新年早々、三人の兄を助けようとして事故に遭った。けれど兄たちは泣きながら「治療費はない」と言い張り、あっさり私の足を切り落とす決断をした。「藤乃(ふじの)、ごめん……俺たちが不甲斐ないばかりに。大丈夫だ、血でも腎臓でも売って、君を養ってみせるから!」――そう言ったくせに、術後すぐの私をボロアパートに置き去りにし、「治療費を稼いでくる」と赤い目で言い残して消えていった。ベッドは真っ赤に染まり、痛みに耐えながら私は這うように外へ出た。――このまま終わらせよう。もうこれ以上、兄たちの重荷にはなりたくない。そう思って、近くのホテルの屋上を目指した。そして辿り着いた瞬間、目に飛び込んできたのは――煌びやかな大宴会だった。そこには兄たちが揃って、見知らぬ少女を囲んでいた。彼女は豪華なドレスに宝石を身にまとい、石水家の「唯一のお姫様」と呼ばれていた。億単位のギャラで呼ばれたオーケストラが奏でるのは――ただのバースデーソング。その光景が、胸の奥に突き刺さった。思い出したのは……血にまみれたボロアパートのベッド。あの時、彼らはたった数百円の包帯すら惜しんだのだ。長兄・石水遥斗(いしみずはると)は、甘ったるい声でケーキを彼女の口元へ運ぶ。「花音(はなおん)……君だけが俺たちの妹だ」次兄・石水蒼鳥(いしみずあおと)はティアラをそっと頭に乗せる。「たった一度の誕生日だとしても、君の笑顔だけは守り抜く」三兄・石水絃(いしみずいと)は膝をつき、シンデレラみたいにガラスの靴を履かせる。「花音は俺たちの一番の宝物だから」彼女は甘い笑みを浮かべ、兄たちから贈られたブラックカードをひらひらさせた。「でもね、兄さんたち……姉さんはみんなをかばって足を失ったんだし……少しは姉さんのそばにいてあげたら?」遥斗は冷笑した。「……あいつにそんな資格はない。足を失った今、もう二度と君と『俺たちの愛』を奪い合うこともできない。ざまあみろ――」――私は震える足で逃げ帰り、ボロアパートへと戻った。散らかったペットボトルや段ボールに足を取られ、そのまま床に崩れ落ちる。脚からは再び血が滲み、ズボンを思い切って引き裂いた。その布切れ同然のズボンは、今年の誕生日に贈られたもの。そして二十年のあいだで、私が唯一
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