知佳はドキッとした。留学の情報で消し忘れたものがあったかと思った。首を伸ばして見ると、ブランドの販売員との会話だった。拓海が見ていたのは、販売員が長年ブランドを支持してくれてありがとうと言っている部分だった。知佳の返事は【もちろん!イメージキャラクターを応援しないと!】。拓海はブランドのイメージキャラクターを調べた後、スマホを投げ返して、冷笑した。「意外だな、知佳。君、芸能人のファンなのか?この数年、なんで同じブランドの服ばかり買ってるのかと思ったら、俺の金で男性芸能人を応援してたわけか」実は彼は勘違いしている。知佳が応援していたのは前のイメージキャラクターだ。チャット記録は去年まで遡っていた。あれは去年の話で、その時のイメージキャラクターはまだダンス学科の同級生だった……自分はもうダメになったけれど、かつてのルームメイトがテレビに出ているのを見ると、やはり嬉しかった。だから、コスメも香水も服もこのブランドを買って、別の形で応援していた。今年イメージキャラクターが変わったが、知佳はもうこのブランドを買うのが習慣になっていた。それに、自分も拓海も、このブランドの服が結構似合う。わざわざ変える必要もなかった。でも、たとえ男性芸能人でも何か問題ある?拓海は自分の服を見下ろした。「君は俺より他の男の方が大事なのか?」知佳は返す言葉もなかった。結婚して5年経って初めて気づいた。この人、意外と嫉妬深い。やはり結衣が戻ってきたことで、彼が生き生きしてきたのだ。知佳は手を振った。「お互い様でしょ。人生は続けなきゃいけないんだから」自分だって同じじゃない?だって、あんなに深く彼を愛していたのに、もう諦めたんだから、彼に何か言う資格があるの?「寝ましょう。明日は朝早く飛行機に乗らなきゃいけないの」知佳は以前とは別人のように冷静だった。ちょうどその時、スマホが鳴った。翔太からの電話だった。「もしもし?」知佳は寝室に向かいながら電話に出た。「誰だ?」拓海が後ろで聞いた。知佳は無視して、電話を続けた。電話の向こうから翔太の声が聞こえた。「母と妹が、ホテルに着いたか聞けって。僕が送らなかったから、厳しく叱られたよ」知佳は笑った。澤本さんと瑠奈に交代で説教されている様子が目に浮かぶ。「知佳さん、知
Read more