そう言えば、加賀宮さんってモテないの? いや、絶対モテるよね。性格には問題ありだけど、このスペックだもん。「なに?俺のことそんなに見て」 彼と目が合った。「加賀宮さんってモテるんだろうなって思って」「まぁな」 即答、否定しないんだ。彼らしいけど。「俺自身って言うよりは、俺の容姿とか代表取締役っていう役職、金目当てで近寄ってくる奴がほとんどだけどな。仕事中の人柄は演技だし」 確かに。そっか。加賀宮さん、素は基本的には出さないって言ってたもんね。「どうした?そんなこと聞いてくるなんて、心配してくれてんの。他に女がいるんじゃないかって嫉妬?」「はぁ?そんなわけないでしょ!私はあなたと契約してるからこんなことしてるんであって」 言い返そうとした。 が――。 あっれ……? 加賀宮さんが他の女の人と居るところ、一瞬想像したら、どうしてだろう。嫌な気持ちになった。 孝介と美和さんが浮気していることがわかった時とは違う。別の嫌な感じだ。 言葉に詰まる。 そんな時――。<ピンポーン> インターホンが鳴った。 そしてすぐに<コンコンコン>ノックの音。「ちょっと待ってて」 加賀宮さんはベッドから降り、玄関へ向かった。 デリバリーかな?「お疲れ様。悪かったな。また残業?」「いえ。これ、頼まれたお弁当とスイーツです。あと、こちらが美月さんの契約書です」 この声、秘書の亜蘭さん? 私、挨拶した方がいいのかな。これからお世話になるし。 あっ、でもここに私が居るって亜蘭さんは知ってるのかな。「ありがとう。助かった」「お楽しみ中のところだったら、すみませんでした。それでは、失礼します」 彼は言葉少な目にパタンと扉を締めた。「デリバリーにしようと思ったけど、美月に食べさせたいものがあって。亜蘭に頼んだ。契約書もできたみたいだし。ついでに持って来てもらったんだ」 私に食べさせたいもの? 加賀宮さんが紙袋から取り出したのは――。「ええっ!!これ、見たことある!清水亭の超高級ステーキ弁当!!」 私の反応に彼はクスっと笑った。「知ってんだな。あとこれ?」 もう一つの可愛らしい紙袋から見えたのは――。「これっ!!ネピネピのミニフルーツパフェ!?」 彼はハハっと笑い「なんだ。これも知ってんの?」
最終更新日 : 2025-09-26 続きを読む