拓海は知らない。だが、知佳がきっと自分のためにプレゼントを用意していることだけはわかっていた。加奈が入院している最後の日の夕方、放課後に颯が彼の肩に腕を回した。「拓海、明後日だぞ。俺、もう全部準備した。放課後になったらそのままお前ん家行くからな」「うん」拓海は淡々と答えた。颯は「もう我慢できない、どうしても言いたい」とでも言うような興奮した顔をしていた。「なあ、拓海!」そう言って、また妙な笑いを浮かべた。拓海は冷ややかに一瞥し、顔にははっきりと疑問符が浮かんでいる。颯はぐいっと彼を引き寄せ、声を潜め、目をきらきらさせた。「言っても、絶対バレるなよ!」「何だ?」拓海の視線は淡く、校舎一階のクスノキのそばに立っている貴久を見ていた。「知佳だよ!お前へのプレゼント!」颯は息だけで言い、手で形を作るようにして示した。「俺、見たんだ。用意してた!」拓海のまぶたが上がった。「……何?」「宇宙と星空のスノードーム!」颯は興奮して彼の腕を叩いた。「マジで、俺が見た。本人が作ってるとこを!二か月前だぞ、あの頃はまだクラス分け前だっただろ。こっそり見たんだ、知佳が下絵描いてるの。材料も山ほど買ってた。手作りでお前に贈るつもりなんだよ。俺、気になってその物もこっそり調べたんだけどさ、天井に投影できるやつなんだって!めちゃくちゃ手間かかるのに、知佳ってそんな面倒が平気なんだな!」拓海は冷笑した。「お前、情報屋にでも改名しろ。知らないことがないじゃないか。なんで俺にまでわかるんだ?」「だって台座を手に取ったとき、刻字が見えたんだよ。書いてあった。『Happy Birthday,MT!』って。お前以外に誰がいるんだよ?」颯の目は光っていた。「なあ、知佳って相当、気合入れてるだろ?」拓海はまた鼻で笑った。「女の子ってのは、そういう見栄えのいいけど実用性のないものが好きなんだ」「ちぇっ」颯は納得しない。「拓海、正直に言えよ。お前と知佳って、もしかして……ん?」颯は「わかるだろ、俺もわかってる」みたいな目で、眉を動かして合図した。拓海は眉を寄せた。「あり得ない。変な想像するな。俺と知佳はただのクラスメイトだ。それ以上の関係なんて一欠片もない」「へえ……」颯はゴシップが外れてがっかりしたような反応を見せた。感でも働いたのか、颯はふ
Read more