「この草は、地中深くにまっすぐ根を伸ばし、わずかな水源へ食らいつく性質がある。この草が乾いた土地でまだ生きている。それはこの真下に、地下を流れる水がある証拠です」「なんと、草の習性! 盲点でした」 技師たちが驚きの声を上げる。「この地形。緩やかですが、あちらの方角に向かって窪地になっている。地上の水も地下の水も、必ず低い場所へと集まるのが理(ことわり)です」 エリアーリアの言葉は魔法ではない。百年かけて森と対話し植物たちの生き様から学んだ、体系化された知識だった。 彼女は、技師たちに観察するための知識を一つ一つ丁寧に説明していった。◇ 技師たちは半信半疑ながらも、彼女が示した「深根草」が最も多く自生し、かつ地形が最も低くなっている地点で、兵士たちに掘削を命じた。アレクはその様子を、絶対の信頼を込めた瞳で見守っている。 だが何時間掘っても、乾いた土と石しか出てこない。「やはり、ダメか……」 誰もが諦めかけた、その時。 地面を掘り進めていた兵士の一人が、歓喜の声を上げた。「水だ! 水が出ました!」 地面から泥水が染み出ている。濁った水はやがて清らかな透明の水となって、勢いよく噴き出した。「やった、やったぞ!」「水だ。これでやっと、渇きから解放される……」「もう一度麦を育てられる!」 エリアーリアは騒ぎの中心から少し離れた場所で、その光景を見つめていた。 興奮冷めやらぬ人々の前で地図を広げ、深根草の群生地と傾斜に印をつけて線で結んだ。「これが、この大地を流れる水の道筋です。この線に沿って水路を引けば、全ての畑を潤すことができるでしょう」 彼女は技師長に一枚の羊皮紙を渡す。そこには「深根草」をはじめとする、水脈の近くに自生する植物リストと、地形から水脈を予測するための簡単な図解が描かれていた。「これを、国の技師たちで共有なさい。そうすれば、私が去った後も、あなた方自身の力
Read More