今の雨音にとって、何よりも優先すべき存在は玲だった。理由などいらない。無条件で味方になり、支える――それが親友として当然だと思っていた。しかし、その一部始終を少し遅れて目にした友也の顔は、みるみる青ざめていく。ここまであからさまに火に油を注いだ雨音を、秀一が許すはずがない。そう直感した。次の瞬間、友也は考えるより先に体を動かしていた。雨音を抱え上げ、そのまま強引に車へ押し込む。抗議の声を振り切り、ドアを閉めると、すぐにエンジンをかけた。「雨音、いい加減にしろ。あれは秀一と玲さん、二人の問題だ。外野が口を出していい話じゃない」「……外野?」車が走り出し、後部座席の窓から見えていた玲たちの姿が完全に遠ざかった瞬間、雨音の怒りは一気に噴き出した。彼女は感情のまま、友也の腕を思い切り叩く。「私は玲ちゃんを助けたかっただけだよ!あんなふうに傷つけられてるのに、親友の私が、黙って見てろって言うの?」それに、今回の秀一のやり方は、どう考えても納得できなかった。自分が間違っていると分かっていながら、同じことを繰り返したのだ。どんな事情があろうと、言い訳にはならない。雨音の目には、秀一は最初から玲と真正面から向き合い、心から尊重していたようには映らなかった。だからこそ、玲は――あれほど愛していた相手を、ここまで信じられなくなってしまったのだ。玲は、かつて弘樹との関係で深く傷ついている。ようやく立ち直りかけていたその心を、今度は秀一が、同じやり方で踏みにじった。彼は知らず知らずのうちに、玲の古い傷を、再びえぐってしまったのだった。「……でもさ」友也は痛みに顔を歪ませながら、なお食い下がる。「秀一は、最初から玲さんを傷つけるつもりなんてなかったんだ。今回、佳苗の件を黙って進めたのも……正直、俺の意見も入ってる。あの女を捕まえられたら、それをきっかけにちゃんと謝れると思って。ほら、サプライズってやつ?女の子って、そういうの好きだろ?」「……サプライズ?」雨音のこめかみが、ぴくりと跳ねた。「何言ってんの?」次の瞬間、雨音は心底うんざりした声音で吐き捨てた。「女の子が喜ぶのって、安心できるサプライズでしょ?こんな地雷原を全力疾走するような真似、誰が嬉しいわけ?友也、女の子の気持ちって、本当に分かってる?それとも、これがみんなが言う
Read more