「あれ?もう仕事?」 「え、あ、うん。今日ちょっと早く行って仕上げたい仕事があるの」 次の日、煌が起きてくる前に家を出ようとしたが、桜に気付かれてしまった。 「それで、悪いんだけど結花の事頼める?」 「それはいいけど……ねえ、本当は何があったの?私に言えない事?」 心配してくれるのは有難いが、桜の兄である煌が原因なんて口が裂けても言えない。 「あ、ごめん。急いでるから」 「ちょ!柚!?」 慌ただしく家を出た。 *** 職場での煌はいつも通りだった。みんなから頼られ、淡々と仕事をこなしていく。たまに冗談も言いつつ、その場を柔らくする。もう、何が本当なのか分からなくなる。 「柚」 「え!?」 「ちょっと来て」 急に呼ばれ、ビクッと肩が震えた。単に名を呼ばれただけで反応し過ぎだろうか…… 仕事場ではあるが、警戒心を持ちつつ恐る恐る近づいた。すると、急に肩を抱かれみんなの前に立たされた。 「実は俺達結婚前提で付き合ってるんだ」 「は!?」 思わず顔を見上げて煌の顔を見た。その顔は、勝ち誇ったようにほくそ笑んでいる。呆気に取られて、呆然とする柚の耳には「そうだと思ってた!」「おめでとう!」なんて祝福する声が聞こえてくる。 「ちょっと来て!」 柚は煌の手を取ると人気の付かない非常階段まで連れて来た。 「どういうつもり!?」 睨みつけながら文句を言うが、怯むどころか獰猛な光を瞳に灯していた。 「それはこちらの台詞だ。言ったろ?俺はもう我慢しない。使えるものはなんでも使うつもりだ」 「会社の人は関係
Last Updated : 2025-12-23 Read more