そんなことを考えただけで、明里の体は奥底から熱く疼くようだった。ただ潤に見つめられたというだけで、全身がとろけてしまいそうになるなんて……本当に自分はチョロいと、明里は心底そう思った。「もうその話はいいから。そろそろ帰らないと」「送っていくよ」今までと同じ二人のはずなのに、「恋人」という言葉がついた途端、どうしてこれほどまでに特別な響きを持つのだろう。車内は静かだった。二人とも言葉を交わさない。それなのに、空間には目に見えない甘やかな雰囲気が溢れ出し、弾けているような気がする。ふと絡み合い、逸らされる視線。熱を帯びていく頬。どこかぎこちない。そのどれもが、明里が今まで味わったことのない感覚だった。少し落ち着かない。けれど、そこには確かに、胸が締め付けられるような甘い幸福感が混ざり込んでいる。ああ、これ――好き。「何がそんなに可笑しいの?」赤信号で車が止まると、潤は待ちきれない様子で手を伸ばし、明里の手を握って指を絡めた。「え、私、笑ってた?」「ああ、ずっと笑ってる」明里は慌てて空いている右手で自分の口元に触れた。自分が笑っていたことにすら、気づいていなかったのだ。「そんなに嬉しい?」潤もまた、口元に笑みを浮かべている。「俺の彼女になったから?」明里の顔がカッと熱くなった。「そ、そんなんじゃないわよ。ただ……」ただ何なのか、自分でもうまく言葉にできない。もういいや、と明里は開き直った。「……あなたがそう言うなら、そういうことでいいわ」潤はただ優しく笑って、親指の腹で彼女の手の甲をそっと撫でた。そこがくすぐったくて、胸の奥までじんわりと温かいものが広がっていく。潤が明里を送り届けたのは、七時を少し過ぎたころだった。「後で学校まで送っていくから」明里は曖昧に返事をして、手を引っ込めようとする。だが、潤の手は離してくれない。振り返って彼を見つめ、視線だけで「まだ何か?」と問いかける。「まだ答えてもらってないんだけど」潤は悪戯っぽく言った。「何日経ったらキスしていい?」明里は羞恥と怒りが入り交じった声を上げた。「なんでそんなこと聞くのよ!そういうのって雰囲気でするものでしょ!」「そう?」潤がぐっと身を乗り出してくる。「じゃあ今がまさにその――」二人とも気づかなか
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