All Chapters of Love Potion: Chapter 51

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 アパートに着き、部屋の前でノックをする。 加賀宮さんは出てこない。  寝てるかな?「ごめん。私だけど!」 ノックをしながら声をかけた。 すると――。「どうした?」 扉が開き、加賀宮さんが出てきてくれた。「具合が悪いって聞いて」 加賀宮さんはとても怠そうだった。「亜蘭が教えたのか。今日は帰って良いよ」 そう言って彼は扉を締めようとした。 なにその対応! 呼び出したい時だけ呼び出して、あんなことして。「ちょっと!何それ!あなたが帰れって言っても、帰らないから。都合の良い時だけ私を利用して。あなただけズルい!」 何てこと言っちゃったんだろう。 どうして加賀宮さんにはこんな強気なことしか。「わかった。とりあえず、入って」 彼は諦め、私をすんなり家の中へ入れてくれた。 そんなに体調悪いんだ。  ベッドにポスっと座ったかと思うと「ごめん。今、美月、大変な時だろ?働きだしたばかりだし。お前も疲れてると思って。風邪もうつしたくなくて。言葉が足りなかったな」 帰そうとしたのは、彼なりの優しさだったの? なのに私は……。 彼らしくなく素直に伝えてくれたのは、本当に具合が悪いからだよね。「私こそ、ごめんね」「いや、いい」 そう言えば、顔赤い。 彼はそのままベッドに横になった。「あー。久し振りに風邪ひいた。辛い」 加賀宮さんでも弱音とか、吐くんだ。 早く元気になってほしいけど、素直なところとか、そのままでいてくれればいいのに。「ねぇ!着替えなよ。ワイシャツより、楽な格好になった方が良いよ」 彼は相当怠いのか、仕事から帰ってきたままの上着を脱いだ状態で寝ている。「面倒……」 恐る恐る彼に触れる。「熱い。体温計どこ?薬は飲んだ?」 解熱剤飲んだなら、下がっても良いはずだけど。「体温計はどっかに……ある。薬は飲んでない……」 部屋を見渡すも、体温計の場所がわからない。 薬は机の上にあるけど。「ご飯も食べてないんでしょ?」「うん」「ご飯、うどん作るから待ってて。あっ、寝てても良いよ。そしたらちゃんと薬飲んでよ。スポドリも買ってきたから、水分摂って。近くに置いとくから」 ご飯食べてから薬を飲んで、ゆっくり休んだ方が良いよね。「わかった。てか、飯……。作ってくれんの?」 彼はまだぼんやりと目を開けている
last updateLast Updated : 2025-10-07
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