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10.檳榔子黒 - 1

last update Huling Na-update: 2026-01-05 11:00:00

「うふっ ! 凄い ! わたし、人間界では歌に魔法は使ってないんですよ。その割にはいい感じじゃない ? 」

 城下では多くの人々が歌を求めてゾンビのように群がって来た。

「何が望みだ ! 」

 結界の無い部屋の中に戻って来た霧香は「うーん」と悩むふりをして一言。

「喉が渇いたのでお茶が欲しいかな」

「ふざけるな ! 」

「あぁ、そうだ。毒が入ってるかもしれないから、飲めないかぁ。そうだったそうだった」

「……」

 ディーは有り得ないものを見るように、何事も無かったかのように椅子に座る霧香を見下ろす。遂には怒りと興奮が冷めていってしまった。

「こんな騒ぎを……。周囲にどう報告すれば……」

「ふぅ〜。

 人間界からリヴァイアサンの雄が引き上げられて……天界からも追放。あれから何年経った ? 」

「……そんな昔の事を……」

「ただの世間話。

 人間で言えば「離婚した後どうしてた ? 」って事」

「お前を妻と思ったことなどない。

 その品の無い言葉使いをやめろ。俺を誰だと思ってるんだ」

「わたしも貴方が夫と言う自覚無いし、何ならもう敬いの気持ちもない。

 じゃあ本題に。

 まず第三者機関には「レンとは和解して、穏便に話し合いで収まった」と連絡して。今のままじゃ、わたしに問題があるみたいじゃん。レンがペナルティとか貰うのも嫌だし。だいたい、統括が勝手にわたしの家に来て、勝手に危害を加えた訳だし。

 二つ目は、シャドウの記憶をこれからすぐ人間界へ出向いて、戻して」

「あの猫の事は話がついていると言ったはずだ。戻すよう言われてる」

「絶対に戻して。

 そして最後の条件だけど」

 霧香の瞳が凍る。

 また、同じ性質のディーも鋭い視線を返すが、恐れが見える。

「シャドウを治したら、わ

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