「うん、大成功」ちょうどそこへ、カットフルーツの盛り合わせを持った初恵がやってきた。「あら、詩織。披露宴はもうお開き?」「ううん、途中で抜け出してきちゃった」詩織は小鳥のように口を開けて、母に「あーん」をねだる。初恵が苦笑しながら、大好物のイチゴを放り込んでやる。すると、隣でミキも同じように口を開けて待っていた。初恵は吹き出しながら、彼女の口にも甘い果実を運んでやった。ハムスターのように頬をいっぱいに膨らませたミキが、もごもごと口を動かしながら尋ねる。「んぐ……で、なんで早退?誰かに嫌なことでも言われた?」とっさに「ううん」と首を振りかけたが、すぐに思い直した。ミキの前で強がっても意味がない。二人の間に秘密など存在した試しがないのだ。詩織は観念して、式場での不愉快な出来事を洗いざらい話して聞かせた。話を聞き終えるなり、ミキは汚い言葉で罵った。「はあ?また猫かぶりの性悪女?京介さんってば、どうしてこう地雷ばっかり踏み抜くのかね。前のゲス帆といい、今回の霜花といい、女運が壊滅的じゃない?」京介の女運については、詩織の関知するところではない。それよりも気になるのは、なぜ今ここにミキがいるのかということだ。「昨夜のLINEじゃ、深夜ロケで死にそうって言ってたのに」「それは全部、休みを無理やりねじ込んであんたに会いに来るため!本当はずっと前から来たかったんだけど、撮影スケジュールが鬼でさ、制作陣が全然離してくれなかったのよ」「……もしかして」詩織はハッとしてミキを見つめた。「私が今日、結婚式で辛い思いをするんじゃないかって心配して、わざわざ駆けつけてくれたの?」ミキは「……」と口ごもった。図星らしい。詩織は友人の過保護ぶりに呆れつつも、きっぱりと言った。「心配しすぎよ。辛くなる要素なんて一つもないわ」京介とは何かが始まったわけでもないし、仮に過去に多少の縁があったとしても、今の詩織には何の影響もない。彼など、人生ですれ違っただけの「通行人」に過ぎないのだから。その夜、ミキと詩織は一つのベッドに潜り込んだ。電気を消してから小一時間、二人はまるで機関銃のように、ここ最近出会った「いけ好かない奴ら」八百人分の悪口を言い倒した。話題は自然と、賢のことにも及んだ。「もったいないなあ」ミキはずいぶ
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