All Chapters of 消えるキオクと残るキミの温もり: Chapter 21 - Chapter 30

37 Chapters

20話 トイレの出口と、廊下の待人

 学校帰りのハルナは、いつものように制服をラフに着こなしていた。ワイシャツのボタンはいくつか開けられ、ネクタイは緩められている。スカートの下には、動きやすいように短パンを履いている。今日もおなじ格好をしていた。これから自分の部屋に戻って着替える途中なのだろう。「あ、俺トイレに……」 俺の声で我に返ったハルナは、慌てた様子で返事を返してきた。「……あ、うん。いってらー」 俺はトイレを済ませ、扉を開けた。すると、そこにはハルナが待っていた。 もうとっくに自分の部屋へ向かったと思っていたのに、彼女は廊下の壁にもたれかかるようにして、じっと俺が出てくるのを待っていたのだ。その意外な行動に、俺は思わず言葉を失う。「あれ? 着替えは?」 俺がそう尋ねると、ハルナはパッと顔を赤くし、動揺した様子で言った。「……あ、まだだった!」 その反応は、いつもサバサバしているハルナらしくなくて、俺は少し驚いた。頬には、ほのかに赤みが差している。俺を意識しているのか、目を合わせようとせず、チラチラと俺の顔を見るが、目が合うと慌てて視線を逸らした。 その可愛らしい仕草に、俺は思わずキュンとしてしまう。あれ? こんなに可愛かったっけ?「着替えないの?」「……だってさ、その……待ってなきゃ……ユイト兄さぁ、兄ちゃんの部屋に戻っちゃうじゃん!」 その言葉に、俺は思わず苦笑する。まあ、そうだよな。戻るのが普通だろう。ハルナの兄貴たちと遊んでるんだからな。「そうだな、戻るよな……」「でしょ。だから待ってたの……」 ん? さっきは「あ! 忘れてた!」って言ってたのに……? やっぱり、俺が「ハルナに会いに来た」と言ったから、気を使って待っててくれたのか。そう考えると、なんだか胸が温かくなった。
last updateLast Updated : 2025-10-05
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21話 可愛らしいツンデレと、色っぽい着替え

「えっと……こういうのイヤかな……?」 その言葉は、まるで俺の気持ちを試すかのようだった。「え? あぁ……可愛くていいよね。ちょっと見ちゃうかも……。でも、彼女ならやめて欲しいかもな……なんかさ、誘ってるみたいと言うか……声かけられるの待ってる感じがしてさ」「あぁ、う、うん。分かったぁー」 へ? 分かったって? 俺の言葉は、ただの感想にすぎなかったはずだ。なのに、ハルナは素直に「分かった」と返事をした。あれ? これって、俺が言ったことを聞くってこと? まるで、俺が彼女になったみたいじゃないか……。俺と付き合うって感じなの? ハルナは俺の言葉を聞き、少し恥ずかしそうに下を向いた。そして、俺から視線を逸らしながら、スカートの中に手を入れチラチラと俺の方を気にするように短パンの裾に手をかけ、ゆっくりとずり下ろしていく。 その瞬間、制服の紺色と、短パンに隠されていた白い肌の境目が露わになる。チラリと見えたのは、淡い水色のシンプルなショーツ。しかし、その布一枚の下に広がるふっくらとした太ももは、健康的な小麦色の肌と、今まで太陽に晒されてこなかった白く柔らかな肌のコントラストを際立たせ、どこか淫らな色気を放っていた。 ハルナは、まるで初めて見せるかのように可愛らしい羞恥心を見せながら、スカートの裾をゆっくりと伸ばし、膝が隠れるくらいの長さに直した。「ん……しょ、これで……いいかなぁ?」 完全に俺を意識した、甘く、少し蕩けたような色っぽい口調だった。その声は、俺を誘っているかのようだった。 「良いかな」と聞かれても困る。俺は心の中でそう叫んだ。何なんだ、この状況は? まるで俺を試しているみたいじゃないか。こんなに色っぽくて可愛いハルナを前にしたら、襲ってしまいそうになる。 これ以上はまずいと判断し、俺は慌てて言葉を絞り出した。「あ、そうだ
last updateLast Updated : 2025-10-06
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22話 終わりの言葉と、続く誘惑の視線

「いや、それ……ヤバすぎるって。触りたくなっちゃうレベルだって……一緒にいたら触っちゃうかもよ?」「え? ……ユイト兄のえっちぃ……だ、ダメだよぅ……」 ハルナは心臓の鼓動が早くなるのを感じながら、恥ずかしそうに頬を染めた。俺の言葉が、彼女の心を大きく揺さぶっているのがわかった。「あはは、だよね……俺、部屋に戻るわ……」 俺がそう言って踵を返そうとすると、ハルナは、まるで大切なものを失うのを恐れるように、俺の背中に向かって震える声で言った。「……だ、だめぇ……い、いっちゃやだ……っ」 その声に、俺は立ち止まる。振り返ると、ハルナは目にうっすらと涙を浮かべ、恥ずかしさで顔を真っ赤にしながら、今にも泣き出しそうになっていた。「……うぅぅ、だって、折角……ユイト兄が……わたしに、会いにきてくれたのに……っ」 俺の言葉が冗談ではなく、本気で彼女を動揺させているのがわかった。彼女の必死な様子に、俺は胸が締め付けられるような気持ちになった。「……さ、さっき……触りたくなっちゃうって……言ってた、よね……?」 ハルナは、震える声でそう尋ねた。その言葉には、恥ずかしさの中にも、俺をここに留めたいという強い思いが込められている。「……い、いいよ……ちょっとだけなら……」 そう言って、ハルナは再び顔を真っ赤にしながら、俺に視線を向けた。その瞳は、羞恥心と、それでも俺を受け入れようとする覚悟に満ちていた。
last updateLast Updated : 2025-10-07
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23話 唇を奪うキスと、刻まれた印

(は? マジで!? ショートパンツで膝枕とか、素肌同士が触れ合うじゃん!) その言葉に俺は驚き、ハルナを振り返ると、自然と視線が彼女の太ももへと向かう。 ハルナは、俺のTシャツの袖を優しく誘うように引っ張った。抵抗する気もなく、俺はその手に導かれるまま、彼女の魅惑的な太ももへと頭を乗せた。ぷにゅっとした感触に、俺の心臓はさらに高鳴る。 ハルナが言った「休憩」の意味が、なんとなく分かったような気がした。ただ触ってもらうだけでなく、自分がやってみたかった「膝枕」をしたかったのかもしれない。鍵を閉めたのも、誰にも邪魔されずに、二人きりの時間を楽しみたかったからなのだろう。 この体勢で頭だけで太ももの感触を味わうなんて勿体ない。そうは思うものの、ハルナのお腹の方に顔を向けるのは、恥ずかしさも相まって、今の俺には難易度が高すぎた。 俺が仰向けで寝ていると、ハルナは緊張しているのか固まっていた。しかし、俺が向きを変えた途端、おそるおそる手を震わせながら、俺の頭を撫でてきた。ハルナも俺の顔を見ながら頭を撫でるのは、難易度が高かったみたいだ。 俺はハルナの柔らかく温かな太ももの感触を頬に感じて、その感触を確かめようと、むにゅ、むにゅと顔を動かした。 その感触が気持ちよかったのか、ハルナは甘く息を吐いた。「んんぅ……ユイト兄の、ぬくもり、きもちい……」 その言葉に興奮しハルナを喜ばせ、もっと気持ち良くしてあげたいと思った。俺ももっとハルナを味わいたいと思いハルナの太ももへキスをした。ちゅ、ちゅぱっ……と音を立てた。キスする度に身体を震わせ甘い吐息を吐いた。「はぁ……んっ、んっ、あぁ……っ。や、やぁ……キス、そこじゃないよっ」 えぇ? キスもして良いのか? でも……今、唇にキスをしたら……太ももを触れなくなるかも。ハルナの言うことを今は無視させてもらう。 ちゅぅぅと音を立
last updateLast Updated : 2025-10-08
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24話 内ももへの誘惑と、初めての口づけ

 俺が顔をその場所に近づけると、ハルナは恥ずかしさのあまり、俺の頭に手を当てて拒否するような仕草をする。しかし、その手には全く力が入っておらず、俺の頭にそっと触れているだけだった。「ちょっと寝てくれる?」 俺の問いかけに、ハルナは観念したように目を閉じた。「……うぅぅ。うん……」 言葉の抵抗もなくなり、素直に従ってくれたハルナの姿に、俺の胸は高鳴った。「……臭いかも……学校に行ってたし、洗ってないし……ねぇー? お風呂入った後とか……」 ハルナは不安げにそう呟いたが、俺は構わずに彼女の太ももに顔を埋めた。彼女の柔らかな肌から漂う、ほんのり汗ばんだ甘い匂いが、俺の理性をさらに揺さぶる。「それ、他の人にバレちゃうんじゃない?」 俺が口元を寄せたまま問いかけると、ハルナは「え、やだ……」と小さく震えた。だが、その言葉とは裏腹に、すでにハルナは大人しくベッドに仰向けに寝て、俺に両足を抱えられて広げられている状態だった。俺はハルナの内ももに頬ずりしてキスをしていた。その感触に、ハルナの体はピクピクと震えるように反応していた。「んっ、んんっ……はぁ、はぁっ。んぅ……」 ピンク色のショートパンツの隙間から、足を広げたことで、シンプルな水色のショーツが丸見えだった。ショーツの食い込んでいる割れ目の部分が色が変わり、濃い色の筋がついていた。それは、ハルナの熱が高まっている証拠だった。 俺がそのまたの付け根に舌を這わせると、ハルナの足に力が入り、太ももを締めて体をぶるぶると震わせた。「ひゃっ、んんぅ……やぁ、あぁ……そこ、だめ……舐めちゃダメッ。汚いってばっ」 ハルナは必死に抵抗の声を上げるが、俺はそれを無視して、ちゅぅぅと音を立てて吸い付いた。
last updateLast Updated : 2025-10-09
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25話 絶頂の連鎖と、揺れる小さな胸

 「んぅぅぅっ……ああ……っ」 ハルナは、苦しさと快感の入り混じった声を上げ、腰をくねらせる。そして、ついに、俺の息子は彼女の奥まで到達した。その瞬間、ハルナの全身から力が抜け、俺の肩に、顔をうずめた。「はぁ……はぁ……ユイト兄……っ」 初めての挿入を終え、俺とハルナは一つになった。「はぅ……んぅ、ユイト兄ぃ」 俺が少しでも腰を動かすと、ハルナの体は敏感に反応した。「んっ……! い、やぁっ、んんっ……」 その声は、拒絶ではなく、快感に震えていた。俺は、ハルナの小さな腰に手を回し、ゆっくりと腰を動かし始める。「んぅっ……あぁ……っ、ふぅっ……」 ハルナの膣は、まだ慣れない感覚に戸惑いながらも、その奥でキュッと俺の息子を締め付ける。その度に、俺はさらに深く突き入れたくなった。 「ゆ、ユイト兄……っ、もっと……もっと……っ」 彼女の言葉が、俺をさらに熱くさせる。俺は、ハルナの身体が慣れてきたのを感じ、腰の動きを速めた。ベッドがきしむ音、二人の荒い息遣い、そしてハルナの甘い喘ぎ声だけが部屋に響く。彼女は俺の背中に爪を立て、絶頂へと向かっていた。 「ぁ……ぁあっ……きもちい……っ」 ハルナの声が、可愛らしい絶叫に変わる。その瞬間、俺は彼女の奥で、熱く、甘い熱がほとばしるのを感じた。そして、その快感に誘われるように、俺もまた、彼女の中で全てを解き放った。 二人は、互いの鼓動を感じながら、しばらくの間、熱い息を吐き続けていた。 余韻を楽しむように抱き合い、キスを交わしてい
last updateLast Updated : 2025-10-10
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26話 妹の不在と、重い足取りでの買い物

 「んっ……やぁ……」 ハルナの甘い声が、俺の耳元で小さく響く。兄貴の気配を感じながら、俺は彼女の小さな身体を抱きしめ、何度も何度も腰を突き上げ、彼女の身体の奥深くまで、俺の存在を刻みつけた。 俺は、ハルナの腰を掴み、さらに深く、そして速く突き上げた。「んぁっ……あぁっ……!」 彼女の熱い吐息が、俺の首筋に熱くかかる。 何度か突き上げていると、俺の息子がハルナの身体の奥深くで、ぷにっとした柔らかい感触に触れた。その途端、彼女の身体が大きく震え、膣内が「きゅぅぅ」と締め付けてくる。その刺激に、俺の全身が痺れた。「ぁ……ああっ……きもちい……っ」 ハルナの声が、可愛らしい絶叫に変わる。その瞬間、俺は彼女の奥で、熱く、甘い熱がほとばしるのを感じた。そして、その快感に誘われるように、俺もまた、彼女の中で全てを解き放った。「んぅぅぅっ……あああっ! ユイト兄っ……!」 ハルナは、熱いものが体内に注ぎ込まれるのを感じ、絶頂の波に身を任せ、体を大きく震わせた。彼女の秘部からも、熱いモノが「ぷしゃぁぁ!」と音を立てて噴出した。 二人は、互いの鼓動を感じながら、しばらくの間、熱い息を吐き続けていた。 俺はハルナとキスを交わし、彼女を抱きしめた。ハルナの柔らかな胸の感触が、俺の胸に伝わってくる。直接触るのはまだ少し恥ずかしくて、チラチラと見ていたのが、ハルナにバレてしまった。「……あのさぁ……触ってもいいよ? 気に入ってくれたのかなぁ? わたしの……おっぱい。小さいけど……」 その言葉に、俺は抱きしめる腕に少し力を込めた。「ハルナが言うほど、小さくないって……俺は好み。興奮す
last updateLast Updated : 2025-10-11
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27話 純白の少女と、保護欲を掻き立てる仕草

 その子は、ふわりとしたワンピースを着て、少しおどおどしながらも、一生懸命に買い物をしているようだった。普通に可愛いだけなら、見て癒されるわーとか思って眺めているだけなのだが、その子が目に入った瞬間、俺の心臓は大きく跳ねた。ドキリとして、胸が締め付けられるように苦しくなる。これって、もしかして……一目惚れというやつじゃないのか!? こんな時、普通は手慣れた人ならば、自然に声を掛けて、上手く仲良くなるのだろう。気の利いた言葉も、心を掴むような巧みな話術も、持ち合わせていない俺には、到底真似のできない壁だ。だが、俺にはそんな手慣れた技術はない、口説き落とせる交渉術もない。 そんな俺にも、特別な能力がある。この力を使うことには少なからず罪悪感を覚える。しかし、そんなちっぽけな良心など、彼女と親しくなりたいという、内側から燃え上がるような熱い想いの前では、あっという間に燃え尽きてしまう。その気持ちの方が、断然に上回っていた。 彼女の姿は、まるで童話の世界から飛び出してきたかのようだ。純白のコットンレースのワンピースをまとい、透き通るような色白の肌は、店の蛍光灯の柔らかな光を反射して、いっそう輝いて見えた。肩にかかるくらいの黒髪は、サラサラとしていて、歩くたびに控えめに揺れ、艶めいていた。彼女の周りだけ、世界の時間がゆっくりと流れているような、そんな錯覚さえ覚える。 見ていると、彼女は常に少しおどおどしており、視線が定まらない。周囲の喧騒に怯えるようにキョロキョロと見渡すその仕草は、まるで小さな動物のようで、彼女の可愛らしさを引き立てていた。その頼りなげな雰囲気が、俺の心を強く揺さぶり、守ってあげたいという衝動を掻き立てる。 そんな彼女が、ふと足を止めた。視線の先にあるのは、色とりどりのケーキやプリンが並べられたスイーツコーナーだ。ガラスケース越しに、彼女はキラキラと目を輝かせている。その表情は、まるで宝物を見つけた子供のようだった。 その無防備な輝きに、俺の口から言葉がこぼれ出た。「それ、美味しそうだね……俺も買おうかな。食べたことある?」 自分でも驚くほど、自然に言葉が出ていた。こんな
last updateLast Updated : 2025-10-12
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28話 延長された時間と、ユウカからの無邪気な返事

 その少女は、俺の前に立つと、視線を下へと向け、消え入りそうなか細い声で「……きたよ……」と呟いた。その声には、恥ずかしさがにじみ出ていた。「来てくれてありがとね」 俺がそう言うと、彼女はふわりと微笑んだ。「えへへ。なんでだろー? いつもは、恥ずかしくて……初めて会う人とは話せないんだけどなぁ……」 彼女の笑顔を見て、俺は改めて自分の特殊な能力を実感する。本来ならば、こんなに無防備な表情を見せるはずがない。「俺、ユイト。高二だよ」「わたしもー。同じだね。あ、ユウカだよ」 俺たちは、駐車場のエレベーター前にある、小さな飲食スペースに二人だけで座り、他愛のない話を始めた。無機質な空間の中に、ユウカと俺の声だけが、優しく響いていた。 ユウカと二人、飲食スペースで座り、他愛のない話をしていると、俺は喉の渇きを覚えた。ふと、彼女に目をやると、ジュースの入った自販機をじっと見つめている。「何か飲む? ジュースくらい奢るよ」 俺がそう言うと、ユウカはパッと顔を輝かせた。「え? わぁ……男の子から奢ってもらうの……はじめてー♪」 無邪気なその言葉に、俺の胸は少しだけ温かくなった。ジュースを買って戻ると、彼女は嬉しそうにそれを受け取った。お互いにジュースを飲みながら、さらに話が弾む。 さっきまで少しだけ遠慮がちだったユウカの口調は、完全に打ち解けたものに変わっていた。「ちょっと場所変えてみない?」 俺がそう提案すると、彼女は迷うことなく、にっこりと微笑んだ。 ユウカの快い返事に、俺は内心、安堵のため息を吐いた。 ふと、思い切って尋ねてみた。「手とか繋いだらイヤかな?」 俺の言葉に、ユウカは少しだけはにかんで、俺の顔をじっと見つめる。「……いいけど…&hell
last updateLast Updated : 2025-10-13
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29話 多目的トイレ前の沈黙と、無意識の誘い

 彼女は再び、もじもじと身をよじる。「……え? あ、まあ、う、うん……される……ね」 だよな。当然だよな。こんなにも可愛らしい子が、告白されたことがないはずがない。俺の胸に、ちくりと小さな痛みが走る。「じゃ、付き合ったりもしてたんだ?」「ん……う、うん。三人くらいかな……」 予想はしていたが、まさか本当だったとは。俺の心は、ざわざわと波立つ。そっか、今いないだけで、過去にはいたのか。ユウカちゃんの初めてのキスは、もう他の誰かに奪われてしまったんだ。初体験だって、もしかしたら……。こんなにも押しに弱そうな彼女のことだ。断りきれずに、流されるままに、なんてこともあったのかもしれない。そう考えると、胸の奥がチクチクと痛んだ。「そっか……」 俺は、あからさまに肩を落とし、無言で俯いた。そんな俺の様子に、ユウカは慌てたように顔を上げる。「え? ど、どうしたの? わたし……何かイヤなこと言っちゃった?」「ユウカちゃんに彼氏がいたんだ……と思ってさ。ファーストキスとか……」 俺がそう言うと、ユウカはキョトンとした顔で、大きな瞳を何度か瞬かせた。そして、次の瞬間、まるで何かを思い出したかのように、はにかんだ笑顔を浮かべる。「え? あぁ……ないよ? えへへ♪ ないでーす。わたし、テンパっちゃうって言ったでしょ? 手だって……ユイトくんが初めてだって言わなかったっけ?」 彼女の無邪気な言葉に、俺は心臓を掴まれたような衝撃を受けた。そうか、彼女は初めて手を繋いだ相手が俺だと言っていた。その事実が、俺の胸にじんわりと温かい光を灯す。「そっか! じゃあ、もう一回手を繋いじゃう?」 俺がそう言って、少しだけ手を動かすと、彼女は嬉しそうに、
last updateLast Updated : 2025-10-14
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