蒼司は一瞬、面食らったように目を瞬いた。「真理、君……」真理は慌てて首を振る。「蒼司、誤解しないで。私が子どもたちに言ったのはね、『彩乃さんが白雪姫の継母みたいじゃなくて本当によかった』ってこと。うちの子を大切にしてくれる人が一人でも増えるなら、私、嬉しくてたまらないの。そんなひどいこと、言うわけないでしょう?」そう言い終えると、真理はふたりに向き直った。「きみたちが彩乃ママを好きなのは分かってる。でも、ママを貶めるようなことは言っちゃだめよ」蒼司は、子どもは嘘をつかない——けれど、ときに真顔で筋違いのことも言う、と昔から知っている。だから全部を真に受けるわけにはいかない。行き
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