ウェブページを次々とめくっていっても、結局はどれも黒澤グループの技術の話に行き着くばかりだった。そんなとき、業界ニュースが一本、突然ポップアップで表示された。【新鋭の研究会社が十億を投じ、世界中から心肺分野の研究チームを募集】思わず目が止まり、息を詰めて一文字ずつ読み進める。その会社が研究している病気は、今の母の症状とあまりにもよく似ていた。しかも、その会社は一年以内にこの病気に最も効果的な治療法を開発することを目標にしているという。この知らせは、私にとって暗闇の中に差し込んだ一筋の光だった。ようやく時生から離れられるかもしれない。そんな希望が胸に灯る。私はすぐにこのプロジェクトの発起人を調べた。国際的な研究界で高い評価を受けている医学の権威、神崎玄吾(かんざき げんご)という人物だった。ちょうど明日、潮見市で国際心臓血管サミットが開かれる。彼はその登壇者の一人らしい。プロジェクトの最新情報を少しでも手に入れるため、私はすぐ会社に申請を出し、明日その学術サミットを取材したいと伝えた。編集長はすぐに許可をくれた。……翌日、潮見市で開かれた国際心臓血管サミットの会場は、業界のエリートたちであふれていた。主催者や投資家の姿も見える。記者証を首から下げ、人混みをかき分けて進んだその瞬間、視線が思いがけず見慣れた人影とぶつかった。時生だった。仕立てのいいダークネイビーのスーツをまとい、会場の中心で誰かと談笑している。相変わらず、近寄りがたいほど堂々としている。私は反射的に目をそらそうとした。今日の目的は玄吾だ。けれど、もう時生はこちらに気づいていた。わずかに眉をひそめ、値踏みするような目を向けてくる。まるで、私が黒澤グループの設備目当てで来たと決めつけているみたいに。そのとき、優子が父の忠平と兄の明彦を連れて、時生のそばへ歩み寄ってきた。時生の視線の先を追うように、三人も私に気づく。次の瞬間、優子は甘えるように時生の腕に絡みつき、そのまま私のほうへ歩いてきた。目の前で立ち止まると、優子は誇らしげで、どこか見下したような笑みを浮かべる。まるで羽を広げた孔雀のようだった忠平と明彦は時生の後ろに立ち、親子そろって重たい視線を私に向ける。その目には露骨な敵意が宿っていた。先に口を開いたのは
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