その日の明里は、シンプルなシャツワンピースを着ていた。品良く膝下まである丈で、細いベルトがウエストをきゅっと締め、彼女の細いくびれを際立たせていた。本物の美人というのは、どこにいても自然と人の目を惹きつけるものだ。明里が店に入ってきた瞬間から、周囲の客の視線が一斉に集まった。そして、その羨望の眼差しはなかなか彼女から離れなかった。もともと目を引く整った顔立ちの明里だったが、母親になってから、どこか色香の漂う艶やかさと柔らかい愛らしさが加わり、以前よりもいっそう魅力的な女性になっていた。「見て、村田明里だ」隼人がわざわざ口に出すまでもなく、湊と真奈美はとっくに彼女の存在に気づいていた。「あの子もここで食事か」湊は不機嫌そうに顎をしゃくった。「おい、こっちに呼べ」湊の内心は、ひどく面白くなかった。以前、朱美の結婚式が開かれた時、自分も真奈美と隼人を連れて是が非でも出席するつもりでいた。隼人に、財界のトップが集まるあの華やかな場で、有利な人脈作りをさせたかったからだ。ところが、肝心の潤に「来るな」と断固として拒絶された。真奈美はすっかりその気で準備を整えていたというのに。何着も高級なドレスを取り寄せ、セレブ仲間の前でさりげなく自分の特別感をひけらかすつもりで、皆に「今度、あの河野朱美の結婚式に招待されているのよ」と言いふらしていたのだ。それが、すべてが空振りに終わってしまった。真奈美が周囲の奥様連中からどれだけ鼻で笑われ、惨めな恥をかいたことか。普通なら、天下の二宮家に遠慮して、そんなあからさまな嘲笑などしないものだ。潤の地位も圧倒的な実績も、申し分なく揃っているのだから。しかし真奈美は潤の継母であり、二人の折り合いが絶望的に悪いことは周知の事実だった。だからこそ、彼女に対して遠慮のない嫌味をぶつけてくる者も出てきたのだ。真奈美は悔しさのあまり、胸が張り裂けそうだった。湊自身はそれほど細かいことを気にする性質ではなかったが、世間体がある。潤の父親として、これからあの河野朱美と親戚付き合いになるというのに、その肝心の結婚式にすら招かれないとは一体どういうことだ。世間に対して、どこに顔を向ければいいというのか。こうしてのうのうとしている明里を目の前にすると、行き場のない苛立ちが込み上げてくるのをど
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