そのとき、廊下の奥から慌ただしく乱れた足音が響いてきた。次の瞬間、病室のドアが勢いよく開いた。時生が飛び込んできた。スーツのジャケットは腕に無造作に掛けられ、ネクタイも曲がっている。いつもきっちり整えられている髪も、今は額に乱れて張りついていた。「昭乃、お義母さんは今どうなんだ?」息を切らしながら私のもとへ駆け寄り、これまで聞いたことのないほど取り乱した声で尋ねる。私はまるで聞こえていないかのように、そのまましゃがみ込んだ姿勢を崩さなかった。冷たくなった母の手をそっと自分の頬に当てる。子供の頃、熱を出したときも母はこうしてくれた。温かな手のひらで額を撫で、不安や恐怖を追い払ってくれた。だけど今、その手は氷のように冷たく、もう二度と私を温めてはくれない。時生の視線が心電図モニターのほとんど平坦になった波形へ向けられ、それから真っ赤に腫れた私の目と、生気を失った母の顔へ移った。彼はその場に縫い付けられたように立ち尽くし、顔に浮かんでいた焦りは一瞬で凍りつき、愕然とした表情へ変わった。「時生、あんたなんか死ねばよかったのよ!」紗奈が勢いよく駆け寄り、彼の服を乱暴につかんだ。泣き声混じりの叫びは、一言一句が血を吐くようだった。「全部あんたのせいよ!全部あんたが招いたことじゃない!今さらここへ何しに来たの?自分の『成果』を確認しに来たの?そうよ、あんたの勝ち!昭乃をここまでズタズタにして、生き地獄みたいな思いをさせて!満足した?これで満足なの!?」時生は紗奈を振り払い、私の手を取ろうとした。「昭乃、こんなのは駄目だ!医者を呼ぼう。海外の医療チームにももう連絡してある。だからまずは先生に処置してもらおう、な?」「もうやめて!」私は勢いよく顔を上げた。胸の奥に積もり続けていた怒りと絶望が一気に噴き出し、耐えきれずに手を振り上げる。そして思い切り彼の頬を叩いた。病室は一瞬で静まり返った。手のひらは焼けるように痛い。それなのに胸の痛みは、それ以上だった。無数の針で心臓を貫かれたような苦しさに、息をすることさえできない。涙が絶望とともに頬を伝い、止めどなく流れ落ちる。震える声に、砕け散った憎しみを込めて私は言った。「時生、お母さんがいなくなったら、もう私を脅すために利用できなくなるものね?何度も何度もお母さ
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