あれほど望んでいた離婚だったのに、いざ成立してみると――少しも嬉しくなかった。気づけば、祐一に向けていた愛も憎しみも、あの爆発とともに、すべて煙のように消えてしまった気がする。事件から十日後、米林家の豪邸の周囲には、まだ警察の監視が張りついていた。容疑が完全に晴れるまでは、明夫は出国を禁じられている。その一挙一動は、常に警察の目の届くところにあった。書斎で、明夫は窓際に腰掛け、煙草をくゆらせていた。机の上に置かれたスマホが鳴る。灰を落としながら電話に出て、相手の話を聞いたあと、彼は吸いかけの煙草を灰皿に押しつけた。そして、グラスに残っていた赤ワインをその上から注ぎ、火を消す。「こっちは問題ない。お前は新婚旅行を楽しんでこい。奥さんを大事にしろ、くれぐれも泣かせるなよ」電話を切ってほどなく、手下の男が書斎に入ってきた。机の前で立ち止まり、頭を下げる。「ボス……」何か言いかけたところで、明夫が手を上げて制した。「寝室で話そう」男はその意味を察し、すぐに後を追う。寝室に入ると、男は低い声で報告した。「警察はまだ捜査を続けていますが……臨時で雇った連中は、すでに始末しました。残っている信頼できる人間たちは、指示通り海外へ送り出しています」「それでいい」明夫は手の中でライターを転がしながら、淡々と言った。「今回の爆発で滝沢祐一が死んでくれたのは上出来だ。だが、白石家の小僧を仕留め損ねたのは残念だったな」男はすぐに答える。「ボスが情けをかけて、逃げ道を残してやったからですよ。でなければ、あの場にいた連中は全員死んでいました」明夫は低く笑った。「獲物ってのはな……ゆっくり追い詰めて殺すから面白いんだ」目を細める。「それにしても、あの高岡が爆発で吹き飛ぶところは見ものだった。臆病者のあいつには、ああいう死に方がちょうどいい」「おっしゃる通りです」男はひたすらうなずく。明夫はふと思い出したように言った。「そういえば……今ごろ滝沢家は、祐一の追悼で大騒ぎなんじゃないのか?」男は少し言いよどむ。「それが……海都市では、あまりその話が出ていません。遺体が見つかっていないせいか、滝沢家もまだ滝沢社長の死を認めていないようで……」明夫は窓の外を眺めながら、淡々とつぶやいた。「まあいい。滝沢家はもう崩れかけている」そして
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