昭乃の目元がじわりと赤くなり、瞳の奥に涙がにじんだ。あの日、墓地から戻ってきて以来、彼女はまるで自分の感情に鍵をかけてしまったようだった。笑うこともなく、泣くこともない。そんな昭乃を毎日見ている高司は、不安が日に日に膨らんでいくのを感じていた。だが今、その硬く閉ざされていた殻にようやくひびが入った。彼女は感情を見せ始めた。もう、あの何も感じていないような顔ではない。高司はひそかに安堵し、様子をうかがうように言った。「昭乃、近いうちに時間を作って、江川市へ行かないか?宗樹おじさんのところに連れて行くよ。今の君の状態、一度またカウンセリングを受けたほうがいいと思うんだ」しかし昭乃はゆっくり首を横に振った。声は少し詰まっていた。「どこにも行きたくない……どんな先生でも、お母さんを返してくれるわけじゃないから……」「実は……」高司はそこまで言いかけて、言葉を飲み込んだ。やはり、玄吾からの連絡を待ってからにしよう。結局、それ以上は無理に勧めずに言った。「行きたくないなら行かなくていい。君の好きにしていいから」高司が昭乃の部屋を出て、階段の踊り場まで来たときだった。そこには、待ち構えていた澄江が立っていた。「どうだった?昭乃は……少しは元気になった?」澄江は足早に近づき、心配そうに尋ねた。高司は静かに首を振った。その様子を見て、澄江もすぐに察した。大きくため息をつくと、目尻をそっとぬぐう。「本当に不憫な子だよ。さっきカレンダーを見ていたらね、お葬式の日付が目に入ったんだけど……あの子の身分証に書いてある誕生日と同じ日だったんだよ」少し間を置き、さらに胸を痛めたように続けた。「これから先、どうしたらいいのかねぇ。毎年誕生日が来るたびに、お母さんを見送った日も思い出すんだよ?そのたびに辛いことが全部よみがえってしまうじゃないか。あまりにも酷だよ」高司は足を止めた。眉間には深いしわが寄る。そんなことは今まで気にも留めていなかった。だが澄江に言われた瞬間、胸の奥が重く塞がれたような苦しさを覚えた。しばらく黙り込んだあと、彼は言った。「誕生日がつらいなら、別の日をお祝いの日にするという考え方もあるからね」誕生日にみんながもらう祝福や温かさを、昭乃にも味わってほしかった。たとえ少し遅れてでも、少し形を変
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