由奈は二日後に退院し、智宏とともに亜紀の葬儀に参列した。だが、葬儀に姿を見せた人は驚くほど少なかった。会場にいたのは秀明と智宏、そして亜紀の秘書を含めて、わずか数人ほど。亜紀の実家である石川家の人間の姿は、ほとんど見当たらなかった。亜紀がいったい何をしたのか――石川家の人々がここまで距離を置く理由を、由奈は知らない。それでも、彼女が亡くなったにもかかわらず、弔ってくれる家族がほとんどいないという現実を目の当たりにして、胸の奥にやりきれない思いが広がった。墓地を出ると、駿介が車のそばへ歩み寄り、後部座席のドアを開けた。「由奈」声をかけたのは秀明だった。「これまで、私たちと過ごす時間が少なかったのは事実だ。だから、何かあっても頼りづらいと思うことがあるのかもしれない。でもね――家族というのは、頼るものなんだよ。私たちは、頼られて迷惑だなんて絶対に思わない。だから、安心してほしい」思いがけない言葉に、由奈は一瞬、言葉を失った。秀明の真剣なまなざしを見ているうちに、胸の奥に小さな後ろめたさが芽生える。中道家とは、切っても切れない血のつながりがある。それでも二十年以上、離れ離れで生きてきた。由奈にとって、これまで「両親」といえば文昭と久美子だった。自分が池上家の子ではなく、本当の両親が別にいると知ったとき――再会の喜びは、確かにあった。けれど同時に、どうしても拭えない遠慮が残った。中道家で育ったわけではない自分が、もし厄介ごとを持ち込んだら――実の両親は、迷惑に思うのではないか。そんな不安が、心のどこかにずっと残っていた。「お父さん、ごめんなさい。私……」言いかけた由奈の言葉を、秀明はやさしく遮った。「娘が、父親に謝る必要なんてないよ」そう言って、軽く背中を叩く。「むしろ謝るべきなのは私の方だ。中道家はいま、少々事情が込み入っていてね。ゆっくり君と過ごす時間も取れず、不安な思いをさせてしまった」由奈は首を振った。「いえ、これは私の問題なんです。嫌われたらどうしようって、勝手に思っただけで」秀明は表情を引き締めた。「自分の子どもを疎ましく思う親なんていないさ。少なくとも、私と君の母親は絶対にそんなことはしない」その言葉に、由奈はようやく安心したように微笑み、うなずいた。車に乗り込んだあと、秀明がふと思い
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