蒼司はそれ以上、何も返さなかった。だが和真は、彼があれほど強大な妻の家族が後ろにいると思うだけで、どうにも嫉妬でたまらなかった。若いころから蒼司は御曹司の輪の中でもあらゆる面で頭ひとつ抜けていて、真理との仲もとても親密だった。どこへ行っても自分を押さえ込む存在。そう感じていたが、幸い一度の金融危機で水野グループの地位は崩れ、ようやく胸がすく思いをした。彼は蒼司が彩乃の強大な家族の後ろ盾を本当に知らないのだと気づいた。もし知っていたら、堂々と元カノを連れ回すはずがない。この夫婦がどうしてここまで関係が悪化したかなど、彼の知ったことではない。分かっているのは、蒼司がもうすぐ痛い目を見
Read more