「……一体何のこと?」「多重事故の件だ。あの辺りは天野グループが管理している不動さんがある。事故の状況を知るために監視カメラを確認させてもらったのだ。そのカメラに君の元マネージャーが映り込んでいたんだよ。何故あの事故現場に彼女がいたんだ? もう完全に契約解消したんじゃなかったのか?」「……え!? 監視カメラを……?」澪が目を見開く。「何だ? それほど驚くことか?」司は腕組みすると澪をじっと見つめた。「べ、別にそういう訳じゃ……でも、ちょっと待ってよ。何故元マネージャーがあの現場にいたからって、それをわざわざ私に言うのよ? ひょっとしてまさか……司は事故の原因が私だって思ってるの? 司は忘れちゃったの? あの時私は貴方を助けるために自分の身を顧みずに行動したのに……それなのにこの私を疑うっていうの?」うつむく澪。司は黙って澪を見つめていた。すると司が何も声をかけてこないことに業を煮やしたのか、再び沙月は顔を上げた。「ねぇ。本当は監視カメラなんて確認していないんじゃない? 沙月さんが言った嘘じゃないの? 大体私は彼女とは、もう連絡すら取ってないのよ? それに司だって分かっているでしょう? 本来あなたの妻になるはずだったのは私だったのよ? それを全部ダメにしたのは沙月さんじゃないの! あの女はねぇ、私とあなたが一緒になるのも、私がアナウンサーに復帰するのも許せないのよ! だからあんな多重事故を起して私を陥れようとしたの! あの女はそういう陰険な女なのよ!」声を荒げる澪に司は冷静に言った。「そんなに興奮するな……この忙しい時期に、わざわざ俺に手作り菓子を届けに来てくれたということは他に話したいことがあったからなんだろう?」司はまるで澪を射抜くような眼差しで見つめている。「大体……どうして私が関与したと考えたのよ? 私は被害者なのよ? あの怪我のせいでアナウンサーへの復帰が遅くなったのは司だって知ってるでしょう? 事故を仕組んだのは沙月さんなのよ!」澪はヒステリックに喚いた。「じゃあ沙月が、君を復帰させないためにわざと事故を仕組んだと思ってるのか? 自分が危険にさらされても」「それじゃ私よりも沙月さんの怪我の方を心配しているってことなの!?」「俺はただ本当のことを聞かせて欲しいだけだ。何しろあれは何台もの車を巻き込んだ多重事故だったからな。
Last Updated : 2025-10-01 Read more