泣き疲れて寝てしまった結花の頬を優しく撫でながら「また明日来るね」と伝え、柚はそっと病室を出た。 「柚」 病院の外へ出ると、待っていたかのように奏が立っていた。素通りしようと思えば出来たが、ここは病院の外。行き交う人達のチラチラとした視線が突き刺さる。 ここで言い争いをすれば、明日から注目人物として病院内に広まってしまう。 (仕方ない) あまり気乗りはしないが、結花の為にも逃げてばかりは駄目だと思った。 「……場所を変えましょう?」 柚の言葉に奏は喜び、自分の車まで案内した。 *** 行き着いた場所は、奏のマンション。 部屋に入るのを躊躇ったが「何もしない」と言う奏の言葉を信じて部屋へ上がった。 コトンと淹れたての珈琲が置かれ、そっと口をつける。今まで緊張で強ばっていた体がフッと緩むのが分かった。 「何もなくてごめんな」 「ううん。大丈夫」 向かい合いながら、奏も気持ちを落ち着かせるように珈琲に口を付けた。 「……まずは謝罪させてくれ」 小さく息を吐くと、意を決したように口を開いた。 「君を傷付けた事……一人で全てを抱えさせてしまったこと……本当にすまなかった!」 床に頭を擦り付けそうな勢いで頭を下げられた。その姿を黙ったまま見つめた。 今更謝罪されたとこで過去が変わるわけじゃない。私の気持ちも…… 「信じてくれないかもしれないが、僕は本当に遥乃……君の事を愛していた。いや、今も昔も変わらず君を愛してる。じゃなきゃ7年も君の姿を追ったりしない」 真っ直ぐと濁りのない瞳を向けてくる。「ウ
Last Updated : 2025-10-21 Read more