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過去 9

 アパートに着き、部屋の前でノックをする。 加賀宮さんは出てこない。  寝てるかな?「ごめん。私だけど!」 ノックをしながら声をかけた。 すると――。「どうした?」 扉が開き、加賀宮さんが出てきてくれた。「具合が悪いって聞いて」 加賀宮さんはとても怠そうだった。「亜蘭が教えたのか。今日は帰って良いよ」 そう言って彼は扉を締めようとした。 なにその対応! 呼び出したい時だけ呼び出して、あんなことして。「ちょっと!何それ!あなたが帰れって言っても、帰らないから。都合の良い時だけ私を利用して。あなただけズルい!」 何てこと言っちゃったんだろう。 どうして加賀宮さんにはこんな強気なことしか。「わかった。とりあえず、入って」 彼は諦め、私をすんなり家の中へ入れてくれた。 そんなに体調悪いんだ。  ベッドにポスっと座ったかと思うと「ごめん。今、美月、大変な時だろ?働きだしたばかりだし。お前も疲れてると思って。風邪もうつしたくなくて。言葉が足りなかったな」 帰そうとしたのは、彼なりの優しさだったの? なのに私は……。 彼らしくなく素直に伝えてくれたのは、本当に具合が悪いからだよね。「私こそ、ごめんね」「いや、いい」 そう言えば、顔赤い。 彼はそのままベッドに横になった。「あー。久し振りに風邪ひいた。辛い」 加賀宮さんでも弱音とか、吐くんだ。 早く元気になってほしいけど、素直なところとか、そのままでいてくれればいいのに。「ねぇ!着替えなよ。ワイシャツより、楽な格好になった方が良いよ」 彼は相当怠いのか、仕事から帰ってきたままの上着を脱いだ状態で寝ている。「面倒……」 恐る恐る彼に触れる。「熱い。体温計どこ?薬は飲んだ?」 解熱剤飲んだなら、下がっても良いはずだけど。「体温計はどっかに……ある。薬は飲んでない……」 部屋を見渡すも、体温計の場所がわからない。 薬は机の上にあるけど。「ご飯も食べてないんでしょ?」「うん」「ご飯、うどん作るから待ってて。あっ、寝てても良いよ。そしたらちゃんと薬飲んでよ。スポドリも買ってきたから、水分摂って。近くに置いとくから」 ご飯食べてから薬を飲んで、ゆっくり休んだ方が良いよね。「わかった。てか、飯……。作ってくれんの?」 彼はまだぼんやりと目を開けている
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~過去~ 迅side

…・――――…・―――「そんなところで何してるの?」 ここは……。 なんだ、過去の夢か。 幼い頃の俺は、公園の遊具として設置されているトンネルの中に入り、膝を抱えていた。 トンネルの先、明るい光が漏れているところから、声をかけてくる女の子が居た。 話す気力もない。 誰とも関わりたくなくて、その子の問いに答えなかった。 しかし――。<ゴロゴロゴロ……> 空腹のためか、腹の音が鳴った。少し恥ずかしい。「ねえ、お腹空いてるの?」 返事をしない俺に、その子はまだ話しかけてくる。 何も言わなかったら、どっかに行くだろう。 家に帰りたくない。 帰ったらどうせまたあんなことされる。 ここで時間を潰しているのが、一番の平和だ。 どのくらいの時間、そこに居ただろう。 考えることもなく、ただ時間が過ぎるのを待っていた。 その時、近くで人の気配がした。 チラッと相手を見る。「はいっ!半分こしよ?私のおやつ、持ってきた!」 先程の女の子がすぐ近くに居た。 はいっと差し出されたのは、菓子パンだった。 本当は甘えたくはない。 が、空腹に耐え切れず、パッと女の子の手からパンを奪い取るようにして受け取った。「これ、美味しいでしょ?私の好きなパンなの」 俺の態度など気にしない様子で、彼女は微笑みかけてくれた。「おいしい」 ただ一言、返事をしただけなのに「うん!おいしいね!」 目をまん丸くして、女の子はへへっと声を出して笑ってくれた。 それからその子と仲良くなった。「私の名前は、美月だよ!」  自分から名前を教えてくれた。 俺は引っ越してきたばかりだったが、美月は昔からこの公園の近くに住んでいるらしい。歳は二歳ほど俺の方が上だと言っていた。「迅くん、みーつけた」 俺がいつものトンネルの中に居ると、美月は必ず声をかけてくれる。 そして「一緒に食べよ?」 自分の家から持ってきたであろう、食べ物を分けてくれる。 俺が無言でいても「あのね、今日は小学校でねー?」 必ず今日の出来事を話してくれる。 最初は煩わしいと感じていたその話も、今では可愛いと思えてしまう日課になっていた。 そんな時だった。 俺はいつものように公園のトンネルの中で時間を潰していた。 外から美月ともう一人の女の子が言い争って
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~過去~ 迅side 2

「危ない!」 俺は咄嗟に美月へ覆い被さった。 同時に腰に鈍い痛みを感じた。 その痛みに耐える。 その後、子どもの悲鳴を聞いた大人数人が助けてくれた。「迅くん、迅くん!ごめんね!」 美月が大声で泣いていた。「また……。泣いてる。泣くなよ?」「だってっ!血が出てる!痛いでしょ!?」 犬に噛まれたところから出血し、服が血で滲んでいた。「大丈夫だよ。これくらい。俺のせいで、泣かせてばっかりだ」 俺は美月の頭に触れようとした。  その時――。「美月、大丈夫!?」 彼女のお母さんらしき人が駆け寄り、そのまま抱きしめた。「お母さん!迅くんがっ!私のせいでっ!!私が転んだから!!」 その瞬間、彼女は急に何も話さなくなった。動きもしない。「美月?美月!?どうしたの!?」 美月のお母さんが声をかける。 気を失ってしまったみたいだった。  俺は念のため病院へ連れて行かれ、家に帰ると、美月のお父さんとお母さんが家に来た。 父さんが「いや、あれくらいの傷、なんともないんで。大丈夫です」 そう玄関先で伝えていたのを覚えている。 お酒を飲んでいなければ、普通の父だ。 俺がケガをしたことも怒られることはなかった。  数日後、美月のお父さんが一人で公園に来た。「ごめんね。迅くん。怖い思いをさせて」「大丈夫です」 なんだ、美月は一緒じゃないのか。「これはおじさんからのお願いなんだけど、美月ともう遊ばないでほしいんだ」「えっ?」「美月、この間のことでショックを受けていて。今はお家でゆっくりしてる。それで……。何があったか覚えていないようなんだ。キミのことも忘れてしまっている」 俺のことを忘れた?嘘だろ。「美月に怖いことを思い出してほしくない。だからもう話さないでほしいんだ。ごめんね。この前、お詫びにキミの好きなものを買ってほしいとお父さんにお金を渡した。だからこれは約束してほしい」 お金?俺の好きなもの? そんな話、父さんからは聞いてない。 結局、俺は返事をすることができなかった。  一カ月経った頃、美月を公園で見かけた。 お母さんと一緒だった。 てっきりいつものように俺に話しかけてくるかと思った。 遠くから見つめていると、目が合った。  でも、美月が俺に話しかけてくることはなく「早く行くわよ!」お母
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2025-10-09
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願い 1

 加賀宮さんの頭の下に氷枕を置いた後――。 キッチンに立ち、食事の準備をしていた。 そういえば、加賀宮さんって嫌いな食べ物とかあるのかな? 念のため聞きに行こうとしたら、もう彼は寝ていた。 せっかく眠れたのに起こしちゃうのも可哀想だと思い、しばらく何もせず近くに座っていた。 彼の顔をチラッと見る。「綺麗な顔……」 思わず呟いてしまったが、なんだか苦しそうだ。 声、かけた方が良いかな。「加賀宮さん、大丈夫?」 小声で訊ねるも、彼はまだ寝ている。 苦しそう、大丈夫かな。 起こそうか悩んでいると、彼がパッと目を開けた。起きたみたいだ。  私が水を渡した後も顔色が悪い。 風邪とか熱とかじゃなくて、悪夢ってやつのせい?「ねぇ、大丈夫?そんなに怖い夢見たの?嫌な夢は、人に話した方が良いってどこかで聞いたことある。迷信かもだけど。私で良かったら聞くよ」  きっと話してくれない。「大丈夫」加賀宮さんならそう言うと思っていた。 でも彼は「昔の夢。子どもだった頃の……」 そう教えてくれた。 加賀宮さんの子どもだった頃の夢? どんな子だったんだろう。「うん。それがどうして悪夢?」「話したら、美月に嫌われる」 子どもの頃の話なのに、どうして私が加賀宮さんのことを嫌いになるの? 嫌われるって、そんなことを言う彼は、本当にいつもの彼らしくない。 自信満々で、何でも知っていて、強気で、仕事もできる加賀宮さん。 身体はもちろん、精神的にも疲れてるのかな。 加賀宮さんには酷いことされたけど、結局はいつも助けてくれて。 悪い人じゃないって、それだけは今わかるから――。「どうして嫌いになるの?あんなことされて、許せないって思ってたけど。今は加賀宮さんに感謝してる。だから教えて?あなたのこと、知りたい」 ふぅと彼は一呼吸したあと「子どもの頃、血は繋がっていない母親に性的虐待を受けてた。父親はアルコール依存症で。結局、母親に行為を強要されてた時に、酔った父親が帰ってきて。父親は母親じゃなく、俺を責めて。ボコボコになるまで殴った。様子がおかしいって近所が通報してくれたおかげで俺は助かったけど。それから保護されて、施設で育った。体調が悪い時はいつも悪夢を見るんだ」 えっ……。 彼は淡々と話す。私は内容を頭で整理するのが精一杯だっ
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2025-10-10
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願い 2

 あれ?どうして名前で呼んじゃったんだろ。「美月?」 加賀宮さんも戸惑っている。「夢の中と同じ美月だな」「えっ?」 夢の中の私?加賀宮さんの夢の中に私も出てきたの?「それ、本気で言ってる?俺と話すの楽しいって」「うん。本当」 彼はフッと笑って「じゃあ、さっきの言葉は撤回な?関係は終わらせない」 彼の言葉を聞き、ホッとした自分がいた。「うん」 返事をしたものの、罪悪感が残る。 私、結婚してるのに。男の人に自分から抱きついてる。 それに、加賀宮さんとの関係を終わらせたくないって思っちゃった。「美月、なんか腹減った」  彼の言葉でハッと我に返る。 あっ、そうだ。ご飯作る途中だ。「ごめん、今すぐご飯作るね」 彼から離れ、キッチンへ向かう。「いただきます」 私が作ったうどんを彼が一口食べる。「あっつ!けど美味い」 食欲もあるようだし、顔色もさっきより良いみたい。 彼が箸を止めることはなかった。「はい、薬飲んで」 お水と薬を彼に渡す。「ありがとう」「食器、片付けてくる。休んでて良いからね」 私が食器を片付けて戻ると、加賀宮さんはまだ起きていた。「もうちょっと起きてて、薬が効いてきたら軽くシャワー浴びて寝るよ。汗かいたし」  私は帰宅することにした。 早く治すには、ゆっくり休むのが一番だと思う。 大丈夫だって言っているのに、玄関先まで加賀宮さんが見送ってくれた。「今日はありがとう。治ったら何かお礼するから」「いいよ。加賀宮さんにはいろいろお世話になってるから。ちゃんと休んで、早く良くなってね」「ああ」 タクシーから降り、自宅マンションに帰ろうとした時だった。 マンション前を大型犬が散歩していた。 ちょっと苦手、なんだよな。大きなワンちゃん。 可愛いって思うんだけど、触りたいとは思えない。 それは、私が小さい時に犬に噛まれそうになったことがあるからだって、昔お母さんが教えてくれた。 私の横を通り過ぎる時――。 急にわんちゃんが私に飛び掛かってきた。「うわぁっ!」 びっくりして、思わず叫んじゃった。 飼い主さんがリードを引っ張り、わんちゃんを止めてくれた。 尻尾を振っていて、私に敵意なんてないのに。酷い反応しちゃった。「すみません」 飼い主さんが謝ってくれた。「いえ、こち
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2025-10-11
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願い 3

 あぁ、怒ってる。「ごめんなさい。ちょっとバタバタしてて」 お皿を置き、孝介と向き合う。 身体が硬直する。この空気が嫌だ。「お前。今日、休みのはずだったよな?だけど、ずっと家に居なかったって美和さんから連絡が来たぞ。何をしてたんだ?」 ゾクっと背筋が凍った。 急いでいて、細かいところまで考えていなかった。  どうして私のスケジュール、知ってるの? 興味なんかないと思っていたのに。美和さんに一言伝えておけば良かった。 仕事になったって嘘をつけば良かったの? もし嘘がバレたら、まさか本当のことなど言えるはずがない。「急に仕事になったの。伝えるのが遅くなってすみません」 他に言い訳が考えられなかった。「ふーん」 鼻で返事をされたけど、まだ孝介は疑っている。 その場から立ち去ろうとしない。「お前、財布見せてみろ?」 財布?「どうして?」「仕事始めたからって、どこかに隠しておいた金で余計な買い物とかしてるんじゃないだろうな?俺が養ってやってる分際で」 どこかに隠しておいた金? もしかしてあの貯金のこと、バレてるの? 今財布の中を見られたらヤバい。 バッグにはまだ隠している通帳とか入っているし、財布にも下ろしたお金がまだ残ってる。「どこかに隠しておいたお金って、そんなお金があるわけないじゃない。全てあなたが管理しているんだもの」  落ち着け、孝介には私の過去の貯金、バレてないはず。もしバレてたらとっくに取り上げられている。「じゃあ、いいだろ。財布、出せよ」 どうしよう。 出さなくても怪しまれるし、中身を見られても問い詰められる。  その時――。<プルルルル……。プルルルル……> 孝介のスマホが鳴っている。 彼はポケットから取り出し「もしもし?」 すぐに反応をした。「ああ、父さん?今?大丈夫だけど……」  お義父さんからの電話? 「えっ?そうなの。うん。わかった。それは良かった。美月でも役に立って。また何かあったら教えて」 お義父さんが何て話してるのかわからないけど、悪い知らせではないみたい。 電話が終わり「お前、今日本当に仕事になったんだって?わざわざ予定を変えてもらってすみませんでしたって佐伯さんから連絡が来てたらしい。佐伯さんもどうして俺じゃなくて、父さんにお
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2025-10-12
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願い 4

<もしもし?> あっ、出てくれた。「もしもし。今、大丈夫?」<大丈夫。昨日はありがとな。おかげで元気になったよ> 声音は元気そうだ。「まさかもう仕事してるわけじゃないよね?」<いや。まぁ、熱も下がったっぽいし、出社したら、亜蘭に強制的に止められた。今日は休めって。特別俺が対応しなきゃいけない案件はないし、今から帰るところだけど> どうしよう。会いたい。少しだけなら負担にならないかな。会いたいって人に伝えるの、こんなに緊張したっけ? すぅと深呼吸した。「ちょっとだけでも良いから会えないかな?」<どうした?何かあったのか?>「あの……。ただ、加賀宮さんに会いたいだけ」  彼の言葉が止まった。<美月から会いたいって珍しいな。俺のこと、心配してくれてんの?だったらずっと風邪ひいてた方が良いな> いつもの彼のペースだ。「心配はしてるよ」 素直にならなきゃ。<わかった。じゃあ、今から迎えに行くから。どっか飯でも食べに行く?昨日のお礼もしたい>  ご飯食べてる余裕はないかも。「ううん。話があるの。あなたのアパートに行きたい」<わかった。じゃあ、着いたらまた連絡する> 彼との電話が終わり、ソファに座り込む。 私が<昔の名字教えて>って言ったら、教えてくれるかな。 いや、加賀宮だって言われたらそこで終わりだ。 私の知ってる迅くんじゃないかもしれない、ただ名前が一緒なだけの可能性もある。 あっ、もし、本当の<迅くん>だったら、私のこと守ってくれた時に噛まれた傷があるかも。 腰に傷があったら確証できる。 どうやって見よう。まさか急に<脱いで?>とも言えない。 そんなことを考えていると、加賀宮さんから連絡があった。「ありがとう」 迎えに来てくれた加賀宮さんに挨拶をしながら車に乗る。「いえ、お嬢様。これからどちらに?ていうか、話ってなに?」 元気そうで良かった。 私は彼の額に手のひらを当てる。そんなに熱くない。一日で本当に回復したんだ。「美月。手、冷たい」 彼が眉をひそめる。「俺の家で良いの?」「うん」 そのまま彼のアパートへ向かった。 「お邪魔します」 昨日来たばかりの部屋に入る。 相変わらず整理はされていないけど、私が買っていったスポドリとかは飲んでくれたみたいだった。 上着を脱ぎ、ポスっと彼はベ
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2025-10-13
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願い 5

 加賀宮さんの問いには答えず、首筋や鎖骨に唇をつける。 私はこんなにも必死なのに、彼は私の髪の毛を指先で巻いて遊んでいるくらい平気。 服を脱がしながら、キスをした。 心臓が飛び出そう。 半裸の彼、腰の部分をチラッと見たが、よく見えない。 傷がある部分は、たぶん右腰の後ろだ。 この状況で<後ろ向いて?>は無理がある。 だったら――。 私はベルトを外そうとした。 カタカタっという音がするも、緊張で手が震えてなかなか外せない。 すると「もういいよ。美月」 止められた。「そこまでして、美月が知りたいことって何?頑張ったから、一つだけ答えてあげる」「えっ?本当!?」 ああと言いながら「水持ってくる」 彼がベッドから立ち上がった。 あっ!! 彼がまだ服を着ていなかったのが幸いした。 私が予想した通りのところに、何かに噛まれたような傷があった。二つ点が付いている。 こんな偶然が重なることなどそうはない。 目の前に居るのが、子どもの時に大好きだった迅くんだ。「美月もなんか飲む?」 彼はいつもと変わらない様子だった。 私が過去のことを思い出したなんて知ったら、どんな反応をするんだろう。「ううん。大丈夫」 なんて聞けば……。「で、質問って何?」 彼の目線は私に向けられている。「子どもの頃……。私と仲良くしてくれた迅くんは、あなたなの?」 洋服を着ようとしていた彼の動きが止まった。「その腰の傷は、私の代わりに犬に噛まれた時のもの……だよね?」 お互いにその後、無言になった。 それは時間にすると十秒くらいのもの。けれど、その十秒が数分以上経っているような感覚だ。 加賀宮さんは真っすぐに私を見据えている。「そうだよ。美月」  子どもの頃、毎日優しく私の名前を呼んでくれたのに、今まで思い出せなかった。 それが悔しくて「迅くん!」 私は子どもの頃のように、彼に抱きついた。 「どうしたんだよ。てか、昔も泣いた後、抱きついてきたよな?」 ハハっと彼は笑いながら、ギュッと私を抱きしめてくれた。「ごめん!今まで忘れていて本当に、ごめんなさい!ねぇ、あの時、痛かったよね?」 彼が抱きしめてくれて、嬉しいと感じてしまった自分がいた。「何十年前の話してんだよ」「だって。信じてくれないかもし
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2025-10-14
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決意 1 (美月side&迅side)

 涙が止まらない。 私は孝介から、九条家から逃げられない。 この気持ちも<いつか>は、忘れなきゃいけない。「あー、ずっとこうしてたいけど」 そう言うと迅くんは私の手を引き、ベッドへと座らせた。「とりあえず、服、着ようか?落ち着いて話がしたい。このままだと俺の理性がヤバい」 あっ、そういえばキャミソールだ。「うん」 目を擦り、返事をする。「美月が俺のことを必要としてくれるのなら、俺も美月にお願いがある」「お願い?」 なんだろう。「美月は、孝介とずっと結婚したままで良いの?」 孝介とは何度別れたいと思ったことだろう。「私は別れたい」 私を取り巻く環境、全て何も考えなくて良いのであれば、離婚したい。「美月が有利に離婚できるように、協力してほしい」 私が有利に?「本当だったら今すぐに美月をあいつから離したい。けど、相手は九条という名家で、金も持っている。普通に争っても、美月が不利だ。何も非がなくても、何か仕組まれて慰謝料を請求される側になる」 迅くんの言った通りだ。 私の立場では何も言えない。例え孝介が浮気をしているとか、DVを受けたって証言しても、お金の力を使えば、向こうが優勢になるに決まっている。「私にできることならする。迅くんが居てくれるのなら、どんなことだって頑張るよ」  ずっと諦めていた。一人だと思っていたから。私一人が我慢すれば、いいことなんだって思ってた。今は私のことを想ってくれる人が近くに居る。怖くない。 彼はフッと笑って「わかった。じゃあ――」 これから私のやるべきことについて教えてくれた。「うん。やってみる」「俺は俺で動くから」 彼がポンっと頭を触ってくれた。 彼が一緒なら、あの九条相手でも勝てるような気がするのはなぜだろう。 その時<ぐぅぅぅぅ>と私のお腹の音が鳴った。 こんな大切な場面なのに! 恥ずかしい。一気に顔が熱くなった。「お昼、何も食べてなかったもんな。なんかすぐ食えるものあったかなー」 彼は笑いながらキッチンへ向かった。「ごめん。私、大丈夫だから」 慌てて立ち上がり、彼の背中を追う。「あっ。菓子パンなら一つあるけど。食べる?」 あっ、それ。 昔、子どもの頃、二人で半分こした時のパンに似てる。「半分こ……」「えっ?」「迅くん
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2025-10-15
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決意 2 

 次の日――。  迅くんへ気持ちを伝えてしまった。 私は迅くんのことが好きになってしまった時点で、孝介と変わらない道を進もうとしている。自分が不倫を経験するなんて。もう戻れないと思っているが、後悔はない。「よろしくお願いします」  カフェに出勤する。 あれっ、珍しくスタッフルームに誰も居ない。 チラッとキッチンとフロアーを見てみる。 いつもよりスタッフさん、少ない気がする。 どうしよう、藤田さんか平野さんに一日の予定を確認してから始めるように言われてるんだけどな。   その時扉が開き、平野さんが慌てた様子で電話をかけながら控室に入って来た。「そうなんです。体調不良と私情で急遽スタッフが三人も休んで。日勤が足りないんです。夕方くらいからはアルバイトが数名入る予定なので、大丈夫だと思うんですが。ええ。はい。応援を頼みたくて……。藤田は今日休日で。一応、出勤できるか連絡してみたんですが、まだ返事がありません。あぁ。はい。わかりました。よろしくお願いします」 そんなにスタッフさんお休みになっちゃったんだ。大変だ。私なんかに教えてる場合じゃないよね。「すみません。九条さん。今日はなんかバタバタしそうで。スタッフが何人か休みになってしまって。今本部に応援要請をしました。申し訳ないんですが、九条さんにゆっくり教えている余裕がなくて。今日もフロアーで見学してもらっても大丈夫ですか?」「私は大丈夫です」 スタッフさんが大変なのに、私はゆっくりフロアーで見学か。申し訳ないな。「あのっ!」 フロアーに戻ろうとした平野さんを呼び止める。「私で良かったら手伝います。食事を運んだり、食器を下げたりするくらいはできると思うので」 一応、メニューも覚えている。「お気持ちは嬉しいんですが、勝手にそんな判断をしたら社長に怒られちゃいますので」 平野さんは苦笑いを浮かべた。 そっか、それはそうだよね。 私は彼らからしてみれば、取引先のお偉い令嬢みたいな存在だから。「わかりました。私が加賀宮社長に相談してみます」「直接社長にですか?」 いや、迅くんより先に「すみません。まず、佐伯さんに相談してみます」 直接社長に直談判なんて、一般企業じゃしないよね。「はぁ……?」 平野さんは返事に困っているみたいだった。 私は亜蘭さんに電話を
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2025-10-16
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