智昭からメモを受け取り、真琴は頷いた。「分かりました、社長。後ほど森谷さんと相談して決めます」真琴が答えると、智昭はさらにいくつかの追加指示を出し、真琴は下のフロアにいる淳史の元へ向かった。二人でリストを見ながら分担を話し合った結果、信行、貴博、そして七十代の老婦人の三名を真琴が担当することになった。淳史は別の三名を担当し、残りの二名は他のチームメンバーに割り振られた。担当リストを持って自席に戻ると、真琴はまず老婦人に電話をかけた。老婦人によると、製品は昨日届き、昨夜は孫が触っていたものの、朝になったら自分がどう使えばいいか忘れてしまったという。相手は高齢だし、家庭用ロボットなどという最先端機器を電話だけで説明するのは難しい。真琴は、今日の午後に直接訪問して使い方を説明すると申し出た。「いいの?助かるわあ、本当に気が利くわねえ」老婦人は喜び、電話口で何度も礼を言った。笑顔で通話を終えると、真琴は早速AIを使い、高齢者でも直感的に分かるような簡易マニュアルを作成した。準備が整うと、次は貴博に電話をかけた。コール音は短く、すぐに貴博が出た。「はい」真琴は慌てて背筋を伸ばし、名乗った。「五十嵐事務局長、こんにちは。アークライトの辻本です」電話の向こうで、貴博の声色がふっと柔らかくなり、笑いを含んだものに変わった。「ああ、辻本さん」真琴は恐縮しながら用件を切り出した。「ご連絡したのは、弊社製品のモニター体験についてです。もしご不明な点やご提案などがございましたら、いつでもご連絡ください。この番号が私の直通ですので」真琴は落ち着いて、あくまで礼儀正しく事務的に用件を伝えた。だが、電話の向こうの貴博の声は、さらに優しさを増した。「送っていただいた製品ですが、実は多忙でまだ開封できていないんです。実際に使ってみて、疑問や提案があれば連絡します。それでよろしいですか?」真琴は答えた。「はい、もちろんです。お忙しいところ失礼いたしました」そうして通話を終えた。だがその後、数日経っても貴博からの連絡はなかった。質問も提案もない。きっと激務で、試す暇もないのだろう。だから、真琴もあえて催促はしなかった。信行に関しては、製品を受け取った直後に出張へ出たことを知っていたので、とりあ
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