千代は一瞬言葉を失い、驚いたように目を見開いた。「お義母さん……いったい誰が、こんなことを?」和恵は苦く笑った。「あの子しかいないでしょ?もし私のことが心配して、やらなきゃよかったって反省してくれているのなら、責めるつもりもなかった。でも……結局、あの子は私を失望させたわ」その言葉を聞いた瞬間、千代の胸にある人物の顔が浮かぶ。「まさか……将吾さん?どうしてそんなことを……」実の母親を殺そうとするなんて。和恵は静かに息を吸い込んだ。「理由なんて決まっているわ。例の株式よ。ヤクモヘルスを将吾に継がせなかったのは、あの子に商才がなかったからなの。それに、彼のそばに、滝沢家を狙っている真由美がいる。けど、あの子は私の気持ちを理解しようともしなかった。たとえ一生、大きな成功を手にできなくても、堅実に生きてさえいれば、家族が困らないだけのものは残したつもりだったのに……」小さく息をつく。「もしかしたら私は、あの子のことを、一度でも本当に理解したことがなかったのかもしれないわね」千代はそっと和恵の身体を支え、枕を腰の後ろに差し込んだ。「将吾さんがそこまでするなんて……真由美さんに何か言われた可能性はありませんか?」和恵は静かに首を振った。「もう理由なんて構わないわ。今の状況は、すべてを語ったもの」そう言ってから、ふと思い出したように千代の手の上へ自分の手を重ねた。「千代さん。あんたは松本家の長女なのに、こんなにも長い間、滝沢家のために尽くしてくれた。本当に……娘のように思っているの」少し間を置いてから、やわらかく続ける。「私が祐一に由奈との結婚を勧めたこと……恨んでいない?」千代の表情がわずかに強張った。視線を落とし、小さく息を整えてから答える。「もう昔のことですから。今さら恨んでいるなんて、そんなことはないですよ」和恵は微笑んだ。「やっぱり、一度は恨んだのね」「お義母さん……」「祐一のことが心配だったのは分かっているわ」和恵はやさしく言った。「江川市での出来事、あんたも聞いたでしょ?あの子はもう、自分で選んで歩いていける年齢なの。私たちがいつまでも守ってあげなきゃいけない子どもじゃないのよ」静かに言葉を重ねる。「どんな選択をしたとしても、母親の私たちは……ときには引くことも必要なのよ。そうしないと――私と将
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