光雅は言葉を継いだ。「これから市庁舎へ顔を出さなきゃならなくてね。急ぎの用がないなら同行してもいい。少しは勉強になるだろう」光雅が仕事に同行させてくれると聞き、紗友里は考える間もなく即答した。「うん、行く!ぜひ勉強させてもらうね」返事をしながら、胸の内が甘い喜びに満たされていく。今日足を運んだだけでこんな展開になるなど、光雅自ら市庁舎へ連れて行ってくれるとは夢にも思わなかった。市庁舎へ同行した紗友里は、邪魔にならないよう静かに後ろをついて回り、そつなく細やかにサポートをこなす。機転を利かせる紗友里を見て、光雅は信行よりずっと愛嬌があり、気の利く女性だと感じていた。夕方6時過ぎ、仕事を終えた光雅は、関係者一同の会食へも当たり前のように紗友里を同席させた。光雅がグラスを傾ければ、紗友里が甲斐甲斐しくお酒を注ぎ足す。周囲と仕事の話に花を咲かせる間も、隣で大人しく耳を傾けていた。やがてお開きになり、一同が代行の手配を始める中、紗友里が光雅の身体を支えながら声をあげる。「私、お酒飲んでないので。西脇社長を送っていきます」2人揃ってやって来たのを知る面々は、その申し出を受け入れ、光雅の送迎を紗友里に任せることにした。挨拶を済ませると、紗友里は車を発進させ、光雅を乗せて店を後にした。助手席の光雅は、今日はずいぶんと酒が進んでいた。本来なら飲むつもりはなかったが、幹部連中が熱心に勧めてくるため、顔を立てて付き合わざるを得なかった。車が走り出してしばらくすると、光雅はふっと視線を向けた。運転席の紗友里を見つめ、口を開く。「兄さんより可愛いな」褒められた紗友里は途端に嬉しさを隠せなくなり、得意げに胸を張った。「当然でしょ。信行なんかより、私の方が何倍も可愛いに決まってる」屈託のない自信に、光雅は思わず笑みをこぼす。裏表がなく、実に素直な性格だと感心した。紗友里が続けて尋ねる。「どこに向かえばいい?家、それともホテルまで送った方がいい?」光雅は自宅の住所を告げた。30分ほど車を走らせ、紗友里は光雅を自宅マンションへ送り届けた。車を降りる際、光雅の足取りがおぼつかないのを見て取り、すかさず身体を支えて部屋まで付き添う。大雑把で警戒心のない紗友里は、室内に入ってからも気遣いを見せ、白湯
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