部屋をよく見ると、大きなソファとパソコン、デスクが二つ、オフィスにしては物が少ないけど、本当に社長室みたいな雰囲気の部屋。「歩ける?ちょっとこっちに来て。ここの窓から見る夜景がとても綺麗なんだ」「夜景!?」 夜景なんて見ている場合じゃ。 予想もしていなかった言葉に驚きながらも、彼のあとをついていく。 大きな窓から見える景色は「キレイ……」 そう呟いてしまうほどネオンで輝いていた。 いや、キレイだけど。 こんなところで夜景なんて見ている場合ではない。「加賀宮さん、もう本当に大丈夫ですから。ありがとうございました」 私は彼に一言伝え、部屋から出ようと振り返った。 が――。 彼に腕を引かれ、止められた。「加賀宮さん?」「今日は帰さないよ」「えっ?」 彼はクスっと笑ったかと思うと「もうこんな演技止めるね」 そう言ってメガネを外し、近くのデスクの上に投げた。「こんな風にまた会えると思ってなかった。まぁ、美月は俺のことなんて覚えてないと思うけど……?」 私、加賀宮さんと会ったことがあるの? 彼に私の名前を伝えてない……よね!? だけど、美月って知っている。 ていうか、さっきと話し方とか全然違う。 加賀宮さんが私との距離を詰める。 右手の手首を彼に掴まれていて、離してはくれない。 一歩下がるごとに、壁際に追い込まれていく。 ついに壁に背中がついてしまった。 近距離で視線が合う。 目を逸らすと、顎を掴まれ「んんっ……」 強引にキスをされた。 片手で彼を押し返そうとするも、彼の身体は動かない。「はっ……。んっ……」 息ができない。力も入らない。「俺がさっきお前に飲ませたカクテル、Love Potionってカクテルなんだ。媚薬とか惚れ薬とか……。そんな風に言われてる。その効果は酒と一緒でしばらく続くから。ね?キスだけで身体がもう反応してるだろ?」 なに、それ。 媚薬とか……。惚れ薬とか……。 そんなの現実に存在するわけがない!「そ……んなの……ウソよ……。あるわけがない」 彼は私の耳朶をカプっと噛んだ。「んぁ……!」 なんでこんなにゾクゾクするの?「ほら?」 耳元で彼が一言囁いた。 声と息が耳に残り、それだけで力が抜ける。「抵抗できなくなった?」
Terakhir Diperbarui : 2025-08-26 Baca selengkapnya