分だけじゃなく好きな人も持ってく
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215.想いが溢れる夜⑤

「はい。撮れた」「え!? 今!?」「ん。ホラ」「は? ちょっと、めっちゃブサイクじゃないですか!」「いや。大丈夫(笑) 可愛い可愛い(笑) フフッ」「いやいや、笑ってるからー!」「気にすんな(笑)」「気にしますって~! もう~!」「わかったわかった(笑) ちゃんと撮るから、もっかい立って(笑)」「絶対ですよ?」「うん(笑)」「ちょっと笑ってるし(笑)」「大丈夫(笑) はい、ホントにちゃんと撮るから」「お願いします」「ん」そして改めて気を取り直してポーズを撮る。「はい。これでど?」「あっ、はい。大丈夫です。ありがとうございます」写真を確認して、ようやくちゃんと取れてホッとする。「なら、それも送っといて」「え? これももらってくれるんですか? あたし一人ですよ?」「うん。だから送っといて」「いいんですか?」「いいってなんだよ。彼女の可愛い浴衣姿持ってたいって思うの普通じゃねえの?」「いや、そんなサラッと……」え? これ素? それともふざけてる?「嫌ならいいけど」「え! 嫌じゃないです! もらってください! あっ、なんなら友達とさっき撮ったやつも送りましょうか!?」「ハハ。ならそれも送っといて」「はい!」え~慧さんがあたしだけの写真持ってくれるとか、そんなんさっきよりも嬉しすぎる。あたしホントに彼女なんだ。ちゃんと好きでいてもらえてるってことなんだ。慧さんが最近は戸惑いなくそうやって彼女だと当たり前に話してくれたり接してくれたりしてくれて、少しずつあたしも実感はしてきてるけど。でも、あたしが思ってるより、慧さんはもっとあたしのことをちゃんと好きでいてくれて、ちゃんと彼女だと思ってくれているのかもしれないな。だけど、そんな感じで急遽とはいえ、慧さんお泊り誘ってくれて、別にこんな風に一緒に泊まるなんてことは、たいしたことないってことかな……。あたしは実際ここからどうしていけばいいのかまったくわかんなくて、実は平然としてるように見せかけて、心臓はバクバクだったりする。だってある意味好きな人との初めてのお泊りだよ?同じ部屋で寝ちゃうんだよ?もうそんなんすべてが緊張でしかないでしょうよ……。「なら。写真も撮ったし。浴衣……そろそろ脱ぐか?」「え! 脱ぐ!?」
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216.想いが溢れる夜⑥

たまたまそのタイミングでそんなこと言われてしまったせいで、あたしは必要以上に反応してしまう。「あぁ。うん。ずっとそれ着てるのもう疲れるだろうから、先シャワー使っていいぞ」「あっ……そういうことですね。なるほど」ビビった……。そっか、慧さんはただ普通に着替えたらどうかという意味だったのか……。いや、そうだよな。別にそれ普通に言ってたよな。あたしがなんか勝手に違う感じの意味でとっちゃっただけで……。え、別の意味って何。あたし、何を……!?「フフッ。何? なんかちょっとエロいことでも考えてた?(笑)」「はっ!? いえ!  全然!」嘘です。ホントは思いっきりそういう感じのこと考えてました。「へ~なんだ。残念。じゃあ今日はそういうのなんもなしってことで」「えっ!?」「なんだよ(笑)」「なんも……なしですか?」「は? お前全然その気ないんだろ?(笑)」「いや、そういう訳でもないっていうか~」「フッ。どっちだよ」「あのですね……ワタクシなんせそういう経験が実はなかったりしてですね……。ちょっといきなりはどうしていいかわからないっていうか……」と、聞こえるような聞こえないような小声でゴニョゴニョと呟く。「え? 何?」案の定、慧さんには聞こえてないようで聞き返されてしまう。「えっと……あの~実はですね……」と、さっきよりもう少し大きい声にして同じことを言おうとしたら。「フッ。嘘だよ。ちゃんと聞こえてたから。もっかい言わなくていい」「え! 聞こえてたんですか!?」「うん。全部普通に聞こえてた」「い、意地悪~!」「だってなんかモジモジしてるお前可愛かったから(笑)」「……!」言い返そうとしたのに、普通にちょっと嬉しくなってしまった。「悪い悪い。大丈夫。今日はいきなりここに連れてきただけだから、なんもしないって。まぁ確かに、お前にしたらいきなりこんな状況どうしていいかわかんねぇよな」「はい……」「今日はホントにお前が心配で、ここ連れてきただけだから。元々んなこと考えてなかったから安心しろ」元々考えてなかったのか……。え、じゃあそんな状況であたしは勝手に一人そんなこと考えて悶々としてたと……。うわっ! 恥ずかしすぎる……!「は? え? どした?」恥ずかしすぎて、手で顔を覆い隠していると、慧さんが驚いて声をかける
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217.想いが溢れる夜⑦

「お前さ。なんか勘違いしてねぇ?」「だから……、あたしだけ勘違いしてそういうこと考えてたって言ってるじゃないですか……」「じゃなくて」「??」「オレ。その気ないとか一言も言ってねぇけど」「えっ、でも……。ん? あれ? そうでしたっけ?」「オレはお前にその気ないかどうかを指摘しただけ」「あっ、確かに……」「今日はお前が心配で急遽連れてきたから、なんも手出す気はなかった」「ホラ。やっぱり」「だから、最後まで聞けって」「最後まで……?」「手出す気はなかったけど、それはオレが一方的にって意味で。別にその気がない訳じゃない」「そう……なんですか……?」「そりゃそうだろ。好きな女とこんなシチュエーションになって、なんも感じねぇわけねぇだろ」「そう……なんですね……」「別にお前がその気になってオレを受け入れる勇気あんなら、今すぐその浴衣脱がして身体中愛しまくってやりたいくらいだけど?」「あ、愛……!!  あっ、ちょっと鼻血出そう……!」「フッ。ホラ。お前そうなるじゃねぇかよ(笑)」「だって、それは慧さんがそんな刺激強い言い方するから……!」「これくらいで刺激強いなんて言ってたらお前どうすんだよ」「え……あたし気絶しちゃわないですか?」「知らねぇよ(笑)」「ですよね……ハハ」「だから。まだお前の気持ちも勇気もなんも固まってねぇのに、今日はなんもする気はないってこと」「あっ……そっか……。そういうことなんですね……」「なんとなくお前がそういう感じなんだろうなっていうのはわかってたし。なら余計こんないきなりでお前出来る訳ねぇだろ」「確かに……」「しかも。オレ的にも嫌だしな。他の男にキャーキャー言ってきたあとにするとか、なんか悔しいし」「えっ?」「ってまぁ、とにかくちゃんとお前の気持ち尊重したいと思ってるから」「はい……」「初めてだからちゃんとお前がそういう気持ちになることも必要だし、シチュエーションも大事だろうなとも思ってるから」「そこまで、考えてくれてるんですか?」「こういうことは別に焦ってする必要もねえし」「慧さん……それまで待ってくれるっことですか……?」「まぁそれもお前だからな。オレもお前の初めては大事にしてやりたいって思ってる」「ありがとうございます……」「だから今日はそういうのは心配せずにゆっくり
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218.想いが溢れる夜⑧

それから、先にあたしがシャワーをし、慧さんが続いてから出てくるまでは、またなんか違う緊張で、結局今もソワソワとやっぱり落ち着かない。なんにもそういうことはないとはいえ、でも、あの大きいベッドに二人で……寝る……のは変わらない訳だし……。あたしにはやっぱり緊張するシチュエーションは、まだ残っているんだよね……。あたしはどうしていいかわからず結局さっきのソファーに座ったまま、慧さんを待っていると。シャワーから出てきた慧さんが備え付けのパジャマを着て出てくる。え、何。こんななんてことないパジャマが慧さんが着るとこんなキラキラ輝いて見えるほどのクオリティーになります?なんでこんなカッコよく着こなすんだ、こんななんてことないパジャマなのに……。んで、また濡れ髪とそのパジャマ姿がまたエロ……じゃなくて、セクシーッッ……!いや、これ誘われてません??こっちの慧さんもまたカッコいい!たまに家でこういう濡れ髪のままの時あったりして、それ見かけた時密かにドキドキしてたんだよな。でもその時間だと、そこまであんまり会話することもなかったし、慧さんいつも遅めにシャワー入るから、それ見れるのとかも数えるほどだし。そっか、こういう状況だと、こういうことも普通に見れちゃうんだな。同じ家に住んでるのに、ただ場所とシチュエーションが違うだけで、またこんなにも違う慧さんを知れるんだ。なんか嬉しい……。「あれ? もしかして待ってた?」すると、ソファーで座ってるあたしを見つけて、慧さんが声をかける。「はい」「先寝てていいって言ったのに」「でも……なんかまだちょっと落ち着かなくて……」と、チラッとベッドの方を見てまたモジモジしてしまう。「あっ、そっか。ベッド一つなの結局抵抗あったんだっけ」「抵抗というか……」「どうしていいかわかんねぇよな」「はい……」「いいよ? 普通に寝て」「普通……。普通……。普通……?」普通って何??「あぁ~じゃあオレがベッドで適当に寝るから、お前は自分の好きな距離に離して寝てくれたらいい」「あっ、はい……」そう言って慧さんが先にベッドに入る。「オレはギリギリ端で寝るからお前は真ん中寄って寝てくれていいよ」「えっ、でもそんな……」「好きなとこで寝ろ。おやすみ」「おやすみなさい……」と、自分もベッドに入るも落ち着かな
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219.想いが溢れる夜⑨

……あぁ、そっか。結局こういう感じなのかな。覚悟も勇気も自信も別に満杯になってなくても、ただ好きだと思うことで、そんな気持ち以上に、好きな人に愛されたいと思う、愛してほしいって思う。そんなの満杯にあたしが持てるはずないんだよ。慧さん相手にそんなの一生かかったって自分で満足出来るほどになんてなるはずないんだよ。だけど、こんなに近くにいて、自分が一番近くにいれる存在で、こんなにも慧さんは心を開いてくれてる。元々慧さんは、全然なあたしをわかっていて、そんな自分を受け入れてくれて好きになってくれた。それなら……完璧なあたしじゃなくても大丈夫かな……。慧さんなら、そんなまだまだ自信のないあたしでも受け入れてくれるかな。うん……慧さんは、あたしが自信があるわけじゃないことも、それを意味あることに変えてくれた。慧さんといることで、すべてあたしという存在を価値あるモノにしてくれた。自分だけで思ってたって、わかんないよね……。きっと慧さんなら、受け入れてくれたとしても、受け入れてくれなかったとしても、きっとそこに何か意味があるはずだから……。そう思いながら隣を見ると、端の方で寝ている慧さん。最初は仰向けだったはずなのに、気付いたら慧さんがあたしに背中を向けているのに気付く。寝てるから当たり前なんだろうけど、なんか、なんか……寂しい……。自分でまだその気になれないからって拒否ったくせに、寂しいとか都合よすぎるよね……。慧さんは何も感じたりしないのかな。あたしが一緒のベッドで寝てて、そんな風に背中向けて端に寝るくらい、あたしとはまだ距離を感じてしまってるのかな……。やだな……。ベッドのこんな少しの距離でも、慧さんと離れてることが無性に悲しくなって寂しくなってもどかしくなってしまう。こんな距離でもやだよ。慧さんとほんの少しでも離れたくない……。そして、あたしはもう気持ちが抑えられなくなって、そのまま慧さんの方に少しずつ寄っていき、慧さんの背中にピッタリとくっつく。慧さん寝てる……? これくらいならバレない……?せめて慧さんのぬくもりを感じたいもん。背中ごしそっとくっつくだけなら許してもらえるかな?フフッ。でも背中ごしでも、慧さんの肌の温度とかぬくもりとか逞しさを感じられて、ドキドキして、それでいて安心する……。
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220.想いが溢れる夜⑩

しばらくそうしていたら。「どした……?」と、背中越しに慧さんの声が聞こえる。「え? 起き……て、たんですか……?」「こんなん寝れねぇだろ」「あっ、すいません! つい……!」思わずピッタリとくっついてたのを、慧さんにそう言われてすぐに離れる。すると、慧さんがクルッとこっちを向く。うわっ……こっち向いたら近い……。「依那。もうちょっと真ん中行って?」「あっ、はい……」あたしは、渋々慧さんのいる反対の端まで移動していく。「行き過ぎ」「え?」「真ん中って言ったろ」そう言って端の方へ行こうとしたあたしの手をぐいっと引っ張ったかと思えば、そのまま身体ごと引き寄せられ、今度は真ん中に移動した慧さんの身体にスッポリと抱き締められる。「え……? 慧、さん……?」「んな背中ごしとかもどかしいことすんな」「あっ、はい……」「っつーかお前だけ好きにしてんじゃねぇよ」「あっ、すいません……」「お前さぁ。なんの為にオレがお前に背中向けて端に行ってやってると思ってんだよ」「あたしは……もっと慧さんとくっついてたいです」「……え?」「こんな少しの隙間でも離れてるの嫌です……」「……はぁ。お前なぁ……」すると頭上で慧さんがため息交じりに呟く。「あんま煽んな」「煽っ……!?」「オレが我慢してんのわかれよ……」「我慢……してくれてるっていうのは……、あたしのこと……ですか?」「おまっ……。ストレートに……。はぁ……こんな状況で好きな女横にしてなんとも思わないはずないだろ……」
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