美羽は、由奈の言葉の裏に込められた意味を察したのか、たちまち顔をしかめた。「……それ、どういう意味?私が心の狭い人間だって言いたいわけ?」その場の空気がぴりりと張り詰める。すると、秀明がふっと笑った。「由奈の言うことも、別に間違っちゃいないだろう。姉さん、普段から贈り物を受け取るのには慣れてるみたいだし……それなりに『うまい汁』も吸ってるんじゃないのか?」美羽の顔色が、さっと曇る。「話をすり替えないでよ」「姉さんが手土産の話にこだわるから、聞きたくもなるだろう?」秀明の口調はあくまで穏やかだった。だがその奥には、かすかな鋭さが潜んでいる。「それに――」彼は一瞬、声を低くした。「私の娘のことを、とやかく言われる筋合いはない」由奈は横で黙ったまま、静かに周囲の様子を観察していた。一人ひとりの表情が、微妙に揺れる。この家の人間は、皆どこか仮面をかぶっているようだった。同じ血を分けた家族のはずなのに――妙に温度がない。……利益の前では、家族の情なんて紙みたいに薄くなるものだろうか。胸の奥で、そんな思いがかすかに揺れる。一方で、智宏はカップを持ち上げ、静かに茶をすすった。まるでこの空気をまったく気にしていないかのようで、むしろ、こうなることを最初から予想していたような落ち着きだった。そのとき、ずっと黙っていた男――秀雄が口を開いた。「相変わらずだな、秀明。口が減らない」半分冗談のような調子だった。「褒め言葉として受け取っておくよ」秀明は軽く笑う。秀雄は中央に座る信三へ視線を向けた。「お父さん。秀明が娘を見つけるまで、ずいぶん苦労したようです。この子も智宏と同じ、れっきとした中道家の血筋。どうされますか?」信三は、ゆっくりとカップを置いた。彼はすぐには答えず、由奈をじっと見つめた。「名前は由奈、だったな」低く落ち着いた声だが、威厳を帯びている。「恭子によく似ている。秀明がこれほど庇うのも無理はないな」わずかな間を置き、続けた。「中道家に戻った以上、私たちは家族だ。数日後に、お祝いの宴会でも開こう」由奈は一瞬、意外そうに目を瞬かせた。だがすぐに小さく頭を下げる。「ありがとうございます」「宴会」という言葉を聞いた美羽は、露骨に不満げな顔をした。とはいえ、その場で口を挟むことはせず、ただ大きく白目をむいて
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