あたりはすっかり暗くなっていた。窓の外へ目をやると、向かいのビルの上に半月が浮かんでいる。月を見上げ、真琴は深く息を吐き出した。今、自分と信行がどういう間柄なのか、すぐには言葉にできそうもない。渚が巻き起こしたあの騒動のせいで、生活のリズムは完全に狂い、信行との関係までかき乱されてしまった。重い気分のまま外を見つめていると、背後で物音がした。ハッと我に返り、振り返って信行と言葉を交わした。手は出さないという約束通り、信行は実に律儀だった。彼女を腕に抱いて眠る以外、本当に何もしなかった。その間、信行もかなり深く眠れていたようだった。*翌朝、真琴が目を覚ました頃には、すでに祐斗が着替えを届けていた。彼女がそばにいさえすれば、信行は何から何まで手配してくれる。真琴が気を揉む必要など微塵もなかった。身支度を整え、出かけると声をかけた真琴に、信行はじっと視線を向けて言った。「今朝、紗友里と話した。今日は戻って来られないそうだ」信行のささやかな思惑など、真琴にはお見通しだった。入院中の信行を前に問い詰める気にもなれず、何気ない調子で視線を返した。「分かった。夜、またご飯持ってくる」一呼吸置き、真琴は言葉を継いだ。「退院したら、ちゃんと話しましょう」昨晩ずっと考えあぐねていたが、このまま曖昧にはしておけない。信行ときちんと向き合い、自分自身の調子を立て直す必要があった。とりわけ、体の状態を。真琴の言葉に、信行はそっと彼女の頬に触れ、素直に頷いた。「ああ。退院したら、ゆっくり話そう」今の真琴は頑なになっている。信行は機嫌を損ねまいと必死で、言われるがまま二つ返事で受け入れていた。真琴は右手を伸ばし、信行の手首を少しの間握ると、静かにその手を離した。そうして仕事へと向かった。ここ最近はずっとラボに通い詰め、実験データの整理に追われていた。だが昨日のうちに一区切りついたため、今日の業務はそれほど多くない。午後3時過ぎには手が空いた。デスクから紗友里に電話を入れてみたが、やはり今日は戻れそうにないという。ふいに手持ち無沙汰になり、やることがなくなってしまった。以前、東都にいた頃は、空き時間さえあれば紗友里と一緒に過ごしていた。幼い頃から変わらない2人の習慣だ。席の前
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