葉月はお腹がまだ目立っていないうちに、すべてを整えようと考えていた。日にちが進めば、スタジオのことは手が回らなくなるから、代わりにきちんと切り盛りできる人を選んでおかなければならない。それから自分の親には、隠すつもりはなかった。唯一面倒なのは善二だ。善二に知られる、それはつまり逸平が知ることと同じだ。彼はきっと逸平と繋がる機会を逃すわけがないだろう。でも、逸平に妊娠のことを伝えるべきかどうか、葉月はまだ決めなかった。今はすでに離婚した身で、この子が来る時期はどうしても悪すぎた。もし逸平が知って、欲しくないと言ったらどうしよう?その可能性を考えるだけで、葉月の心はぎゅっと締め付けられた。それに最近は、少し座っているとすぐに腰や背中が痛くなる。ひどいつわりはないものの、全体的に体力が落ちている。この状態がいつまで続くのか見当もつかない。ぼんやり考え込んでいると、七海がドアをノックして顔を覗かせた。「葉月さん、お客様です」葉月は反射的に「誰?」と聞き返した。七海は笑みを浮かべ、少しばかり興味津々な表情で言った。「若いイケメンくんです。カッコいいけど、見た目は結構年下っぽいですわ」若いイケメンくん?葉月は軽く眉を上げた。イケメンさんならたくさん知っているが、年下のイケメンくんとなると、すぐには思い浮かべない。葉月はパソコンを閉じ、画面に表示されていた育児情報のページを真っ暗にした。そして立ち上がり、外へ向かった。七海が横に並んで歩きながら言った。「でもあのイケメンくん、なんか見覚えがある気がします。どこかで会ったようですね」答えはもうすぐ出そうなのに、薄い霧に包まれたように、どうしても思い出せない。七海は少年を休憩室に案内していた。こんな寒い日に、かっこいいイケメンくんを凍えさせてはいけない。中へ招き入れ、お湯を出してあげた。悦子たちは言うまでもなく、お姉さん軍団が興奮して若い少年を取り囲み、からかって遊んでいた。少年は落ち着かない様子で、足をぴったり閉じ、体を少し傾け、周りのお姉さんたちと接触しないよう気を配っていた。端整な顔に憂いを浮かべ、時折適当に返事を返している。葉月がドアを開けて目にしたのはこの光景だった。俊康はまるで蜘蛛の巣に落ちた純真な少年のようだった。
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