「今だッ! 撃てェッ!」 殿下の号令一下、轟音。騎士たちが一斉に、眼下の魔獣たちへと魔弾の雨を降らせる。 袋の鼠となった魔獣たちは、次々と魔弾に貫かれて倒れていく。 生き残った魔獣は、それでも俊敏な動きで闇に紛れようとした。でも、もう逃げることはできないの。なぜなら――!「蛍光インクで光っているぞ! よく狙え! 一匹たりとも逃がすな!」 そう、シャーデフロイ家の秘伝インクは――魔力光で蛍光するから。それはもちろん、みんなが使ってる魔術灯でもね。 そして、最後に残った、ひときわ巨大な一匹を……!「必殺! 田舎娘アッターック!!」 わたくしの背後から、雄々しく駆けつけてきた、ルチア渾身の|一撃《スコップ》が、脳天に炸裂! 地面へと叩き伏せたの。「よし、取り押さえろーっ! 生きている魔獣は捕獲だ!」 騎士団の魔力の鎖が、生き残った瀕死の魔獣に絡みつき、動きを封じ込めていく。 ……ああ、ようやく終わったのね。 スコップを杖のように突き、荒い息をつくルチアと。 泣きながら、他の令嬢と抱き締め合うツェツィーリア様と。 無理がたたって、足がガクガク震え、もう一歩も動けない、わたくし。 みんな、生きてるぅうううっ!!!「……うっ!」 安堵した瞬間、崩れ落ちそうになる。 でも、身体は、ふわりと、誰かに抱きとめられた。「大丈夫ですか? シャーデフロイ嬢」「え、ああ。ありがとう、ござ、いま……す?」 毛布をかけてくれる、にっこり笑うこのお顔。 それは研究員に変装した、わたくしの腹黒執事だった。「ご立派でしたよ、お嬢様。今宵の貴女様は、どんな魔法生物よりも輝いておられましたね」 イヅルは誰からも見えない角度で、そっとウインクをしてみせた。 魔法、生物扱い……ですって!?
Terakhir Diperbarui : 2025-10-14 Baca selengkapnya