時生の登場がきっかけで、ネット上ではむしろ好感を持つ人が増えていった。【黒澤社長、出てきて!優子さんとの結婚式はいつになるか教えてよ!】【黒澤社長は優子さんを大事にしないとね。こんな時間まで、優子が黒澤社長の会社のために頑張ってるんだし!】【夫婦仲が良ければ無敵、この二人はこれからもっと幸せになるに違いない!】【……】優子は笑顔で答えた。「みんな、旦那のことをからかわないで。彼、恥ずかしがり屋だから、顔を出すのも嫌いなの」彼女がそう言い終わると、コメント欄には「優子と時生はもう内緒で結婚したの?」といった憶測が次々と書き込まれた。真夜中、紗奈から電話がかかってきた。「もうイライラして死にそう!どうして神様はあの恥知らずな二人に天罰を与えてくれないの!?見た?あの女の配信」私は文字を打ちながら答えた。「うん、今見てるところ」紗奈が急に思い出したように言った。「そうだ、あなたのあの生意気な子、今ほんと可哀想よ!先生が今夜、黒澤家の別荘に家庭訪問に行ったんだけど、時生が『仕事で戻れない』って言って、別の日にしてもらったんだって。新しい子ができたから、もう前の子はいらないってこと?」私は胸がざわついて、思わず聞き返した。「今夜、心菜は黒澤家の別荘にいるの?」「そう。先生が行った時には、心菜と大勢の家政婦だけが家にいたの。最近、心菜の機嫌が悪いから、先生が心配して家庭訪問に来たんだよ」紗奈の話を聞いて、私はようやく合点がいった。つまり今、時生たちは全員、淑江のところにいて、誰も心菜の面倒を見ていないのか。だからあの子、自分から沙耶香を家に誘ったのね。昔は家族全員に可愛がられていたのに、今ではひとりぼっちになってしまったのだ。……翌日、私は沙耶香を幼稚園に送る途中で言った。「もし今日、心菜がまた家に招いたら、こっちに来るよう誘ってあげて」沙耶香は頷いて答えた。「でも、もし来ないって言ったら?」「それでもいいよ」無理にとは言わなかった。私にとって、心菜の中での私は何の意味もない存在だって分かっているから。それでも、母親としては、自分の子どもが壊れた人形のように放り出されていると思うと、どうしても心配になってしまう。けれど、私にできるのは手を差し伸べることだけ。その手を掴むかどうかは、あの子
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