いつも通りの時間に仕事を終えた柚は、会社の前で煌が終るのを待っていた。 季節は暖かい時期を過ぎ、肌寒くなってきていた。(さむっ) 手を擦りながら行きかう人の顔を見ていると、忙しなく歩く人や笑顔で楽しそうに会話をしながら歩く人。手を繋ぎながらあるくカップルなど、いろんな人が目につく。 その中で、ある人に視線が止まった。(あ、れ?) 相手も、こちらの視線に気が付いたのか、こっちに向かって歩いて来る。まさか……という思いが頭をよぎる。「柚」 笑顔で名前を呼ぶその人は、紛れもなく奏その人……「なんで……?」 「ごめん。迷惑なのは分かってる。だけど、やっぱり君の事が諦められない」 困惑する私を余所に、自分の気持ちを伝えてくる。今そんな事を言われても、理解が追い付かない。「仕事は終わったんだろ?少しだけ話せるかな?」 眉を下げ、遠慮しがちに言われても、前に進むと決断した今、こちらには話す事など何もない。ここで奏の話を聞けば、変な期待を持たせることにもなる。「……私は貴方と話すことはない」 「少しでいい」 「やめて。こんな所までやって来てどういうつもり?」 「僕はもう君を失いたくないんだ」 「随分、自分勝手な事いうのね」 こんな所で口論していれば、嫌でも目に付く。会社の前という事もあって、知った顔もちらほら視界に入る。「本当に迷惑なの」 「どうしたら、償える?」 「二度と目の前に現れないで」 「それはできない」 一向に引こうとしない奏に、溜息しか出ない。そんな時、煌が会社から出てくるが見えた。「私、彼と結婚を前提に付き合ってるの」 煌を指しながら奏に伝えた。「え?」 それに驚いたのは奏んだけではなく、煌も同じこと。目を見
ปรับปรุงล่าสุด : 2025-12-09 อ่านเพิ่มเติม