「大丈夫だ。君も別に間違ったことは言ってない。店で働いてて、うちの店は特に問題ないって言っただけだ」拓海が言った。「俺たちのことは気にするな。こいつらはみんな昔からの友だちだ。もてなす必要もない。ほかのことをしてこい」「う……うん……」結衣は去っていったが、出ていく前に目尻を赤くして、ひどく哀れっぽかった。この手のやり方は知佳には見慣れたものだった。次は静香が叱られる番だ。案の定だった。最初に口を開いたのは颯だった。「静香、お前さ、なんでいつも結衣にそんなにキツいんだ?別に何かされたわけでもないだろ。会うたび、わりと好意的に接してくれてんじゃん」静香は鼻で笑った。「いまその言い方で私を責めるってことは、そもそもあの女が私に好意的じゃない証拠でしょ!」「どういう理屈だよ?」颯はわけがわからなかった。「どういう理屈?あんたが分かんないのは、あんたがバカだからよ。私が分かるのはね、私だってああいう計算高いぶりっ子、やろうと思えばできるから」静香は冷えた顔で言った。「お前な……」颯は呆れて笑ってしまった。「俺に勝ちたいからって、自分まで罵らなくてもいいだろ?」「事実でしょ!」静香は前菜のひとつを大きくつかんで、がぶりと噛みついた。「拓海、知佳、聞いてくれよ。静香って理不尽すぎないか?」颯は納得がいかなかった。拓海がようやく態度を示した。「こんな小さなことで、身内同士がそこまで言い争う必要あるか?」「ほらな」颯は味方を得たみたいに得意になって、振り向いて知佳に言った。「知佳、お前が判断してくれ」「私?」知佳は手の中のカップをくるりと回した。「私はね、けっこう筋を通すタイプなんだ」颯はそれを聞いてぱっと嬉しそうになった。「続けて」「私の筋は、私に優しくしてくれる人には私も優しくするってこと。理屈より身内。正しいかどうかなんて関係なく、私は静香の味方をする」知佳は昔のあれこれを思い出した。「もちろん、他の人のほうがいいって思うなら、そっちを助けてもいいよ。構わない。私たちはダブスタはしない。ただし、いいとこ取りはなし。別の人を助けるなら、私たちの友情はそこで終わり」パチパチパチ。静香が彼女に拍手した。「それだよ。私がなんで不機嫌になるか、分かる?何年も同じ学校で一緒にやってきたのに、あんたたちってさ、わけの分
Read more