【律side】成田空港に到着すると、小島さんが迎えに来ていた。彼女の表情は、電話のとき以上に深刻だった。「寧々は!?」俺は真っ先に、寧々の安否を尋ねた。「寧々はどうなんだ!?無事なのか!?」「まだ確認中だけど、かなり危険な状況だったと聞いているわ」小島さんの言葉に、俺の心臓が激しく鳴った。「寧々さん、命の危険に晒されていた可能性もあるから……」「……っ!」命の危険って、そんな……。俺は、拳を強く握りしめる。歯を食いしばり、こみ上げてくる感情を必死に抑え込んだ。「律……」小島さんは、一瞬言葉を失った。彼女の声が、わずかに震える。「律、あなたはそこまでして、彼女を選ぶのね……あなたの覚悟、しかと見届けさせてもらうわ。私にできる限りのサポートはする」俺は、小島さんの目をまっすぐ見つめて言った。「彼女を守るためなら、俺は何でもします。この命に代えても、彼女を守り抜く」それは、俺の心からの言葉だった。もう、自分の気持ちをごまかすことはできない。***空港から直行で、事務所に向かった。天野沙羅が待っているという連絡があった。事務所の会議室のドアを開けると、沙羅が椅子に座っていた。いつものような美しい装いだったが、その表情には何か追い詰められたような色があった。「律くん……」沙羅の顔を目にした途端、俺の怒りが頂点に達した。寧々が受けた苦しみ、恐怖、そして孤独。それらすべてが、沙羅の顔に重なって見えた。「沙羅、君がやったことは、もはや犯罪だ」俺の声は、自分でも驚くほど冷たく、鋭かった。握りしめた拳が、小刻みに震えているのがわかる。俺は単刀直入に切り出した。「俺の人生は、俺が決める。君に口出しされる筋合いはない」沙羅の顔が、さっと青ざめる。「寧々のことは、俺が守る。もう二度と、彼女に近づくな。彼女をこれ以上困らせないでくれ」俺の声に、怒りが込められているのがわかった。だが、それは寧々を守れなかった自分自身への怒りでもあった。「律くん……」沙羅が何か言いかけたが、俺は続けた。「君のプライドのために、他人の人生を脅かすことは許さない。これ以上、寧々に手を出したら、俺は君を絶対に許さない」沙羅は一瞬怯んだが、すぐに顔を上げ、憎悪と悲哀のこもった目で俺を見据えた。「どうして分からないの、律くん!私はただ、あなたに相応しい存在にな
Last Updated : 2025-10-23 Read more